なんとなく雨が多い気がします。今日も雨。
エレンブルグの『嵐』を少し読んでみる。暗い。冒頭からもう薄暗い。『トラストDE』や『フリオ・フレニト』では、内容の激しさと悲惨さにもかかわらず、突き抜けるようなユーモアがあったのですが、『嵐』にはそういう雰囲気は今のところ見られません。おそろしく真面目で、沈痛な感じさえします。
しかし、『トラスト』や『フレニト』のころは作者のエレンブルグもまだ若く、物語は最初の大戦争である第一次大戦あたりを舞台にしていたのに対し、『嵐』は第二次大戦前後を扱っているようなので、それは暗くもなって当然というものかもしれません。戦争にはうんざりしている感じがします。まあ、うんざりするだろうな。
まだ最初の70ページほどしか読んでいないので、今後の展開に期待。物語はとても長いのです。今のところはちっとも笑えませんけれど、面白いことはたしかです。どうしてか、この人の文章を読むと泣きたくなるような気持ちになる。初期の作品でも書かれたまったく同じことが『嵐』にもやはり書かれてあることに、つい立ち止まってしまう。私はずっと同じことを続ける人が好きです。私はまだこの人のことをほとんど何も知らないのではありますが、エレンブルグという人はきっと少しずつ変わり続けながらも本質的なところはずっと変わらなかった人なのではないかと思って目が離せません。違うかもしれないけど、違うとしても、私はそれをちょっと確かめてみたく思う。
それにしても、『嵐』の前に、『パリ陥落』を読んだ方が良かったかなとも思います。まあ、いいか。
“だが、問題はそんなことにあるんじゃない。それぞれの時代は
独特のやり方で心をためすんだ、大切なのはどんな時代かとい
うことじゃなくて、どんな心かということだ。ぼくは今そのこ
とがわかったよ………。” ――『嵐』より
ここに登場する人物たちは、どういう『嵐』に見舞われるんでしょうか。どうして『嵐』に巻き込まれなければならないのでしょうか。どうしたら『嵐』を乗り越えることができるのでしょうか。
近いうちに、ちょっと集中して読みたいです。登場人物が多く、分量もあって複雑な内容かもしれないので、これは一息に読んでしまった方がいいような気がします。久しぶりの大物です。いろいろ片付けたら、2、3日閉じこもって読もうかな。さて、準備、準備!
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