公開中の『ツルバミ』ですが、せっかくいただいた作品を公開しっ放しというのもなんですので、見どころや私の感想などを簡単に書かせていただこうと思います。これから御覧になる方への宣伝になると良いのですが(^^)
*『深山幻想』(梶谷友美さん/絵:小笠原夕希子さん)
美しいイメージカットが添えられた短篇小説。まず絵と文章の組み合わせが、コマのない漫画のようで面白い作品です。その後に本編が続きます。
梶谷さんの文章はいつも、どこからが本当でどこからが創作なのか分からなくなるほどリアルです。目に見える言葉を使う人っているんですね。「全部嘘だから」と言われても「全部ほんとだよ」と言われても、その都度真に受ける自信が、私にはある。
そんな感じです。ああスミマセン、訳が分からない説明で。なんとなく分かって下さい。
*『秘密』(沢さくらさん)
今回が初投稿の沢さくらさんの作品。
記憶をテーマにした感慨深い短篇。短いながらも考えさせられる作品でした。共有された記憶の行方、そもそも記憶とはどういうものなのかについて、私はしみじみと考えてしまいました。あと、作品のテーマには添わないかもしれませんが、「過去って、なんで痛くなるんだろ……」とも激しく考えてしまいました。
という感じで、色々なことを考えたり、思い出させられたりする作品です。
*『ヱビスビールのほほゑみ』(烏合さん)
短歌を二十三首。
私は大昔に短歌を専門にしていたような記憶がおぼろげにありますが、前世の記憶なみに曖昧なので、すべて印象で語ることをまずお赦し下さい;
不思議なんですが、短歌というものは、ごく短い言葉の連なりでありながら、言葉の選び方や配列、リズムのなかには如実にその人のひととなりが表れてくるようです。
ここにあげられた歌にも、まさに烏合さんという人が表れています。どこまでも静かに、柔らかくありながらしかし切りつけるような鋭さを感じます。私が「切られた」ように感じた(とくに眼球を)のは、次の一首。
冬空へ紐帯として凧を放つ少年の額(ぬか)をよぎる鳥かげ
なんか痛かった。鮮明すぎて。でも、全体的にほのかなあたたかさがあるんですよね。そこが烏合さんらしいところなのです。で、色が綺麗なんだ。こういう人は、写真を撮るのがうまいのじゃないかと思うんですが、どうなんでしょう。
*『白さと無数の円および楕円』(入江ほとりさん)
実は、前号の『YUKIDOKE』のために、私は最初、短い寓話のようなものを書こうと思っていました。小説風に。しかし私に物語を書く技量などあるはずもなく、しみじみしつつもあっさりと諦めました。
すると、次の『ツルバミ』のために、入江さんから詩が届きました。私は驚きました。というのも、そこには私が書きたいと思いながら書けなかったことが素晴らしい美しさで書かれてあったからです。小躍りしました。入江さん、ありがとうございました♪
思いきりトロンボーンを吹け
ここが一番好きです。実に美しい詩です。
*『ミモザ』(夏鳥さん)
『YUKIDOKE』に寄せられた「アジュライト」の続編です。
まさかの続編に、私はたいそう興奮させられました。ああ、今度はあの人が主人公なのね! わ~っ!
前作「アジュライト」は夏鳥さんらしく、美的で優雅な世界でしたが、続きが読めるとは!
柔らかな毛皮、色鮮やかなカクテル、ピアノの響き、美しい登場人物たち、はあぁ~~、描写がいちいち美しくてうっとりです。さらに続きが読みたくなることうけあいですね♪ 私はシリーズものって大好きなんですよね。
というわけで、この「『ツルバミ』はこんな感じ」は全2回。
なんか、全然紹介になってないような気もしますが(スミマセン;)、本日は、前編です。残りの作品をご紹介する後編は明日の予定。
興味を持たれた方は是非『ツルバミ』ウェブ版のほうへお立ち寄りください♪
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