最近のドラマは若者向けのものが多く、年寄りが観たいと思うようなドラマは少ない。が、このドラマは予告CMを見て、久しぶりに観てみたいと思った。
7月期にテレビ東京系で毎週月曜日午後10時から放送されたドラマBiz『ラストチャンス再生請負人』全8回である。
江上剛著の経済小説で、ストーリーを大まかにいえば、大手都市銀行に勤めていた主人公樫村は、財閥系銀行との合併を機に飲食フランチャイズ企業のCFO(最高財務責任者)へ転身、企業再建に奮闘する。数々のピンチに見舞われながらもラストはお決まりのパターン、「終わり良ければ総て良し」のドラマである。
この小説は元銀行マンの経歴を持つ江上剛氏の経験に基づき書かれた作品だそうで、「フランチャイズ」や「第三者割当増資」「自己破産」などの経済用語がたくさん出てきて、いい勉強になる。
主演の仲村トオルは、その昔、舘ひろし、柴田恭兵コンビによる人気ドラマ「あぶない刑事」で、2人にいじられまくっていた新米刑事だ。あの頃から好きだったが、その彼ももう50歳、こういう役がやれるようになったんだなあ。
このドラマの中におもしろい言葉が出てくる。辞めてゆく同僚の送別会の帰り、ひょんなことから樫村は占い師に手相を見てもらう。占い師は樫村に「人生、七味とうがらし」と一言。七味とうがらしとは、人生の味付けをするのに必要な“うらみ、つらみ、ねたみ、そねみ、いやみ、ひがみ、やっかみ”のことを意味し、占い師は続けて「これからは七味とうがらしをたっぷりきかせた、味に深みのある人生になる」と予言する。
何もない単調な人生より、多少は味付けのある人生の方がおもしろいだろう。が、これほど多くの味付けはごめんこうむりたい。
この「七味とうがらし」の、“ねたみ、ひがみ、やっかみ”は女の特権みたいなもの。私の胸の中にもいつもあるが、ただ感情をむき出しにしないくらいの分別はある。
また、新聞の投稿文にあった「幸せのはひふへほ」。“は”半分でいい。“ひ”人並みでいい。“ふ”普通でいい。“へ”平凡でいい。“ほ”ほどほどでいい――教訓にしたい名言である。
これは自分を見つめ直し、「我欲」を捨てよという戒めの言葉ではないか、私はそのようにとらえた。が、俗人の私にはなかなか調節が難しそう…。
もう一つ、荘子のなかに「命長ければ恥多し」というのがある。意味は「長生きすればする程、それだけ恥をかく機会も多いということ」だそうだ。私もしかり…。
振り返ってみれば、「七味とうがらし」で味付けされた深みのある人生ではなかった。たくさんの経験をし、たくさんの恥もかいた。それでもまあ、そこそこおもしろい人生だったと思うよ。
皮肉屋荘子の面目はこの後「病、老、死」の三患に煩わされることがないならば命がながくともなんの恥が多い事があろうか
ときっぱり否定する。
「三患至莫く、身常に殃なければ則ち何の辱か之有らんと」これが荘子の真意!
命ながらえば恥多し」と書き残したわりには長生きした吉田兼好
現代事情ではやっぱり長生きは恥多しが正解でしょうね。
くわしい説明ありがとうございました。
ちょこっとかじっただけの浅学の身が恥ずかしくなります。まさにこれこそ「命長ければ恥多し」ですね。
もうこの年になれば「恥はかき捨て」でいこうと…。
コメントありがとうございます。
昨日退院してコメントを拝見しました。またあなた様のブログも拝見して、とんでもないお褒めの言葉に穴があったら入りたい思いです。
ババの繰り言で大したことは書けませんが、読んでいただいて、おまけにブログの紹介までしていただき、恐縮しております。有難うございます
これからはあなた様のブログへ訪問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
先ずはご挨拶まで。