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即時荷重インプラント治療 現在の到達点(3)-1

2008年01月24日 | ニュートンドクター見て下さい。
以下は、私が書いている”歯科医療”の連載原稿です。
スライド、図等が乗せられませんが、文章だけでも参考になると思いますので、載せておきます。
詳しくお知りに成りたい方は、どうぞ購入下さい。

即時荷重インプラント治療の現在の到達点(3)
1本欠損への抜歯同時植立を含む即時荷重治療 編 前編
                  
始めに、今回特別にお許し頂き、前後編の2回に分け、連載を延ばさせて頂ける事になった事をご報告する。理由は、今話題のものの為、私も熱が入り持論を展開して行って枚数が収まりきらなくなった為である。(図1)今回は辛いかもしれないが理屈、理論を述べ、次回に臨床を中心にさらに具体的に解説したい。

前回は、部分欠損症例への即時荷重治療を述べさせて頂いた。少なくとも、国内では部分義歯の方がインプラントを考える最大の対象であろうと、私は考えている。(図2)その為に、一番始めに取り上げた。現在でも、部分欠損即時荷重を、真正面からとらえたものは殆ど見ない。従って、限られた紙数の中で、臨場感を伴うよう工夫して出来る限り述べたつもりである。

因みに、部分欠損の難しさは義歯であろうと、インプラントであろうと同じと考えている。即ち、部分義歯でも治せる実力者は、部分欠損インプラント治療も上手く出来ると考える。が、逆は真ならずで、部分欠損インプラントが上手くても部分義歯は疑問符が付く方が多い。これは正直由々しき事態、と私は個人的に考えている。(図3)

では今回は、今最もホットな話題である抜歯即時植立を含めて1本欠損への即時荷重インプラント治療の、考えと現在の到達点をお話しようと思う。

1)基本的な概念について
インプラント治療で、患者はいまだに植立されれば、本当にすぐに歯が入り、しかも何事もなく噛めると信じている。これは我々にとって意外な反応である。それに対しては、患者側の知識が未熟な事がその原因として、我々は意に介さず、インプラントとはそう言うものなんですよ、という説明を十分にしていれば、それで良しとしていた。確かに、骨を相手の治療で骨折と同じなんですよと説明すれば、患者はなんとなく納得するであろう。(図4)
しかし、従来の歯科治療では、歯を削り型(印象)を採る場合でも、仮歯が口の中に入って、それでその日からほぼ通常通り噛めるように成っていた筈で、勿論慣れるまでの問題があっても、それが基本的には殆ど使わないでくれ、と言うのはあまり無かった筈である。患者は怖がる割には小さい手術で、たいした事ないとしか認識はしてくれないのだ。

それくらい、インプラントに対する患者側の誤解には根深いものがある。それが近頃の即時負荷の流行と共に、安易に患者、DR双方に適用され、実は意外にずっと難しく、結果深刻な問題に発展しかねない危険性を孕み出している事を、まず理解して頂きたい。

斯く言う私も即時荷重を日頃実践して、患者側からの存外の評価の低さに、苦労に見合わないなと嫌気が刺した事も少なからずあった。かなり色々と勉強してきて来られた患者は、相当に奇跡的な治療であると持ち上げてくれ、嬉しくなる事を何度も経験してきたが、逆に、何も知らない普通の患者では、当たり前のような顔をされ、ガッカリした事も多い。
それでも、従来の方法に比べて即時荷重を、抜歯同時植立を含めて行えると、すぐに歯が入ると言う劇的な効果が得られ、患者の喜びは大きい。実際治療が終了した後で、友人とか知人が他院で実際に治療した場合と比較され、飛躍的に早かったと言う事で大変に満足され、その詳しい内容を話せずに困った、と言う反応も増えている。(図5)それが結果、インプラントなら当院に、と言う高評価と成り、紹介患者が加速的に増加しているのだ。

従って、今私が思う事は、患者教育が非常に重要であり、実績を積み上げる事で評価して頂くしかない、と考えている。つまり先月触れた内容は、自身の反省、知識技術に偏り、患者にそれを上手く伝えられなかった過去の苦い経験からのものであると分かって頂けると有り難い。

