２人の韓国人、パク・ヨンハと金元死刑囚・・・

　先月３０日に自殺した韓流スター、パク・ヨンハを追悼する献花式が１８日、東京・丸の内の東京国際フォーラムで行われ、約１万４２００人のファンが献花に訪れたという。テレビのモーニングショーなどでその様子が放送されていたが、喪服姿で泣き崩れるファンの姿を見て、芸能人の死に涙を流せる人って幸せなんだろうなあと…。が、私も韓流ドラマにはまっているが、この人たちの気持ちはどうにも理解できない。
　どういう質問だったか途中からだったのでよくわからないが、リポーターにマイクを向けられた私と同年代の女性が、「……、そう思います。そう思わないと生きてゆけませんから…」と涙をぬぐいながら答えているのを見て、もしこの人の連れ合いが聞いたらどう思っただろうか、なーんて大きなお世話か…。　　
　彼の葬儀の際には妙齢のご婦人たちが大挙して韓国を訪れ、霊柩車にすがりつき号泣、お墓の前で泣き伏すなどの様子に、韓国メディアは半ばあきれたかのような報道だったとか。日本では韓流ドラマの火付け役だっただけにファンは多いそうだが、韓国ではそれほど人気は高くなく、ファンはわりと冷静だったという。まあ、人それぞれだから、誰を好きになろうと人に迷惑を掛けなければいいけど、外国の地で失笑されるようなふるまいだけは慎んで…。

　韓国人といえば、２０日、「国賓級の待遇」で来日した金賢姫元死刑囚。巨額の費用と人員を投じながら、拉致問題解決につながる新情報は全くなかったという。２００２年１０月に帰国した拉致被害者の蓮池薫さんの兄透さんは、今回の金元工作員の来日について、「しょせん２３年前の人ですから、超法規的措置を取ってまで、来日する意味があるのかどうか。韓国政府と日本政府のある一部の人の利害関係が一致した、パフォーマンスであるというふうに思います」と言ったそうだ。
　拉致被害者家族の藁にもすがりたい気持ちは理解できるが、蓮池透さんの発言を否定することはできない。金元工作員は、１９８７年１１月２９日の大韓航空機爆破テロ事件の犯人として逮捕され、以来２３年間北朝鮮とは全く関係なく生きてきた人である。２３年も経てば記憶も薄らぐだろうし、そんな人から何の新情報が得られるというのか。それに、彼女がこれまで拉致被害者について語ったこともすべて真実かどうか、それを裏付ける証拠があったわけでもない。彼女の存在価値は拉致被害者のことを知っているというだけで、北朝鮮から身を守るにはそれが唯一の命綱であろう。そんな彼女の話を誰も疑ったことはないのだろうか。

　お昼のテレビに出演した横田夫妻もはっきりとは言わなかったが、何の収穫もなかったことに失望していたようにも見受けられた。金元工作員の「生きていると思います。必ず戻ってきますよ」という言葉に力づけられたとは言いながら、確たる根拠のない言葉が空しく聞こえたのではないだろうか。
　「国賓級の待遇」で迎えながら政府関係者と面会するでもなく、記者会見するでもなく、一体何が目的で来日させたのか。結局、被害者家族に失望させる結果に終わったようだが、それでも政府から金元工作員には多額の礼金が支払われるという。
　来日を主導した中井洽拉致問題担当相は「パフォーマンスなら（参院）選挙前にやっている」と反論。一方で、政府関係者は「サッカーのワールドカップが終わり、来日のニュースが注目されやすいこの時期を選んだと聞いた」と打ち明けたというニュースも…。
　鳩山元首相は「国益になるなら…」と別荘の使用を了承したそうだが、どこが国益になるのか。むしろ、北朝鮮を刺激しただけではないだろうか。今、必要なのは現在の情報であろう。同じ巨額の費用を投じるなら、米国のＣＩＡや韓国諜報機関に協力を求め、何よりまず情報収集することのほうが重要ではないだろうか。
　世論の支持を得たいがための金元工作員来日は、どうやら当てが外れたようである。さあ、支持率アップに政府が考える次の一手は