日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(249)三上文法批判:「鼻が」は「補語」か。他。

2019-06-05 19:54:51 | 象は鼻が長い、述語論理。

三上文法批判:「鼻が」は「補語」か。他。
(01)
学校文法は単純な英語文法からの輸入で、主語・述語関係を単純に当てはめたものだ。そのため、「象は、鼻が長い」という単純な文でさえ、どれが主語だか指摘できず、複数主語だとか、主語の入れ子だとか、奇矯な技を使う。これに対して三上は、日本語には主語はない、とする。「象は」は、テーマを提示する主題であり、これから象についてのことを述べますよというメンタルスペースのセットアップであり、そのメンタルスペースのスコープを形成する働きをもつと主張する(この場合は「長い」までをスコープとする)。また、「鼻が」は主格の補語にすぎなく、数ある補語と同じ格であるとする。基本文は述語である「長い」だけだ(三上文法! : wrong, rogue and log)。
然るに、
(02)
① 象は鼻が長い。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
従って、
(02)により、
(03)
「述語論理的(Predicate logical)」な「観点」からすれば、
① 象は鼻が長い。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
には、「複数の主語(x、y、z)」があって、尚且つ、
①{ ( )( ) }
といふ「括弧」があるが故に、
① 象は鼻が長い。
といふ「日本語」は、「入れ子」になってゐる。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
「述語論理的(Predicate logical)」な「観点」からすれば、
「象は、鼻が長い」という単純な文でさえ、どれが主語だか指摘できず、複数主語だとか、主語の入れ子だとか、奇矯な技を使う。
といふ「批判」は、当たらない。
然るに、
(05)
34 文章の主語は、主格で表わされる。それゆえ、αποστολος γινωσκει は、「使徒は知る」(an apostle knows)という意味である。
他動詞の目的語は対格に置かれる。それゆえ、βλεπω λογον は「私は言葉を見る」(I see a word)という意味である。
(J.G.メイチェン 著、田辺滋 訳、新約聖書ギリシャ語原典入門、1967年、27頁)
然るに、
(06)
① γινωσκει(三人称単数は知る)。
といふ「述語(predicate)」だけでも、「ギリシャ語は、成立する」。
従って、
(06)により、
(07)
① γινωσκει(三人称単数は知る)。
が、最初に有って、その次に
② αποστολος γινωσκει(an apostle knows)。
③ αποστολον γινωσκει(三人称単数は使徒を知る)。
といふ、
② 主格+述語=αποστολος γινωσκει(an apostle knows)。
③ 対格+述語=αποστολον γινωσκει(三人称単数は使徒を知る)。
といふ「形」が成立する。
といふ風に、解することも、「可能」である。
従って、
(07)により、
(08)
その「意味」で、
② 主格+述語=αποστολος γινωσκει(an apostle knows)。
③ 対格+述語=αποστολον γινωσκει(三人称単数は使徒を知る)。
に於ける、
② 主格(αποστολος) は、述部(γινωσκει)の「意味を補ふ、補語(complement)」であり、
③ 対格(αποστολον)も、述部(γινωσκει)の「意味を補ふ、補語(complement)」である。
然るに、
(05)により、
(09)
αποστολος γινωσκει は、「使徒知る」(an apostle knows)という意味である。
となってゐて、
αποστολος γινωσκει は、「使徒知る」(an apostle knows)という意味である。
とは、なってゐない
従って、
(08)(09)により、
(10)
② 主格+述語=αποστολος γινωσκει(an apostle knows)。
③ 対格+述語=αποστολον γινωσκει(三人称単数は使徒を知る)。
に於ける、
② 主格(αποστολος) は、述部(γινωσκει)の「補語(complement)」であり、
③ 対格(αποστολον)も、述部(γινωσκει)の「補語(complement)」である。
とすることは、「可能」であるとしても、この場合は、
「使徒」ではなく、
「使徒」が、さうである。
といふ、ことになる。
従って、
(10)により、
(11)
① 使徒は知る=αποστολος γινωσκει.
