旧東電経営陣ら不起訴NHK
東京電力福島第一原子力発電所の事故をめぐって告訴・告発されていた、東京電力の旧経営陣や菅元総理大臣など40人あまりについて、検察当局は刑事責任を問うことはできないと判断し、全員を不起訴にしました。
福島第一原発の事故では多くの住民が被ばくしたほか、周辺の病院に入院していた患者の中には、避難する途中に亡くなった人もいました。
こうした被害について、福島県の住民グループなどが「事前の津波対策や、地震後の事故対応が不十分だったためだ」と主張して、法人としての東京電力と、勝俣前会長や清水元社長ら旧経営陣、それに政府の責任者だった菅元総理大臣など、40人あまりの刑事責任を問うよう告訴や告発を行い、
検察当局が捜査を進めていました。深刻な原発事故の捜査は検察にとって初めてで、高い放射線量に阻まれて本格的な現場検証ができませんでしたが、巨大な津波を事前に予測できたのかという点を中心に、専門家からも幅広く意見を聞いて、刑事責任を問えるかどうか検討を続けてきました。
その結果、「当時は、東日本大震災規模の地震や津波を予測できていたとはいえない。地震後の対応も含め、刑事責任を問うことはできない」と結論づけ全員を不起訴にしました。
国の責任者などが全員不起訴になったことを受けて、福島原発告訴団の武藤類子団長が、9日午後、記者会見しました。
会見の席で武藤団長は、「全員が不起訴になったことには大きな驚きと怒りを感じています。何度も要請した強制捜査は結局行われず、検察は本当に捜査を尽くしたのかと感じています。
原因を明確にして責任を問うことは、被害者が正当に救済されるため、かかせないことだと思います。検察は被害者の声を無視して、その責務を放棄したのだと思います」と話し、今後、検察審査会に申し立てる方針を示しました。
検察当局が全員を不起訴にしたことについて、いまも町の全域が避難区域となっている福島県浪江町の人たちが暮らす、福島市内の仮設住宅では、不満の声が上がる一方で、責任の追及よりも今後の生活再建に向けた取り組みを早急に進めることを求める声が聞かれました。
このうち70代の男性は「検察は現場検証すら行っておらず、被災者の気持を理解していない。これだけの大事故を起こして、刑事責任を追及される者が誰もいないというのは納得できず、早く責任の所在を明らかにしてほしい」と検察への不満を語りました。
また別の70代の男性は「当時の関係者だけに責任追及しても難しいと思う。原子力発電所の設置を許可した政治家など、過去にさかのぼって責任を追及する必要がある」と話していました。
一方で、60代の女性は「総理大臣が代わっても、国には事故の責任がある。事故から2年半がたっても仮設住宅での生活が続いている中で、責任の追及よりも生活再建をしっかりとやってもらいたい」と話していました。
浪江町の馬場有町長は「検察が判断することではあるが、事故の原因について、まだ明らかになっていないことがある中、検察は結論を出す前にまだ調べるべきことがあったのではないかと思う。検察審査会の場でしっかりと議論してほしい」と話していました。
東京電力福島第一原発が立地し、いまもすべての住民が避難生活を続けている、大熊町の渡辺利綱町長は「不起訴についてはコメントを差し控えるが、今後の動きを注視していきたい。ただ、町としては、原発事故のあとの対応の遅れなどが被害の拡大につながったと考えている」と話しています。
今後、刑事責任を問うかどうかの判断は検察審査会を構成する市民に委ねられることになります。
09月09日 21時55分
東京電力福島第一原子力発電所の事故をめぐって告訴・告発されていた、東京電力の旧経営陣や菅元総理大臣など40人あまりについて、検察当局は刑事責任を問うことはできないと判断し、全員を不起訴にしました。
福島第一原発の事故では多くの住民が被ばくしたほか、周辺の病院に入院していた患者の中には、避難する途中に亡くなった人もいました。
こうした被害について、福島県の住民グループなどが「事前の津波対策や、地震後の事故対応が不十分だったためだ」と主張して、法人としての東京電力と、勝俣前会長や清水元社長ら旧経営陣、それに政府の責任者だった菅元総理大臣など、40人あまりの刑事責任を問うよう告訴や告発を行い、
検察当局が捜査を進めていました。深刻な原発事故の捜査は検察にとって初めてで、高い放射線量に阻まれて本格的な現場検証ができませんでしたが、巨大な津波を事前に予測できたのかという点を中心に、専門家からも幅広く意見を聞いて、刑事責任を問えるかどうか検討を続けてきました。
その結果、「当時は、東日本大震災規模の地震や津波を予測できていたとはいえない。地震後の対応も含め、刑事責任を問うことはできない」と結論づけ全員を不起訴にしました。
国の責任者などが全員不起訴になったことを受けて、福島原発告訴団の武藤類子団長が、9日午後、記者会見しました。
会見の席で武藤団長は、「全員が不起訴になったことには大きな驚きと怒りを感じています。何度も要請した強制捜査は結局行われず、検察は本当に捜査を尽くしたのかと感じています。
原因を明確にして責任を問うことは、被害者が正当に救済されるため、かかせないことだと思います。検察は被害者の声を無視して、その責務を放棄したのだと思います」と話し、今後、検察審査会に申し立てる方針を示しました。
検察当局が全員を不起訴にしたことについて、いまも町の全域が避難区域となっている福島県浪江町の人たちが暮らす、福島市内の仮設住宅では、不満の声が上がる一方で、責任の追及よりも今後の生活再建に向けた取り組みを早急に進めることを求める声が聞かれました。
このうち70代の男性は「検察は現場検証すら行っておらず、被災者の気持を理解していない。これだけの大事故を起こして、刑事責任を追及される者が誰もいないというのは納得できず、早く責任の所在を明らかにしてほしい」と検察への不満を語りました。
また別の70代の男性は「当時の関係者だけに責任追及しても難しいと思う。原子力発電所の設置を許可した政治家など、過去にさかのぼって責任を追及する必要がある」と話していました。
一方で、60代の女性は「総理大臣が代わっても、国には事故の責任がある。事故から2年半がたっても仮設住宅での生活が続いている中で、責任の追及よりも生活再建をしっかりとやってもらいたい」と話していました。
浪江町の馬場有町長は「検察が判断することではあるが、事故の原因について、まだ明らかになっていないことがある中、検察は結論を出す前にまだ調べるべきことがあったのではないかと思う。検察審査会の場でしっかりと議論してほしい」と話していました。
東京電力福島第一原発が立地し、いまもすべての住民が避難生活を続けている、大熊町の渡辺利綱町長は「不起訴についてはコメントを差し控えるが、今後の動きを注視していきたい。ただ、町としては、原発事故のあとの対応の遅れなどが被害の拡大につながったと考えている」と話しています。
今後、刑事責任を問うかどうかの判断は検察審査会を構成する市民に委ねられることになります。
09月09日 21時55分