製薬会社が開発した新薬を厚生労働省に申請する際には、人体への効果や安全性、副作用について検査したデータが必要とされる。そこで、一定期間、製薬会社の指示のもとに新薬を飲んでデータ作成に協力する「治験モニター」というアルバイトがあるそうだ。が、「治験モニター」と言えば聞こえはいいが、いわば「人間モルモット」である。
昨今は、鼻炎やインフルエンザ、高血圧・糖尿病などの生活習慣病の人に対して投薬して調査する日帰りのバイトもあり、入院や頻度の高い通院が必要なければビジネスマンにもできるそうである。通院して薬を飲んでいるだけで数万円の報酬が得られるというのは魅力だろうが、「人間モルモット」になるにはやはり度胸がいるだろう。昔なら、さしずめ苦学生のバイトというところだが、お金欲しさに自分の血液を売っていた時代があることを考えればまだましかもしれない。
健康体でも参加できる治験モニターの報酬は、宿泊タイプで、4泊5日を3セットで30万円、6泊7日で10万円だそうだが、「人体実験」の割には報酬が低すぎはしないか。また、不測の事態が起きた時のために、おそらく契約時に「何が起きても一切異議を申し立てない」とか何とか一筆書かされるのではないかと思うのだが、危険を覚悟のバイトでも申込者は多いそうである。
しかし、中には、長年病気で苦しみ、新薬にわずかな期待を抱いて試用を申し出る患者もいるらしい。私も20年以上前からぜん息を患っているが、1ヶ月以上の入院を3回、たびたび起こる発作に死んだ方がましと思ったこともある。偶然のことだが、8年前、ネットでぜん息患者の体験談から効果がある新しい吸入薬のことを知った。ホームドクターにそれの使用を申し出たところ、「発売されてまだ日も浅い薬だし効果のほどが分からない。当院ではまだ使用したことがないからどうかなあ」と言われた。が、「先生、私がモルモット代わりになります。何があっても一切文句は言いませんから…」と頼み込んで使うことになった。幸いに効果絶大で、それ以来一度も発作が起きていない。が、長年の吸入で声帯をやられ、好きだったカラオケができなくなるという副作用が生じた。だが、「人間モルモット」になってもいい、そんな切実な思いは患者にしか分からないものである。
また、18年前、私の義兄が末期肝臓がんで医師から見放されたとき、藁にもすがる思いで使用を決めたのが、元日本医科大学学長・故丸山千里博士が開発した「丸山ワクチン」である。「丸山ワクチン」は1964年ごろからガンの治療薬として使われるようになり、効果があるという評判に、日本全国からたくさんの患者の家族がやってきたそうである。が、どんなに効果が証明されても、国の認可が下りていないため、患者の担当医が治験を引き受けるという承諾書がなくては使用できなかった。
義兄の場合も、岡山医大では「丸山ワクチン」の使用は許可しないというので、承諾してくれる地元の個人病院に転院した。私は、日医大付属病院宛てに発症当時からの症状を詳細に記した手紙を送り、返事を待った。しばらくして返事がきたので担当医の承諾書を持って東京へ出向いたが、早朝にも関わらず病院には全国から100人以上の人が来ていたのには驚いた。特に肺がんには効果が顕著であるといわれていたが、残念ながら義兄には、一時食欲が出るなどの効果はあったが、そこまでであった。
その後も「丸山ワクチン」の使用を希望する人は増え続け、今でこそ部分認可され有償治験薬として医療費控除の対象にはなっているが、正式な認可はまだ下りていない。今でも多くの人が認可を切望しているそうだが、すでに丸山博士も他界されており、新たな効果がみられないことから認可されるにはまだ時間がかかりそうであるという。
昨今は、鼻炎やインフルエンザ、高血圧・糖尿病などの生活習慣病の人に対して投薬して調査する日帰りのバイトもあり、入院や頻度の高い通院が必要なければビジネスマンにもできるそうである。通院して薬を飲んでいるだけで数万円の報酬が得られるというのは魅力だろうが、「人間モルモット」になるにはやはり度胸がいるだろう。昔なら、さしずめ苦学生のバイトというところだが、お金欲しさに自分の血液を売っていた時代があることを考えればまだましかもしれない。
健康体でも参加できる治験モニターの報酬は、宿泊タイプで、4泊5日を3セットで30万円、6泊7日で10万円だそうだが、「人体実験」の割には報酬が低すぎはしないか。また、不測の事態が起きた時のために、おそらく契約時に「何が起きても一切異議を申し立てない」とか何とか一筆書かされるのではないかと思うのだが、危険を覚悟のバイトでも申込者は多いそうである。
しかし、中には、長年病気で苦しみ、新薬にわずかな期待を抱いて試用を申し出る患者もいるらしい。私も20年以上前からぜん息を患っているが、1ヶ月以上の入院を3回、たびたび起こる発作に死んだ方がましと思ったこともある。偶然のことだが、8年前、ネットでぜん息患者の体験談から効果がある新しい吸入薬のことを知った。ホームドクターにそれの使用を申し出たところ、「発売されてまだ日も浅い薬だし効果のほどが分からない。当院ではまだ使用したことがないからどうかなあ」と言われた。が、「先生、私がモルモット代わりになります。何があっても一切文句は言いませんから…」と頼み込んで使うことになった。幸いに効果絶大で、それ以来一度も発作が起きていない。が、長年の吸入で声帯をやられ、好きだったカラオケができなくなるという副作用が生じた。だが、「人間モルモット」になってもいい、そんな切実な思いは患者にしか分からないものである。
また、18年前、私の義兄が末期肝臓がんで医師から見放されたとき、藁にもすがる思いで使用を決めたのが、元日本医科大学学長・故丸山千里博士が開発した「丸山ワクチン」である。「丸山ワクチン」は1964年ごろからガンの治療薬として使われるようになり、効果があるという評判に、日本全国からたくさんの患者の家族がやってきたそうである。が、どんなに効果が証明されても、国の認可が下りていないため、患者の担当医が治験を引き受けるという承諾書がなくては使用できなかった。
義兄の場合も、岡山医大では「丸山ワクチン」の使用は許可しないというので、承諾してくれる地元の個人病院に転院した。私は、日医大付属病院宛てに発症当時からの症状を詳細に記した手紙を送り、返事を待った。しばらくして返事がきたので担当医の承諾書を持って東京へ出向いたが、早朝にも関わらず病院には全国から100人以上の人が来ていたのには驚いた。特に肺がんには効果が顕著であるといわれていたが、残念ながら義兄には、一時食欲が出るなどの効果はあったが、そこまでであった。
その後も「丸山ワクチン」の使用を希望する人は増え続け、今でこそ部分認可され有償治験薬として医療費控除の対象にはなっているが、正式な認可はまだ下りていない。今でも多くの人が認可を切望しているそうだが、すでに丸山博士も他界されており、新たな効果がみられないことから認可されるにはまだ時間がかかりそうであるという。
新薬の開発にはある程度の犠牲もやむをえないこともあるでしょうね。
花岡青洲のように妻を実験台にして麻酔を試した時代と比べれば、今の新薬開発は楽でしょう。
厚労省の認可を得るのは大変らしいですが、今では後発薬品(ジェネリック)も種類が多くなりましたね。
管理職は経営側だから仕方ないとあきらめていますが、麻疹などの軽い副作用が出ただけでも試験は中止。
一般公募はそれ以降だそうですから、かなり安全性は高いと思います。