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▲ 昭和の名画「砂の器」
自由が丘大人の音楽教室の新沼健です。
「自由が丘大人の音楽教室」とは関係無い、映画・ドラマの感想、美味しかった料理、世相について思うことなどをこちらに書いています。
家人を伴い、午前10時の映画祭10で上映中の昭和の名画「砂の器」を鑑賞してきました。
午前10時の映画祭は本年度限りで終了するとのことで、往年の名画を劇場で見る機会が激減してしまうようで誠に残念ではありますが、商業的にかなり厳しいそうで、区切りの10回までやっていただけたというのもスタッフ皆さんの熱意が有ったればこそと思い、最終年は出来る限り劇場に足を運ぼうと思っています。
さてこの「砂の器」ですが、言わずと知れた名作で、原作・松本清張、脚本・橋本忍の名コンビの代表作で、映画・TVで何度と無く今に至るまでリメイクされつづけている作品です。
当作品はビデオ、DVD、ブルーレイなどで少なくとも3回は鑑賞しているのですが、劇場での鑑賞はおそらく今回が最初で最後になるだろうとの思いから劇場に駆けつけました。
まず映画の構成(脚本の出来)が抜群です。
松本清張の原作の出来がかなり悪いにも関わらず、原作の良いところは残して、橋本忍が大胆に原作を改変した結果、今日まで繰り返し繰り返し、何度も何度もリメイクされる名作になりました。
その証拠にリメイクされた作品全て当作品の脚本・構成を元にしています。(原作・松本清張、潤色・橋本忍というようにクレジットされることが多いようです)
余談ではありますが、最終年の午前10時の映画祭は内外27作品が上映されます。
そのうち邦画は4作品だけなのですが、全て脚本は橋本忍(共同脚本を含む)です。
ちなみにその4作品は、「砂の器」(上映中)「日本のいちばん長い日」・「八甲田山」(上映終了)「七人の侍」(来年上映予定)
劇場の大スクリーンでの鑑賞は、やはり家庭のTV画面での鑑賞とは段違いで、迫力が4〜5倍増しになったように思います。
その代わり、重要なシーンで俳優の目からフォーカスがズレているのもはっきり分かるようになってしまい、ある意味、痛し痒しとも言えました。
またフォーカスがズレているばかりでなく、色彩が鈍くて汚く見えることがとても残念です。
私同様、いまいちに見える映像を現代の技術で綺麗に撮れば、ずっと良い作品になるとリメイクする製作者たちは思うのかも知れませんが、残念ながら本作を上回るリメイク作品は度重なる挑戦にも関わらず、一度として製作されていません。
丹波哲郎、森田健作、加藤剛、緒形拳の主要キャストの飛び抜けた存在感が、映像の汚さという本作の弱点を補ってリメイク作品の追随を今に至るまで、全く許さないのでしょう。
鑑賞後に爽快感や幸福感が残る作品ではありませんが、ぜひとも劇場での鑑賞を超強力におすすめします。