② 使徒が知る=αποστολος γινωσκει.
に於いて、
②「使徒」は「知る(述部)」の「補語」であるが、
①「使徒」は「知る(述部)」の「補語」ではない
といふことには、ならない
従って、
(11)により、
(12)
① 象は大きい。
② 鼻が長い。
に於いて、
②「鼻が」は、「述部( 長い )」の「意味を補ふ補語」であるが、
①「象は」は、「述部(大きい)」の「意味を補ふ補語」でない。
といふのであれば、さのやうな「言ひ方」は、「詭弁」に過ぎない。
(13)
確かに、「象は、鼻が長い。」という文の主語は何か、と尋ねられたら返答に窮する。学校文法に従えば「象は」も「鼻が」も両方とも「主語」ということになる。しかし、単文に2つの主語があるのは変だ。三上文法によると、「象は、鼻が長い。」という文において、「象は」は題(主題、題目 topic)で、残りの部分「鼻が長い」は解説 (comment) だという。この文の場合、「鼻が」という主格が解説に含まれている。しかし、日本語では主格(何が、誰が)がなくても文は成立する。たとえば、料理文がそうだ。料理文では「何を」は何度も登場するが、主格「誰が」は出てこない。言う必要がないからだ。
山崎紀美子著 『日本語基礎講座』三上文法入門 ちくま新書の38ページから、料理文の一例を引用する。
 新ゴボウのかき揚げ」(朝日新聞2002年4月18日)
<主な材料>
新ゴボウ2本(200グラム)、桜エビ(素干し)15グラム、牛乳100cc、大根200グラム
<作り方>
ゴボウは汚れを落とし、斜め薄切りにして水にくぐらせ水気を切り、薄口しょうゆ大さじ1をからめます。ボウルに薄力粉100グラム、牛乳、桜エビ、ゴボウを入れまぜます。8等分し170度の揚げ油で、カリッと揚げます。大根おろしとしょうゆを添えます。
作り方の冒頭にある「ゴボウは汚れを落とし」は、言うまでもなく、ゴボウが自分で汚れを落とすわけではありません。ゴボウについて言えば、その汚れを料理人が落とす、という意味です。「ゴボウは」は、主語などではなく、題なのです(リベラル21私たちは護憲・軍縮・共生を掲げてネット上に市民のメディア、リベラル21を創った。2009.02.21 日本語に主語はあるのか)。
然るに、
(14)
1  (1)∀x(牛蒡x→∃y(我々y&洗yx)} A
1  (2)   牛蒡a→∃y(我々y&洗ya)  1UE
 3 (3)∃x(牛蒡x)             A
  4(4)   牛蒡a              A
1 4(5)       ∃y(我々y&洗ya)  25MPP
134(6)   牛蒡a&∃y(我々y&洗ya)  45&I
134(7)∃x{牛蒡x&∃y(我々y&洗yx)} 6EI
13 (8)∃x{牛蒡x&∃y(我々y&洗yx)} 34EE
従って、
(14)により、
(15)
(1)すべてのxについて、xが牛蒡であるならば、あるyは我々であって、yはxを洗ふ。しかるに、
(3)あるxは牛蒡である。故に、
(8)あるxは牛蒡であって、あるyは我々であって、yはxを洗ふ。
従って、
(13)(14)(15)により、
(16)
「ゴボウは汚れを落とす。」
といふ「日本語」は、
「ゴボウは(我々によって汚れを)落とされる。」
といふ風に、解することが、出来る。
従って、
(16)により、
(17)
「ゴボウは汚れを落とす(ゴボウ is washed by us)。」
に於ける、
「ゴボウは」は、「受動文」の「主語」である。
然るに、
(18)
(1)すべてのxについて、xが牛蒡であるならば、
といふことは、
(1)ゴボウについて言えば、
といふことに、他ならない。
従って、
(18)により、
(19)
(1)ゴボウについて言えば、
が、「題」であるならば、
(1)「∀x(牛蒡x→」=「すべてのxについて、xが牛蒡であるならば、」
も、たしかに、「題」である。
然るに、
(20)
例へば、
メタ トーン アンゲローン アゲイ ホ キュリオス トゥース ディカイウース エイス トン ウーラノン.
