伝統工芸である加賀水引をモチーフにしたヘッドマークの「花嫁のれん」と交換する。
旧い気動車は真紅にお色直しをして、輪島塗や加賀友禅をデザインした人気の特急列車となった。
とは言え「呑み鉄」の旅は鈍行列車に揺られることをルールとしているので「花嫁のれん」には乗れない。
さて、七尾線は津幡で北陸本線(IRいしかわ鉄道)から分岐して能登半島を北上する。
アニーローリーのメロディが流れて、ステンレスのボディーに茜色を引いた2両編成がやってきた。
なんとも都会的なデザインの電車が里山里海の田園風景を駆け抜ける七尾線なのだ。
プシュッと小気味良い音を立ててストロング缶のプルトップを引く。レモンの香りと炭酸が口の中に広がる。
JR西日本の521系は転換クロスシートになっていて、学生達が降りて空いた車両は呑み鉄の旅に打って付けだ。
羽咋駅で途中下車したら、富来行きの路線バスに10分揺られて「能登國一宮 氣多大社」を訪ねる。
天平の時代、大伴家持はここで『之乎路から直超え来れば羽咋の海朝凪ぎしたり船楫もがも』と詠んだ。
本殿に大己貴神(おおなむちのかみ)を祀るのだが、大社は恋愛成就を願う女性に人気がある。
どうもオヤジの一人旅には似つかわしくないパワースポットのようだ。
鈍行列車の旅は続く。二番手もやはりアーバンな521系のシルバーボディーだ。
このラインの茜色は輪島塗りの漆をイメージしているらしい。
羽咋を発った列車は能登半島中央部を西から東へと横断していく格好になる。
車窓の水田には早苗がそよぎ、虫を啄んでいるのだろうか、白鷺やら青鷺が遊ぶ情景が続く。
金沢から90分、鈍行列車は七尾駅の3番ホームに到着する。
駅舎へと向かう通路には「花嫁のれん」が懸かり、漆塗りに花火が咲き乱れる駅名標と並んで華やかだ。
さて、七尾線の旅はここが終わりではない。のと鉄道の車両に乗車して一駅先の終点をめざす。
大阪からの特急列車を先に行かせたら、身震いひとつ単行137Dが動き出した。
巨大な山車の車輪は「能登キリコ祭り」のもの、能登観光の拠点らしい趣きある和倉温泉駅なのだ。
前菜を突っつきながら、百万石乃白を醸した輪島の酒 “能登末廣 純米” を注いでもらう。
フルーティで優しくすっきりした酒は、きっと白身の刺身にぴったり来るはずだ。
今宵は和倉温泉の老舗に投宿して呑む。
“あら”、“ナメラ”、“マグロ” そして “カンパチ” と、北陸の旬が鮮やかに登場。
蓋をはぐれば、うぐいす餡をかけて “アイナメ” の煮物。酒と肴が惹かれあって美味しい。
台の物は “咽黒”、“能登牛”、“サザエ” を源泉で蒸して、まさにこれ能登の宝箱。
これには寧ろ本醸造が良いかな、珠洲の “宗玄 黒峰” を冷やでいただく。キレの良い晩酌酒が旨い。
ザザざっと大きな音を立てて陶器から熱い湯が溢れる。
眩い朝の陽と煌めく七尾湾に目を細める。優しい潮風に吹かれる露天風呂に浸かって至福なのだ。
奥能登の旨酒の余韻が消えたらさらに北へ、今日はのと鉄道で呑もうと思う。
七尾線 津幡〜和倉温泉 59.5km 完乗
<40年前に街で流れたJ-POP>
夏女ソニア / もんたよしのり&大橋純子 1983
いつもコメントありがとうございます。
サミットで暫くは騒々しい宮島・広島でしたね。
あの後、平和公園を訪れる訪日外国人観光客が増えたとか。
被爆地と平和を願うことへの共感、経済の好循環につながると良いですね。
コメント、ありがとうございます。
酒肴の美味しさがお伝えできれば、私の無上の喜びです。
hide 様もお飲みになりますか?
美味しい肴があったらご紹介ください。
過分なコメントありがとうございます。
幸い天気にも恵まれて、新幹線からの浅間山も蓼科山もキレイでした。
もう何回か能登方面のレポートをしますので、
よろしかったらお付き合いください。
金沢方面にはよくお出かけになりますか?
北陸新幹線の延伸開業で、信州と北陸は劇的に近くなりましたね。
花嫁のれんは、復路に乗りたかったのですが、
案の定満員御礼です。
インバウンドも含めて金沢方面はすごい人出でした。
経済が動き出したことは好ましいことですね。
コメント、ありがとうございます。
コメントありがとうございます。
和倉温泉はお出かけになりましたか?
加賀屋さんに引っ張られて、料金設定が高めですけど、
料理もホスピタリティも納得のクオリティでした。
カニ、ブリ、白えび、ホタルイカ、旬に合わせてお出かけになると
より楽しく美味しい旅になるかと思います。
なぎさドライヴウェイ、ご機嫌ですよね。
走った後の洗車が大変かも知れませんけど。
しばらくご無沙汰しているうちに、
能越自動車道が延びてたりして、
道路事情も飛躍的に良くなっていますね。
私も次回はクルマで出掛けようかな、
と思いました。
日本の伝統工芸も部材の輸入なしでは成り立たないのですね。
ためになりました。ちょっと寂しい現実ですね。
ブログは毎回見ていますが、コメントお久しぶりです。
いやあ今回の「花嫁のれん~七尾線を完乗」は気合入っていましたね。写真の数々良かったです。毎回同じことを書きますが、私はお酒と肴、これが目当てですから素晴らしかったと思います。
「能登末廣」から始まり「宗玄 黒峰」で終わる構成と肴を見ると「飲みたい!食べたい!」と心底思いました(笑)
💻先月中は湖面と応援👍を有難う御座いました✌・今月も先月同様に宜しくお願いします!
@☺@私も色んな情報を見聞させて頂くのを楽しみにしております。
*🎥*最後に今日のMyBlog見て頂いた感想コメントも楽しみにお待ちしていますネ。<welcome!>
◆今朝は来訪コメントのお礼とブログへのお誘いで失礼します👋・👋~!
花嫁のれんのホーム
結局車両は見たことがないので
参考になりました。
2年前の千里浜なぎさドライブウェイへ走りに行った時にこの記事読めてたら車中泊の時に末廣とか飲めたのにと思うと少し残念(^^)
次の機会の楽しみにします♪
輪島塗りの、部材を、イタリア、台湾から
山中に卸しています。