米朝が対話に踏み出したら・・・

　誰にも止められない北朝鮮の挑発行為。国連安保理は11日、北朝鮮に対する制裁決議を全会一致で採択した。が、これで白旗を掲げる北朝鮮ではあるまい。
　アメリカは北朝鮮の「先制攻撃」を今か今かと待っているという。だが、朝鮮半島周辺でのアメリカの軍事力の拡大を警戒するロシアと中国は“対話”による解決を求めている。
　もし、アメリカと北朝鮮が対話に踏み出したらどうなるのか？　９月８日、ネットに興味ある記事を見つけた。（要点だけ抜粋）
　北朝鮮の獲得目標は、金正恩体制の継続に対する米国の保証だ。金正恩・朝鮮労働党委員長は核とミサイルさえ手に入れれば、米国に脅されずに現体制で生き残れると考えて、核とミサイル開発にばく進している。
　米朝対話が始まると、「金正恩体制の維持と引き換えに、北朝鮮が米国本土の安全を保証するかどうか」が最大の焦点になる。そして、米国の最優先目標は何かといえば、米国自身の平和と安全確保だ。具体的に言えば、米国は本土の安全を確保するために核の運搬手段である大陸間弾道ミサイル（ICBM）の放棄が実現すれば、最低限の要求は満たされる。核兵器は廃棄できなくても、核爆弾が本土に飛んでくる恐れはなくなるからだ。
　一方、北朝鮮はICBM放棄と引き換えに、米国から金正恩体制維持の保証が取り付けられれば、妥協するかもしれない。だが実際には、核兵器とICBMの完成が間近な今となっては、北朝鮮が取引に応じる可能性はゼロでなくても極めて低い。
　しかし、もし米朝の取引が成立すると、日本はどうなるか。日本を射程に入れた中距離弾道ミサイル、ノドン（射程距離1300〜2000キロ）はすでに数百基が実戦配備されている。ノドンは（完成済みかどうかは別にして）小型核弾頭や化学兵器弾頭も搭載可能と言われている。
　つまり、米国は北朝鮮との交渉でICBM放棄を勝ち取って安全を確保したとしても、ノドンが残る限り、日本にとって危機は終わらない。むしろ米国が安全になれば自国の安全を最優先する結果、日本が脅されても米国の本格介入を期待できなくなる危険性すらはらんでいる。
　これには「日米安全保障条約があるから大丈夫」という反論があるだろう。だが、それは「憲法９条があるから日本は平和」というのと同じだ。国の平和と安全は一片の条約や憲法のような「言葉」で守られるものではない。あくまで力を背景にした現実の国際関係が基盤になる。
　米朝が対話に踏み出して北朝鮮と交渉すれば、米国はICBM放棄を勝ち取って、最低限は自国の安全を確保できる可能性がある。その後、北朝鮮の核に脅され続ける日本や韓国を、米国がどこまで親身になって守るかどうかは米国次第だ。
　一方、北朝鮮は米国に認められた核保有国として堂々と核開発を続けるので、日本や韓国に対する脅威は格段に増す。そのとき日韓は米国頼みでない自前の抑止力を高めるために、やがて核武装を目指さざるをえなくなる。それが対話路線の行き着く先ではないか。
　ではどうすればいいのか、解決策は一向に見えてこない。しかし、北朝鮮もバカではないから本気で戦争する気はないだろう。自分から先に手を出せば一巻の終わりだということも、アメリカには絶対に勝てないことは百も承知だろう。それでも無条件で対話に持ち込み、アメリカに核保有国として認めさせるには、核・ミサイル発射で脅し続けるしかないのであろう。さて、どちらが先にプッツン切れるか、今は我慢比べの時か？
　狂気の“バカボン”は何をやらかすか、不気味でならない。万一、日本の原発にミサイルを撃ち込まれたら、日本列島などひとたまりもない。また北朝鮮は、先日爆発事件を行った「水爆」を電磁パルス（EMP）攻撃にも使用できると発表した。これが脅しならいいが、地上30km以上の高さで核爆発が起きると、地表に向かって強力なEMPが発生する。強い電磁波は電力、通信システムを破壊し、鉄道や飛行機の運動を妨げ、水やガスの供給をマヒさせるという。その影響は一時的でなく、復旧には年単位の歳月を要するという。
　これが映画の話なら、すぐにも凄腕のエージェントによる「北のバカボン暗殺作戦」が開始されるのだが…。そうでもしない限り終わりそうにない。