に於いて、
キュリオス が「主語」である「所以」は、
キュリオス だけが「主格」の「」をしてゐるからである。
従って、
(21)
ギリシャ語やラテン語であれば、「主格(形)」が「主語(形)」であり、「主語(形)」が「主格(形)」である。
従って、
(22)
料理文では「何を」は何度も登場するが、主格「誰が」は出てこない。言う必要がないからだ。
といふ「言ひ方」は、私にとっては、
料理文では「何を」は何度も登場するが、主語「誰が」は出てこない。言う必要がないからだ。
といってゐるのと、同じである。
(23)
そもそも、「主語と、主格と、主題」は、「矛盾する概念」ではないはずである。
従って、
(24)
「象は」は題(主題、題目 topic)で、残りの部分「鼻が長い」は解説 (comment) だという。この文の場合、「鼻が」という主格が解説に含まれている。
といふのであれば、「主題とは何で、主語とは何で、主格とは何で、それぞれの何処が、だう違ふのか」といふことを、示してくれない限り、「三上文法」を理解することは、永遠に不可能である。
と、言はざるを得ない。


(248)「象が鼻が長い。」の「述語論理」と「スコープ」。

2019-06-05 14:38:38 | 象は鼻が長い、述語論理。

―「昨日の記事」を書き直します。―
(01)
① P→Q(PならばQである)。
といふ「仮言命題」自体は、
① Pである。とも、Pでない。とも、
① Qである。とも、Qでない。とも、言っていない。
然るに、
(02)
(ⅰ)
1  (1) P→Q  A
 2 (2) P    A
  3(3)  ~Q  A
12 (4)   Q  12MPP
123(5)~Q&Q  34&I
1 3(6)~P    25RAA
1  (7)~Q→~P 36CP
(ⅱ)
1  (1)~Q→~P A
 2 (2)~Q    A
  3(3)    P A
12 (4)   ~P 12MPP
123(5) P&~P 34&I
1 3(6)~~Q   25RAA
1 3(7)  Q   6DN
1  (8)P→Q   37CP
従って、
(02)により、
(03)
①  P→ Q
② ~Q→~P
に於いて、
①=② である。
cf.
対偶(contraposition)」は、互いに「等しい」。
従って、
(03)により、
(04)
① P→Q=(P→Q)&(~Q→~P)
である。
然るに、
(05)
「定義(Df.⇔)」により、
② P⇔Q=(P→Q)&(Q→P)
従って、
(04)(05)により、
(06)
① P→Q=(P→Q)&(~Q→~P)
② P⇔Q=(P→Q)&( Q→ P)&(~Q→~P)&(~P→~Q)
である。
従って、
(07)
① P→Q=PならばQである。
② P⇔Q=Pならば、そのときに限って、Qである。
に於いて、
① であれば、「逆は必ずしも真ではない。」が、
② であれば、「逆は、必ずである。」
然るに、
(08)
(ⅰ)
1   (1)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}   A
1   (2)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&
         ~象x→~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]}1Df.⇔
1   (3)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)&
         ~象a→~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  2UE
1   (4)  ~象a→~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)] 3&E
 5  (5)  ~象a                            A
15  (6)    ~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)]   45MPP
15  (7)     ~∃y(鼻ya&長y)∨~∀z(~鼻za→~長z)   6ド・モルガンの法則
15  (8)      ∃y(鼻ya&長y)→~∀z(~鼻za→~長z)   7含意の定義
  9 (9)      ∃y(鼻ya&長y)                 A
159 (ア)                 ~∀z(~鼻za→~長z)   89MPP
159 (イ)                 ∃z~(~鼻za→~長z)   ア量化子の関係
   ウ(ウ)                   ~(~鼻ca→~長c)   A
   ウ(エ)                  ~(~~鼻ca∨~長c)   ウ含意の定義
   ウ(オ)                    ~(鼻ca∨~長c)   エDN
   ウ(カ)                    ~鼻ca&~~長c    オ、ド・モルガンの法則
   ウ(キ)                     ~鼻ca& 長c    カDN
   ウ(ク)                  ∃z(~鼻za& 長z)   キEI
159 (ケ)                  ∃z(~鼻za& 長z)   イウクEE
15  (コ)       ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)   9ケCP
1   (サ)   ~象a→∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)   5コCP
1   (シ)    象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)   3&E
1   (ス)    象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)&