しかも、1本欠損に関しては、患者はほぼインプラント治療に関しては初体験の方が多く、上記のような即時に関して当然であるとなんとなく信じ込んでいて、歯がすぐ入らないと言う事にかなりの抵抗を感じるであろうと考えている。
要するに何がいいたいかと言えば、単独歯の即時荷重治療は、現在我々の業界でトピック的に取上げられる事が多く、出来るようになったら凄いとDRは感じるかも知れないが、患者はそうではない。逆に普通だなと受け取られるものであると気付いて欲しいのである。
つまり、私はこれはもう当然の治療レベルであると明言して、患者に提供出来て頂きたいと願っている。(図6)しかし、案外に落とし穴が待っていて、難しい面もある。それを上手に避けてその一助となり、真に患者、DR双方に役立つものを心血を注いで書くつもりである。
臨床応用の面でも、すぐに活用出来る内容を目指している。

2)1本欠損に対する即時荷重の実際の概念
私は常に基本的な概念から解説を始める。その理由は、概念の理解が一番重要であり、基本を習得した後、自身で色々応用して行くには概念が要であると信じているからである。概念の理解は、遠回りに見えても、手先だけの技術の習得に固執するよりも生涯に渡って有益だと信じている。今の若いDRの中には、ここの立ち位置が不安定な方を時折見掛ける。1本芯が通る概念の理解、これが後々必ず活きてくると助言する。なので、普段からそれを意識しながら勉強する事を、強くお勧めする。

では、実際の1本欠損の概念について持論を展開して行く。
1本欠損の症例が、まず基本的なインプラント治療の入り口である事には疑いがない。最も多いのは6番欠損で、特に下顎の方であろう。そこに対してインプラントを適用し、それ以上の歯列崩壊を食い止められる意義は、非常に高いと考える。従って、是非インプラントに懐疑的な方程ここら辺から始められる事をお勧めする。(写真1症例写真、術前、術後)

1本欠損は、顎位の問題も殆どの場合存在しない。喪失理由を考える時、カリエス、エンドリージョン(破折を含む)、ペリオ、外傷が4大欠損原因であろう。カリエスと外傷が原因の場合で顎提が保存されている場合は、問題は比較的に小さい。(図7)

所で、今回の本論とは外れるが、外傷の場合、個人的には相当数救えるものが、安易に抜髄、更には抜歯されている(国内のみならず世界的においても)現状には、多大な問題が存在している事を強調したい。外傷の正しい治療が普及する事を心から、願って止まない。
学ぶには名古屋の月星光博先生の下がベストであろう。先生はその道の真の世界的権威であるからである。今年のAO(アカデミー・オブ・オッセオインテグレーション、世界最大のインプラント学会)に置いても、かのリンデ、ターナー、サローマと一緒の演壇で講演され大好評を博していた。又、会場を歩いているだけで、TUKIBOSIと呼びかけられ、自分の国でも講演して欲しいと数ヶ国の方々から依頼されていた。それくらい、真の外傷始め自家歯牙移植、歯周病、更に最近話題のMI治療で世界的権威である。

では、本論に戻ろう。問題はぺリオとエンドリージョン(破折を含む)のような場合である。この問題は要するに、顎提の歯槽骨が維持されているかいないかの問題でしかない。つまり、インプラントの全周に歯槽骨が充分に存在しているかどうか、が大きな問題であると言う事である。何処までのレベルで病巣が広がっていて処置を出来れば、即時植立出来るかどうか。現状ではDR間の主張の差が大き過ぎ、統一見解を得られていない。私もケースバイケースで対応していて、詳述しきれないので、臨床編で出来るだけ述べる。

抜歯即時を主張する者から、ソケットプリザベーションを主張する者、何もせず治癒後にすべきと主張する者まで、多岐に渡っている。因みに私はDRブ―ザーのように、治癒後の植立と同時のGBR骨造成を最も忌み嫌い、避ける者である。欧米人のように歯肉が厚くしっかりとしていれば可能であろうが、日本人ではより危険が増す。はっきり言う、騙されてはいけない。我々には我々に合った方法がある。(図8)

今回8月に私はサンフランシスコのIDEAで、恩師DRラムのセミナーを受講して来た。(写真2、今年のIDEAの集合記念写真) 2003年に教えを受けた時は、彼は割りと抜歯即時植立をしていたが、今回はかなり慎重であり、頬側の皮質骨に問題がある場合は、全く植立を行っていなかった。
その理由は、やはり頬側の骨の吸収でインプラントが露出する事を避ける為、と説明していた。それに対して彼は、オベイト歯根の形態のフランジレスタイプの義歯を装着し、抜歯創に蓋をするのみで、特に何も入れず保存処置はしていなかった。そして、漸次的に骨が造成するのを待ち、4ヵ月後にインプラント植立する事を教えていた。(図9)
この方法に関しての、私の見解は欧米人には出来ても、日本人のようなシンスキャロップ、歯肉も骨も薄くて弱い人には応用が難しいと感じた。私自身は非常に難しい場合は、ソケットプリザベーションをして、早期の1ヶ月位粘膜治癒後に植立する事を、やり始めの方にはお勧めしている。具体的な話は後述する。

