“脱原発依存”道筋示してより転載
2012年6月7日 中日新聞

琵琶湖を背に再提言の趣旨を語る嘉田由紀子知事(左)、山田啓二京都府知事=大津市の琵琶湖ホールで
嘉田由紀子知事と京都府の山田啓二知事は六日、原発政策に関する政府への再提言の会見で、再稼働について「国民的理解はまだまだ進んでいない」と強調し、最終判断する野田佳彦首相に「脱原発依存の道筋をしっかり示してほしい」と力を込めた。
「大飯原発に何かあったときに深刻な被害を受ける『被害地元』として、言っておかないといけないことがある」。山田知事は提言内容を説明した後、申し入れの狙いを強調した。
両知事で提言をまとめるのは四月に続いて二回目。嘉田知事は、福島の原発事故前から政官財癒着で原発政策を進めてきた構造を批判。再提言を「将来への提言」と表現し、「三月十一日以前の体質や構造を残してはいけない」と訴えた。
両府県が参加する関西広域連合は五月下旬に声明を発表。「政府の安全判断は暫定的」として期間などを限定して稼働する条件で、最終判断を国に委ねた。声明は明確に容認を表明してはいないが、事実上の容認と受け取れる内容だった。両知事は、声明を電力需給などから「苦渋の決断だった」と振り返った。
再提言は、広域連合の声明を踏襲した形で「稼働期間を電力需給が逼迫(ひっぱく)する時期に限る」と盛り込むが、再稼働と表裏一体の電力需給をにらみ、ぎりぎりの判断に迫られたことをにじませた。
嘉田知事は「卒原発」、山田知事は「縮原発」。言葉は違うが、いずれも将来的に原発に頼らない社会の実現を目指す。再提言でも地元自治体と住民参加の仕組みづくりを法的に位置付けるように求めた。嘉田知事は「ゼロか百か、親原発か反原発かではない。未来に責任を負うということで提言を出した」と話した。両知事は、関西の電力供給を担ってきた福井県への感謝も繰り返し述べた。
(梅田歳晴)
滋賀・京都「再提言」の主な内容
(1)【中立性の確立】 原子力規制庁の早期発足、地元自治体と地元住民参加の安全体制構築の法的位置付けの検討
(2)【透明性の確保】 大飯原発の放射性物質拡散予測システム(スピーディ)データの提供
(3)【福島事故を踏まえた安全性の実現】 安全基準が暫定的であることを踏まえ、再稼働時期は電力逼迫(ひっぱく)時に限定
(4)【緊急性の証明】 電力確保対策の積み上げの徹底
(5)【中長期的な見通しの提示】 廃炉計画、使用済み核燃料の最終処理工程の提示
(6)【事故対応の確立】 大飯原発の特別な監視体制への参加
(7)【原発事故被害者の救済と福井県の配慮】 除染計画などきめ細やかな対応、経済発展などを支えてきた福井県に対する国の具体的な支援方策の提示
2012年6月7日 中日新聞

琵琶湖を背に再提言の趣旨を語る嘉田由紀子知事(左)、山田啓二京都府知事=大津市の琵琶湖ホールで
嘉田由紀子知事と京都府の山田啓二知事は六日、原発政策に関する政府への再提言の会見で、再稼働について「国民的理解はまだまだ進んでいない」と強調し、最終判断する野田佳彦首相に「脱原発依存の道筋をしっかり示してほしい」と力を込めた。
「大飯原発に何かあったときに深刻な被害を受ける『被害地元』として、言っておかないといけないことがある」。山田知事は提言内容を説明した後、申し入れの狙いを強調した。
両知事で提言をまとめるのは四月に続いて二回目。嘉田知事は、福島の原発事故前から政官財癒着で原発政策を進めてきた構造を批判。再提言を「将来への提言」と表現し、「三月十一日以前の体質や構造を残してはいけない」と訴えた。
両府県が参加する関西広域連合は五月下旬に声明を発表。「政府の安全判断は暫定的」として期間などを限定して稼働する条件で、最終判断を国に委ねた。声明は明確に容認を表明してはいないが、事実上の容認と受け取れる内容だった。両知事は、声明を電力需給などから「苦渋の決断だった」と振り返った。
再提言は、広域連合の声明を踏襲した形で「稼働期間を電力需給が逼迫(ひっぱく)する時期に限る」と盛り込むが、再稼働と表裏一体の電力需給をにらみ、ぎりぎりの判断に迫られたことをにじませた。
嘉田知事は「卒原発」、山田知事は「縮原発」。言葉は違うが、いずれも将来的に原発に頼らない社会の実現を目指す。再提言でも地元自治体と住民参加の仕組みづくりを法的に位置付けるように求めた。嘉田知事は「ゼロか百か、親原発か反原発かではない。未来に責任を負うということで提言を出した」と話した。両知事は、関西の電力供給を担ってきた福井県への感謝も繰り返し述べた。
(梅田歳晴)
滋賀・京都「再提言」の主な内容
(1)【中立性の確立】 原子力規制庁の早期発足、地元自治体と地元住民参加の安全体制構築の法的位置付けの検討
(2)【透明性の確保】 大飯原発の放射性物質拡散予測システム(スピーディ)データの提供
(3)【福島事故を踏まえた安全性の実現】 安全基準が暫定的であることを踏まえ、再稼働時期は電力逼迫(ひっぱく)時に限定
(4)【緊急性の証明】 電力確保対策の積み上げの徹底
(5)【中長期的な見通しの提示】 廃炉計画、使用済み核燃料の最終処理工程の提示
(6)【事故対応の確立】 大飯原発の特別な監視体制への参加
(7)【原発事故被害者の救済と福井県の配慮】 除染計画などきめ細やかな対応、経済発展などを支えてきた福井県に対する国の具体的な支援方策の提示