          ~象a→∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)   サシ&I
1   (セ) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&
          ~象x→∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)}   スUI
(ⅱ)
1   (1) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&
          ~象x→∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx& 長z)}  A
1   (2)    象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)&
          ~象a→∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)   1UE
1   (3)   ~象a→∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)   2&E
 4  (4)   ~象a                           A
14  (5)       ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za& 長z)   34MPP
  6 (6)       ∃y(鼻ya&長y)                A
146 (7)                  ∃z(~鼻za& 長z)   56MPP
   8(8)                    (~鼻ca& 長c)   A
   8(9)                  ~~(~鼻ca& 長c)   8DN
   8(ア)                  ~(~~鼻ca∨~長c)   9、ド・モルガンの法則
   8(イ)                   ~(~鼻ca→~長c)   ア含意の定義
   8(ウ)                 ∃z~(~鼻za→~長z)   イEI
146 (エ)                 ∃z~(~鼻ca→~長z)   78ウEE
146 (カ)                 ~∀x(~鼻ca→~長z)   エ量化子の関係
14  (キ)      ∃y(鼻ya&長y)→~∀x(~鼻ca→~長z)   6カCP
14  (ク)     ~∃y(鼻ya&長y)∨~∀x(~鼻ca→~長z)   キ含意の定義
14  (ケ)    ~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)]   ク、ド・モルガンの法則
1   (コ)~象a→~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)]   4ケCP
1   (サ)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)    2&E
1   (シ)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長a)&
       ~象a→~[∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)]   コサ&I
1   (ス)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&
         ~象x→~[∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)]}シUI
1   (セ)∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}   ス1Df.⇔
従って、
(08)により、
(09)
① ∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&~象x→∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)}
に於いて、
①=② である。
従って、
(09)により、
(10)
① すべてのxについて、xが象であるならば、そのときに限って、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
② すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くなく、すべてのxについて、xが象でないならば、あるyがxの鼻であって、長いのであれば、あるzは、xの鼻ではないが、zは長い。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(11)
① すべてのxについて、xが象であるならば、そのときに限って、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふことは、
① 象だけ、鼻だけ長い。
といふ、ことである。
然るに、
(12)
② すべてのxについて、xが象でないならば、あるyがxの鼻であって、長いのであれば、あるzは、xの鼻ではないが、zは長い。
といふことは、
② 象以外の動物で、その動物の鼻が長いのであれば、その動物の鼻以外の部分も長い
といふ、ことである。
然るに、
(13)
② 象以外の動物で、その動物の鼻が長いのであれば、その動物の鼻以外の部分も長い
といふことは、
② 象以外の動物で、だけ長い動物はゐない
といふ、ことである。
然るに、
(14)
② 象以外の動物で、鼻だけ長い動物はゐない
といふことは、
② 象だけ、鼻だけが長い。
といふ、ことである。
従って、
(09)~(14)により、
(15)
① ∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&~象x→∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)}