さて、骨の形態と植立位置の関係であるが、これに関しては、私は母校の大先輩林楊春先生の考え方に概ね賛成している。口蓋、舌側に植立位置を求め、頬側位置と幅の関係で決める方法、バルコニーを大事にする方法は理に適っていると賛成している。違いに関しては、私自身はどんな場合でも骨壁との隙間にはHAを充填してコラーゲン膜で蓋をするのと、植立位置方向が私は骨なりにしていると言う事くらいであろうか。(図10)
林先生は共同執筆で、専門書を出されているので、詳しく勉強したい方は、そちらを購読頂きたい。私は敢えて違う所、成書には触れられていないのに、重要と考えている内容をお話したい。

1本欠損への即時荷重インプラント治療に関して、私は3DCTを始めから使う事を強くお勧めしたい。何故かと言うと、プラットフォームを歯頚部に持ってくる方法が1つしかない訳ではないと言う事を学べるからである。(写真3,3DXの症例写真)
具体的に言ってしまうと、商業誌上とか業者のセミナーでは、インプラントが真直ぐに綺麗に入らないといけない、と言う刷り込みをされているのであると言う事だ。勿論とんでもない方向に植立するのはもっての外である、がしかし、骨の中は意外な広がりを持っている事も多い。その中で骨の既存骨量が安定してある所を見付けるには、3DCTしかないからだ。特に抜歯即時植立で、この事は知って置いた方が良い。(写真4,3DXの症例写真)

かつて、歯根を模倣してインプラントを植立する事が強く主張されていた。しかし、現在では、そうして唇側に寄せて植立しても、インプラントでは皮質骨の吸収を防げない事が判明している。インプラントと天然歯は違う。インプラントは既存骨の安定している所を基本にして植立するのがベストと、私は信じている。
が、私は、安定期でメインテナンスに成っているのであれば、100%インプラント周囲に骨がある必要性はないだろうと考えている。約80%程度が骨に入っていて、骨とオッセオインテグレーションして、しっかりしてさえいれば問題はそうないだろうと考えている。これが、私自身が自分自身患者さんを数百人3DXで見てみて、得られた結果である。

もう有名な事実であるが、武田先生等がGBRの予後を追跡調査した時、唇側の骨が相当喪失していた、と報告されている。この結果は世界的な業績であり、例のDRブーザーがかつて程GBRを言わなくなったのは、3DXの画像を見てしまったからだ。自家骨をメンブレンを用いて増やしても、それは経時的に喪失する可能性が非常に高い。
それを防ぐ為にはHA等の人工材料で増やすしかない。だが、これにもいったん炎症が発生すると、容易に波及すると言う問題が存在する、と言われている。
結局、既存骨が一番頼りに成ると言う結果に成って来ているのが現状である。抜歯された顎提は、インプラント等に関係なくその部位の落ち着く状態にまで治癒すると言うのが、DRリンデの見解である。既存骨を臨床的に見付けるには、3DCTが一番良いのである。
確かDRリンデも3DCTで語り始めている。これが、近い将来3DCT画像なき所では、患者さんはインプラント治療をされなくなってしまうであろうと、私が予想する理由である。

悪い事は言わない、3DCTは1本欠損にこそ強く威力を発揮する。抜歯即時では既存骨が何処に残っていて、何処にどう言う風に植立するのか?決めるには立体画像が必要だ。MIS最小限で済み、痛がらせないインプラント治療をするには、これに勝る手はない。換言すれば、多少の傾斜植立は許容範囲内であると言う事である。インプラントを植立するのに最短距離を行く必要はない、斜めでも長めのインプラントの方が有利だと言う事である。

余計な注釈であるが、最近グラフトレスソリューションとしてDRレノアーのショートインプラントの方法が注目されているが、3DCTなしで幾ら力説しても、聞く耳を私は持たない。平面のパノラマでは何処に骨が存在しているかは、全く分かりはしないからである。それだけ3DCTは、もう既に重いものと成ってきだしている事を、若い先生ほど知って欲しい。偉い先生が言っている事を、まんま信じる事は時として危ない。それは私の説でも、右に同じである。真実はそのDRが体感するしかない。これは忘れないで欲しい。(写真5、パノラマと3DXの比較写真)

