10月に入り、朝夕めっきり冷えこんできた。日中の日差しは強くても日陰に入れば肌寒いほどの風が吹きわたる。わが家の道路向いの山からどんぐりの実が落ちてきてはコロコロ転がって、通る車に容赦なく轢かれてぺっちゃんこ。玄関脇の植え込みの金木犀に花がちらほら、遠くにいても甘い香りが漂ってくる。
秋を形容する言葉は色々あり、実りの秋、行楽の秋、スポーツの秋、読書の秋、芸術の秋、味覚の秋、食欲の秋などなど。が、古き乙女のババはちょっとおセンチに、もの思う秋、感傷の秋である。
いたずらに馬齢を重ねて72年。遠き昔の記憶は鮮明で、最近のことはすぐに忘れるというのは、まさに年を取った証拠である。昨今は、あえて難しいこと、面倒なことには目を向けず、楽な方へ楽な方へと流され気味なババ。毎日が楽で退屈しなければいい、そんな怠惰な日々にも焦りを感じなくなっている。そのうち、考えることもしないで、日がな一日ぼんやりと過ごすようになるのだろうか。
若かりし頃は、人並みに上昇志向はあった。20代後半、書道に熱が入り、岡山県展に出品したこともある。ゴルフの打ちっぱなしにも通いつめた。クラシックコンサートやクラシックバレエ鑑賞、絵の展覧会と、高尚な趣味もあった。が、働いて生活の糧を得なければならなくなってからは、そんなお遊びとは縁がなくなった。
40年以上も昔のこと、流行のキャリアウーマンめざして、タイピストの資格を取った。その頃は印刷会社の版下作成の請負仕事は手に余るほどあった。そして、時代はタイプからワープロへと変遷。その後、1995年の「whindows95」の発売で、一気にOA機器の時代となって、印刷製版もパソコンの時代となった。ありとあらゆる版下作成に対応できるように、独学でスキルを磨いた。
母への仕送りが必要になって、土・日・祭日にギフト店で「熨斗」の名前書きのアルバイトを13年、若い頃に習った書道が役に立ち、「芸は身を助く」となった。
それから10年もすると一般家庭にもパソコンが普及し、版下作成の仕事もだんだんと少なくなってきたのを機に、知り合いのギフト店のデータ入力の仕事に転職。時間に縛られる正社員は断って、時給1000円のアルバイトを10年間続け、2008年にリタイヤした。考えてみれば、宮仕えもせず、一生自分の好きな仕事で稼げたというのは幸せであり、運が良かったのだと思う。
365日が休日いう生活は人間を怠惰にする。スイミングに通う以外はすることもなく、その頃は今のように韓流ドラマに興味もなかったので時間をもてあました。死ぬまでこんな生活が続くのかと思うと、どうしようもなく焦りを感じて、何か夢中になるものを探さなければと、思いついたのが小・中学校以来のお絵描きである。
NHKの水彩画通信教育を半年受講。教材の絵が描けたら送って、添削されたものが返ってくるというシステムで、まどろっこしいことこの上ない。別に上達を望んでいるわけでもないので我流で始めたら、意外と描けるので夢中になって遊んだ。
だが、2009年頃から韓流ドラマにはまり、お絵描きも中断したままである。今はもう上昇志向などまったくない。ただ、毎日が退屈しなければそれでよし、お金のかからない韓流ドラマは最高の娯楽である。ミーハーだ、下劣だとバカにされるかもしれないが、そもそも日本のテレビがおもしろくないのだから仕方あるまい。
老眼鏡は必要ないが、遠視があり、字幕スーパーがはっきり見えない。テレビ用にメガネをこしらえたが、最近は目を凝らしてみるのですごく疲れる。そこで、テレビが大きくなれば字幕スーパーも大きくなるだろうからと、思い切ってテレビを買い換えた。
旧テレビは26型、今度のは42型。同じ距離で、同じズームで撮ってみたらこれだ大きさが違うのである。以前のパナソニックだとDVDレコーダーが使えたのだが、ソニーの色彩の美しさに魅せられて、テレビ、2番組同時予約ができるブルーレイレコーダーとテレビ台の3点セットで購入。おかげで眼鏡なしでも字幕スーパーが読めるのがいい。
これで、また一層、韓流ドラマにはまるであろうが、泣いたり、怒ったり、笑ったりと、喜怒哀楽の感情表現はボケ防止に役立つと信じて疑わない。これってババの言い訳かしらネ。
ミクロの世界なら我々だってバクテリアと同一先祖を持つらしい。そう考えれば自己繁殖だけが目的の生物として、ヒトも決して自分の不利益に陥る振る舞いはしないだろう。
安心して今日一日の安泰を喜び、財布の許す限り楽しみを追求したいと思うsirousagi です。
同好の士(韓流ドラマの魅力追求は宿題に!)を得て意気盛ん
韓流ドラマファンだと知って味方を得た思いでうれしくなりました。
昨今、韓流ドラマファンだと大声でいえない雰囲気ですが、娯楽で見る分には日本のドラマなど比ではありません。とくにホームドラマがいいですね。
もうこの年になって人間性を高める勉強はしんどくてイヤ。面白おかしく生きてゆくのが一番。だから社会のお邪魔虫といわれるのでしょうね。
彼ら、彼女らの過去の活躍、名声など無関係。いま「何とか自立して日常過ごせる」と、これが自慢の種。
出世頭のいとこも 今は施設に入所。ここまでくれば、順不同。いつ誰がどうなるか・・神のみ知る事。思うまま生きたらそれで満足。それこそ“今でしょう”。
誰も老いればただの人。晩年の過ごし方も元気とお金の両方がなければ優雅とはいきません。
「何とか自立して日常過ごせる」ことこそ、一番の幸せかと。明日が知れぬ身となれば、本当に「今」ですね。
タダ願うことは死ぬまで元気でいてポックリ逝くことですね。
観ているのかと思いきやグーグー居眠り。
実物よりも大きく映るテレビ、それでもまだ小さいと言っている。
困った銭喰い虫です。
50型とは大きいでしょうね。
やはり奥様も韓流ドラマファンですか。
テレビの音を聴きながらの居眠りは最高。どこも同じなのですね。
欲しい物を我慢しても、あの世に持ってゆけるわけでもなし、悔やむことはしないことに決めました。
長く生きてきた自分へのご褒美ということにして…。