
前橋市の東、アジサイの種類が多い荻窪公園で「ハコベ」を見つけた。日当りの良い土手。公園の中ではあるが、植栽されたものではなく、自然に芽生えたもの。普段の散歩で、もう咲きだしても良い頃と思い注意して見ているが、キチンと花が咲いているのを見たのは今年初めてのような気がする。
「千曲なる古城のほとり、緑なす繁縷は萌えず、雲白く、遊子悲しむ・・」は有名な藤村の詩の出だし。この古城、幾度か訪ねたことがある。見下ろす位置を流れる千曲川、青空のイメージが残っている。詩の冒頭しか知らない私は、この詩を“ほのぼのとした感じ”で捉えていた。
うろ覚えを修正するために、今調べてみると、何だかイメージが違う。ハコベは萌えたつほどに育っておらず、腰をかけるには気が引ける程度。悲しい旅人(藤村)が見た白い雲は、青空にフンワリ浮かんだ呑気な雲ではなく、早春賦の頃のうす曇りの空だったのではなかろうか。
春の七草のひとつ「ハコベ」。ナデシコ科のハコベ属。ハコベ、コハコベ、ミドリハコベ、ウシハコベなど多様な種があるようだ。これらの総称として“ハコベ”と呼ぶこともあるから間違ってはいない。写真のものは多分ではあるがミドリハコベ。コハコベかも知れない。
有用な植物のようで食用として「おひたし、あえもの、汁の具から天ぷらなど」。薬用としても産後の浄血剤、脚気、歯茎の止血など色々使われることがあるようだ。歯磨きに使われていたこともあるという。