『週刊現代』今週号の新聞予告「有名企業の採用担当者に聞く“日大の宮川くん、御社なら採用しますか?”」という見出しが目についた。
それに対して、パナソニックは「あの謝罪会見は、企業トップでもなかなか真似できない」として採用。また、みずほ銀行は「たとえ上司でも、違法な命令は拒絶してほしかった」として不採用だという。
たしかに宮川くんのやったことはスポーツマンシップに劣る最低な行為であった。が、20歳になりたての未熟な若者に、分別ある大人の行動を取るべきだったと責めるのは酷だろう。まして監督やコーチの言動に、善悪の判断ができないところまで精神的に追い詰められていたとすれば、なおさらである。
しかし、その若干20歳の青年が顔と氏名をさらし、大勢の前で謝罪した勇気は見上げたもので、心から反省していなければできないことだ。一般企業の不祥事でトップが謝罪会見するのをよく見るが、必ずといっていいほど弁護士が同席し、当事者への質問に対してうまく応答できない状況になったら、横の弁護士が小声で耳打ちしたり、時には弁護士が応答することも珍しくない。
だが、宮川くんはマスコミの質問に答えられない状況になっても、一切弁護士には頼らず、つまりつまりながらでも自分の言葉で誠実に答えていた。あの実直な人柄、誠実な態度に多くの人が好感をもったに違いない。
ともすれば言い訳をし責任逃れをする大人たちが多い今の世に、素直に自分の非を認めて謝罪する潔さ、勇気ある彼の姿に一服の清涼感を覚えた。かといって、あの謝罪会見で一件落着、無罪放免とはならないことは彼もよく承知しているであろうと思う。
ことわざに「過ちを改むるにはばかることなかれ」とあるように、勇気を出して謝罪したからこそ加害者側も許してくれたのである。人生に大きなリスクを背負ってしまったが、まだ若い。人生はこれから、堂々と生きて立派な社会人になってほしい。
話は変わるが、内田正人前監督は日大が出資する「株式会社日本大学事業部」の取締役を辞任したという。大学の常務理事は辞任したが、職員として人事部長、保健体育審議会の事務局長はそのまま、内規により内規により6カ月の自宅待機となっている。ただし、欠勤扱いとして一部給与は支給されるとか。
これだけ世間を騒がせているのに、なぜ、すべての職を辞することを考えないのだろう。厚かましいのにもほどがある。それに雲隠れしている田中英寿理事長も無責任である。日大の改革は、まず田中・内田両氏がすべての役職を辞するところから始まると思うのだが…。
内田氏の刑事責任の追及はこれからだ。警視庁は傷害容疑で捜査しているが、実質的ナンバー2だった内田氏が逮捕や起訴といった事態となった場合、国や自治体が大学に支給する補助金の大幅減額の要件に抵触する恐れもあるとか。
日大は系列の小、中、高校も多く、地方自治体からも補助金を受けている。2018年度予算で日大の収入は約2149億円を見込むが、このうち補助金収入は国と地方を合わせて約153億円。仮に減額されたとして試算すると、予算ベースで約38億円の減収となるという。
大学が色々な面でリスクを負うのは当然だろう。とにかくアメフト部だけでなく、大学の人事も一新して出直す覚悟を見せなければ世間は納得しない。
ずるい大人の見本を、そしてこの生徒の潔さを比べるまでもなく露呈して、まだ役職に恋々としているズルい人間。この生徒に前途に幸あれといのるばかりです。
先日も神戸製鋼の不正事件のニュースがありました。上からの命令で組織ぐるみにやってきたそうで、ノーと言った人はいなかったとか。情けないことです。
昔から「 正直の頭に神宿る(しょうじきのこうべにかみやどる)」といいますが、正直が一番だということですね。
教育の最高学府である大学で、黒い噂のある人がトップといのは問題です。そんなところで人間教育ができますかね。