枝野経産相:核燃サイクル「半世紀の事実、動かせぬ」より転載
毎日新聞 2012年09月26日 02時34分(最終更新 09月26日 02時36分)
◇料金・電力改革
原発の早期再稼働が困難な中、原発依存度が高い関西電力や九州電力は早晩電気料金値上げに踏み切る可能性が高い。9月に値上げした東京電力の審査では、有識者会議が、社員の賃金は社員1000人以上の企業平均が基本▽健康保険料の会社負担は全業種平均並み--などの各社共通の値上げ査定指針を決定。その上で人件費や燃料費の一段の削減を条件付け、値上げ幅を東電の申請額から圧縮した。枝野氏は「東電は原発事故当事者で公的資金を導入したことも踏まえて切り込んだ。東電以外は事情が異なり、共通の指針で精査する」と述べた。
経産省の有識者会議は、電力会社から送配電部門を分離する「発送電分離」の具体像を年内に決める。枝野氏は「事業主体を多様化しないと本当の競争にならない」と指摘。送配電部門の分離による異業種参入促進が電力料金引き下げや再生可能エネルギー普及につながることに強い期待を示した。
◇枝野経産相一問一答
枝野幸男経産相との一問一答は次の通り。
--政府の新たなエネルギー・環境戦略が「30年代に原発稼働ゼロを目指す」としながら、使用済み核燃料を再処理して使う「核燃料サイクル」は継続すると明示したのは大いなる矛盾ではないか。
枝野氏 (これまでの原発の利用で)使用済み核燃料がすでに存在する事実は変えられない。また(再処理工場など核燃料サイクル施設を抱える青森県六ケ所村など)自治体との約束や、(軍事転用が可能なプルトニウムの管理など)国際社会との関係もある。(原発ゼロを目指しても)すぐに変えられないことの中に、矛盾に映る部分があるのはやむを得ない。矛盾を解決できるようにあらゆる政策努力を傾ける。
--原発の新増設の審査は原子力規制委に移った中、経産相として「30年代原発ゼロ」の実現にどう関わっていくのか。原発立地地域への交付金を削減することもあり得るのか。
枝野氏 (電力会社を監督する立場として)法的強制力を持つ手段がないわけではないが、まずは電力事業者が政府の新戦略を踏まえて対応をしてもらうことが重要。また、これまで国の電源対策に協力いただいてきた自治体の思いは受け止めなければいけないと考えており、交付金削減(で原発ゼロを推進すること)は適切ではないと考えている。
--原子力規制委による原発再稼働の判断は来夏以降になる見通しだ。今冬など電力の安定供給をどう図っていくか。
枝野氏 経産相の下の原子力安全・保安院が再稼働の是非を判断していた時から、私は「電力安定供給は大事だが、安全が優先」と言ってきた。規制委による原発再稼働の判断を前提に、それに対応して電力供給を確保するのが経産相の責務だ。
毎日新聞 2012年09月26日 02時34分(最終更新 09月26日 02時36分)
◇料金・電力改革
原発の早期再稼働が困難な中、原発依存度が高い関西電力や九州電力は早晩電気料金値上げに踏み切る可能性が高い。9月に値上げした東京電力の審査では、有識者会議が、社員の賃金は社員1000人以上の企業平均が基本▽健康保険料の会社負担は全業種平均並み--などの各社共通の値上げ査定指針を決定。その上で人件費や燃料費の一段の削減を条件付け、値上げ幅を東電の申請額から圧縮した。枝野氏は「東電は原発事故当事者で公的資金を導入したことも踏まえて切り込んだ。東電以外は事情が異なり、共通の指針で精査する」と述べた。
経産省の有識者会議は、電力会社から送配電部門を分離する「発送電分離」の具体像を年内に決める。枝野氏は「事業主体を多様化しないと本当の競争にならない」と指摘。送配電部門の分離による異業種参入促進が電力料金引き下げや再生可能エネルギー普及につながることに強い期待を示した。
◇枝野経産相一問一答
枝野幸男経産相との一問一答は次の通り。
--政府の新たなエネルギー・環境戦略が「30年代に原発稼働ゼロを目指す」としながら、使用済み核燃料を再処理して使う「核燃料サイクル」は継続すると明示したのは大いなる矛盾ではないか。
枝野氏 (これまでの原発の利用で)使用済み核燃料がすでに存在する事実は変えられない。また(再処理工場など核燃料サイクル施設を抱える青森県六ケ所村など)自治体との約束や、(軍事転用が可能なプルトニウムの管理など)国際社会との関係もある。(原発ゼロを目指しても)すぐに変えられないことの中に、矛盾に映る部分があるのはやむを得ない。矛盾を解決できるようにあらゆる政策努力を傾ける。
--原発の新増設の審査は原子力規制委に移った中、経産相として「30年代原発ゼロ」の実現にどう関わっていくのか。原発立地地域への交付金を削減することもあり得るのか。
枝野氏 (電力会社を監督する立場として)法的強制力を持つ手段がないわけではないが、まずは電力事業者が政府の新戦略を踏まえて対応をしてもらうことが重要。また、これまで国の電源対策に協力いただいてきた自治体の思いは受け止めなければいけないと考えており、交付金削減(で原発ゼロを推進すること)は適切ではないと考えている。
--原子力規制委による原発再稼働の判断は来夏以降になる見通しだ。今冬など電力の安定供給をどう図っていくか。
枝野氏 経産相の下の原子力安全・保安院が再稼働の是非を判断していた時から、私は「電力安定供給は大事だが、安全が優先」と言ってきた。規制委による原発再稼働の判断を前提に、それに対応して電力供給を確保するのが経産相の責務だ。