つれづれに 

老いてゆく日々、興味ある出来事に私見を添えた、オールドレディーの雑記帳です。

治療費の未払い増加・・・

2006-07-25 | Weblog
 どうにも信じられないことだが、全国的に治療費の未払いが増えているという。ある4つの病院団体が調査を行い、2200余りの民間病院が回答したところによると、去年3月までの過去3年間に、診察を受けた患者が支払わないままの治療費がある病院は93%にあたる2093に上るという。これらの病院が抱える未払いの総額は、3年分の累積であわせて189億円余り、1病院あたりの平均はおよそ903万円に上っているという。治療費の未払いは、生活の苦しい患者の増加などを背景に急増し、NHKが調べたところ、都道府県立病院など全国263の主な公立病院でも、累積で平均4160万円余りに上ることが明らかになっている。このまま未払いが増え続ければ、多くの病院で経営を圧迫し、医療の質の低下につながりかねないとの危惧もあり、対策が検討されているという。 

 どういう状況で未払いが生じるのか理由は明らかにされてないが、通院の場合は治療費を支払わずに薬はもらえないだろう。しかし入院した場合、大概の病院は退院当日に請求書が渡され会計で支払うシステムになっている。私も1月に盲腸で入院して、退院時に請求書を持って会計に行ったが、ふとこのまま支払わずに帰ったら……と一瞬頭をよぎった。が、そこは患者との相互信頼で成り立っているのであり、未払いのまま退院する人などあろうはずがないと思っていたが、現実には「ない袖は振れぬ」でトンズラする人がいるということだろう。
 総合病院などは入院時に、色々と家庭環境や、その他個人情報を記入する用紙を渡され、また保証人の署名捺印も要求される。だから治療費を支払わずトンズラすれば、保険証で身元はバレているし、保証人に請求されるのであるから未払いになるなど考えられない。病院側も最初からお金の有無を確認するわけにも行かず、ホテルのように前金というわけにもゆくまい。だが、もし救急車などで搬送されて未払いリストにある患者と分かっても、診療を拒否することは法律で禁じられているため、病院側は仕方なく受入れざるを得ないそうである。
 これらは保険証を持っている人の未払い問題であるが、それ以前に、全国的に国民健康保険料の滞納者件数が増えており、このままでは年金制度と同様に医療制度の崩壊にも繋がりかねないという。厚生労働省は2月、全国の市町村に収納率を上げるための緊急プラン策定を指示したというが、先ごろの社保庁の国民年金保険料収納率アップの指示を思い出した。
 国民健康保険(国保)の保険料の長期滞納を理由に、正規の保険証を市町村に返還させられ、代わりに「被保険者資格証明書」が交付される。その交付数が増えて、2005年度は全国で約32万世帯に上り、2000年度の3.3倍だという。「被保険者資格証明書」の交付は滞納対策の一環だが、証明書で受診した場合、医療機関の窓口でいったん医療費を全額自己負担しなければならず、受診を手控えるケースが後を絶たない。そのため2000年以降、少なくとも21人が受診抑制の末、死亡しているという。しかし、年金のように将来の問題ではなく、保険証がなければ全額自己負担という、間近に起きる影響を考えると、まだ年金より滞納率は低いそうである。
 景気は上向きへ、わずかな率のゼロ金利解除、銀行だけが大幅な黒字でほくそ笑んでいるが、こうした底辺に生活する者の切実な問題は誰が解決してくれるのだろうか。
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