傾斜植立に関しては、現在では相当許容範囲内があると分かっている。その範囲がどれくらいかはまだ論争中であるが、しっかりとオッセオンインテグレーションしたインプラントは骨の中にしっかりと入っていれば、かなり強い。植立時に、骨の中に可及的に沢山入っていて、数年後に3DCT下で80%くらいしか入っていなくても、臨床的な炎症とかの症状がなければ問題はないと考えている。
しかし、それは現時点での見解で、将来変更されるかもしれないので、注意して学び続けて欲しい。やはり、インプラントは出来るだけ骨の中にあった方が、良いに決まっているからである。その為にも3DCTは重要である。

私は、インプラントのプラットフォームを歯頚部の位置関係を重視して決めるだけで良いと考えており、そこの植立方向にはあまり拘っていないと言うのが結論である。

3)抜歯即時植立への概念
さて今最も、話題の抜歯即時植立の持論を解説しよう。現在カルシテックのHA インプラントが、抜歯即時に置いても非常に強いと言う事で、セミナーを林先生を中心に開催されている。上でも述べているように、私は概ね賛成していて、お考えには反対していない。7月のOJに置いても、かなり注目をされていると言う事は間違いなく、私自身も相当に勉強させて頂いている。
OJの場では、水上先生が非常に秀逸なコメントを最後に成されていた。要するにインプラント自体がソケットプリザベーションのマテリアルと考えていけば良いんですね。そうすれば新しいインプラント治療の可能性が広がるかも知れないんですね。と話されていた。凄い方である。実にその通り出ると、私も大賛成する。現実私がしているものがそう考えれば、全ての理屈で符丁する、と感じる。

では具体的に違いを述べたい。
一番の大きな違いは病巣の除去に関してである。林先生はダイヤモンドバーで一層削除する事を推奨なさっている。私は、それに対して、微小な器具で長く小さい繊細なもので、骨内を詳細に探索して病巣を取る事をしている。残念ながら、この器具は、海外でしか入手出来ない。(写真6、器具の写真)

私自身は、抜歯即時植立を手掛けて、8年以上に成る。そのときから病巣を取り切る事を目指して四苦八苦していたが、どうしても取り切れていないのか治る途中で、患者から違和感を言われる事があった。理由は、取り残しであろうとしか思えなかった。その時、どう解決すべきか悩んで必死で病巣を取り切ろうと頑張った。しかし、それようの器具が国内ではないのである。奥まで届いて取り切る長さと細かさで、国内のメーカーは全く不備そのものであった。
ところが、2003年のAAPで私は見付けた。長さと細かさで、非常に満足出来るものであり、これを使用して病巣を取り切ると、見事に不快感を患者が訴えなくなった。恐らくは海外の誰かが思い付いて売り出した物だと思う。残念ながらいまだに国内では類するものがない。この情報を勉強仲間のDRに教え、実際に使用して頂いてみた所、全く同じ良好な結果を得られた。

従って、私は削り取るよりも、この器具で取り切る事をお勧めしている。実際にしてみると分かる事だが、骨の中はまるで火山岩のようにスカスカで、網の目のように骨稜が交差している。その隙間に病巣は入り込んでいるのだ。それを出来る限り掻爬していくと、中から驚くくらい肉芽組織が出て来る。これが治癒を阻害していた事は、想像に難くない。私はこれを、カールツァイスの4.5倍の拡大鏡下でしている。病巣を取り切るだけでゆうに30分を越す事も少なくない。時には1時間かかる事もある。
しかし、やはり私の個人的考えではタービンとかを回して削るよりも、侵襲が少なく治癒がいいのではないかと信じている。歯根先端に病巣があり開創してしまう時でも、林先生は注意深く削除する事を話されるが、私は上記の器具で徹底して掻きあげるだけで対応し問題を生じていないので、怖くてダイヤモンドバーで削れない。私の腕ではとてもそんな事は出来ないと言っても良い。

又、この器具で骨内を精査する事が、即時植立に非常に有効である。何処にどう骨があるのか3DCTがない先生方には、とても役立つであろう。私自身も3DXを手に入れたのは1年前でしかない。前記の月星先生に推されて、入れたのが事実である。しかし、入れてみて分かった。私に一番必要だったのは3DXだったのである。それまでは、細かい器具でひたすら触知するしかなかった。歯肉の上から骨を知ることは難しい。触知に神業になるか、3DCTかであろう。なので、私は総義歯を取得すべきであると、強く主張しているのだ。触知を体得するのにこれほど、有効なものはない。

以上で、私の1本欠損への即時荷重治療、抜歯即時を含むを述べた。次回臨床編で、実例を元に詳細を更に進めたい。