つれづれに 

老いてゆく日々、興味ある出来事に私見を添えた、オールドレディーの雑記帳です。

大人げないジダン・・・

2006-07-11 | Weblog
 W杯決勝でイタリア選手に頭突きして退場処分を受けたフランスのジダンが、ドイツ大会最優秀選手(MVP)にあたるゴールデンボール賞に選ばれたそうだ。日本の常識では考えられないが、「頭突き」の場面だけが後世に残ることを懸念したFIAの粋な計らいか。
 今朝の新聞・テレビは、イタリアの優勝よりも、あのジダンの頭突きの話題で盛り上がっている。一体何が原因だったのか、二人の当事者は何も語らないが、色々な憶測が流れている。一つにはジダンが貧しいアルジェリア系移民であるがため、差別的な発言があったのではないかという。黒人・白人・アラブ人の多人種、多民族からなる「移民系国家フランス」にあっては国民的英雄でも、根底には人種、民族間を隔てる垣根が存在し、ジダンの心底にも絶えず意識するものがあったのではないだろうか。
 作家・村上龍氏の「W杯リポート」の中で、「どんな理由があっても暴力行為は容認できないが、ジダンのあの馬鹿げた行為に、サッカーの一つの本質を見たような気がした。…中略…。サッカーの本質の一つに「大人げない」というのがある。たとえばドリブルでも突っ込んでくるFWにGKが体を投げ出してボールをセーブしようとする時など、頭を蹴られそうで見ていて怖い。私は絶対にできないと思ってしまう。…中略…、サポーターもさまざまな「大人げない」応援をする。中には違法なものもあって、それはもちろん厳しく取り締まられるべきだが、サポーターの「大人げない」興奮しきった応援が選手への切実な鼓舞を生む。ジダンは、自身の最終戦で最低に「大人げない」反則をやった。…中略…。極度の集中の中でジダンの精神は、マルセイユの路上や広場で移民の子どもたちと一緒にボールを蹴っていたころに完全に戻っていたのかもしれない」と書いている。私も昨日のブログで「大人げない行為」と書いたが、それしか表現が思いつかなかったのであるが、村上氏のリポートを読んで、大いに共感した。
 フランス国民はドイツから帰国したジダンを温かく迎え、大統領も称賛のメッセージを送った。神懸りと評される彼のプレイを17台のカメラで追ったドキュメンタリー「ジダン 神が愛した男」が、7月15日に東京・シネカノン有楽町で公開されるそうであるが、その最後のシーンが、あのイタリア戦で、ピッチから退場するジダンの背中を映したのと同じようなシーンであるというから、なにか因縁めいたものを感じる。

 余談だが、PKは、ゴールから11メートル離れたところにボールを置いてけるのであるが、選手はGKと絶対に「目を合わさない」、GKとの心理戦争で、その駆け引きには底知れぬものがあるという。わずかな距離だがゴールが実に遠くに見えるというから、その重圧はいかに大きいものか本人にしか分からない。
 もう一つ、優勝したイタリアにはFIAから日本円で約23億円、2位のフランスは約21億円の賞金が分配されるそうだ。決勝トーナメントに進めなかった日本でさえ約6億円が分配されるというから、この大会の興行収入はどれくらいになるのか想像もつかない。とにかく老若男女が楽しめる世界一の大イベントであることには違いない。
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2 コメント

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Unknown (kiyosan)
2006-07-11 17:17:40
黙って沈黙していたら、世間様は恐ろしいよ

色々な憶測や、ストーリーが出来あがり、知らなくてもいいジタンのプライバシーが知れ渡る

知ろうとするマスコミは怖い

オールドレデーサンの掘り下げた情報源はとても、凄い!
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Unknown (オールドレディー)
2006-07-11 19:58:02
 私もにわかサッカーファンです。でも、すっかりその気になって、体が達者なうちに一度くらい本当の試合が見たいと思っています。

 4年先は長いけど、頑張ろう。
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