は、2つとも
① 象だけ、鼻だけ長い。
② 象だけ、鼻だけ長い。
といふ、「意味」である。
然るに、
(16)
① あなた以外は好きではない
といふのであれば、
① あなた好きです。
と言ふのであって、
① あなたは好きです。
① あなたも好きです。
とは、言はない
然るに、
(17)
① あなた以外は好きではない
といふことは、
① あなただけ好きです。
といふ「意味」である。
従って、
(16)(17)により、
(18)
① あなた好きです。
と言へば、それだけで、
① あなた好きです=あなただけ好きです。
といふ、「意味」になる。
従って、
(15)~(18)により、
(19)
① 象長い=象だけ、鼻だけ長い。
② 象長い=象以外は、鼻以外は長くない
である。
然るに、
(20)
① 象長い。
とは異なり、
③ 象は鼻長い。
の場合は、
③「象」だけを念頭に置いてゐる。
従って、
(20)により、
(21)
③ 象は鼻長い。⇔
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
③ すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
である。
従って、
(09)(10)(21)により、
(22)
「番号」を、付け替へると、
① 象は鼻長い。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
であって、
② 象長い。⇔
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&~象x→∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)}⇔
② すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くなく、すべてのxについて、xが象でないならば、あるyがxの鼻であって、長いのであれば、あるzは、xの鼻ではないが、zは長い。
である。
然るに、
(23)
括弧は、論理演算子のスコープ(scope)を明示する働きを持つ。スコープは、論理演算子の働きが及ぶ範囲のことをいう。
(産業図書、数理言語学辞典、2013年、四七頁:命題論理、今仁生美)
(24)
(ⅰ)論理式または命題関数において、量記号が現れる任意の箇所の作用範囲は、問題になっている変数が現れる少なくとも2つの箇所を含むであろう(その1つの箇所は量記号そのもののなかにある);
(ⅱ)論理式または命題関数において、量記号が現れる任意の箇所の作用範囲は、同じ変数を用いたいかなる他の量記号も含まないであろう。
(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、183頁)
従って、
(22)(23)(24)により、
(25)
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&~象x→∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)}
に於いて、
① xの「スコープ(作用範囲)」と、
② xの「スコープ(作用範囲)」は、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&~象x→∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)}
といふ「論理式の、全体」である。
従って、
(25)により、
(26)
① 象は鼻長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
② 象長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)&~象x→∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)}。
に於ける、
①「象」の「スコープ(作用範囲)」は、「長い」まであり、
②「象」の「スコープ(作用範囲)」も、「長い」まである。
然るに、
(27)
「象は」は、テーマを提示する主題であり、これから象についてのことを述べますよというメンタルスペースのセットアップであり、そのメンタルスペースのスコープを形成する働きをもつと主張する(この場合は「長い」までをスコープとする)。
(三上文法! : wrong, rogue and log)
従って、
(27)により、
(28)
(三上文法! : wrong, rogue and log)の記者さんによると、恰も、
①「象」の「スコープ(作用範囲)」は、「長い」まであるが、
②「象」の「スコープ(作用範囲)」は、「長い」まではない
といふ風に、述べてゐるやうに、聞こえる。
然るに、
(29)
② 象鼻が長い。
といふのであれば、
② 鼻長い。のは、「」である。
従って、
(26)(29)により、
(30)
①「象」の「スコープ(作用範囲)」は、「長い」まであるが、
②「象」の「スコープ(作用範囲)」も、「長い」まではない
といふことは、有り得ない
然るに、
(22)により、
(31)
① 象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}=「すべてのxについて、xが象であるならば、・・・・・・・。」
② 象が鼻が長い=∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}=「すべてのxについて、xが象であるならば、・・・・・・・。」
従って、
(31)により、
(32)
① 象は=「すべてのxについて、xが象であるならば、」
② 象が=「すべてのxについて、xが象であるならば、」
然るに、
(33)
①「すべてのxについて、xが象であるならば、」=「これから象についてのことを述べますよ、」
②「すべてのxについて、xが象であるならば、」=「これから象についてのことを述べますよ、」
といふ風に、解することが出来る。
従って、
(27)(33)により、
(34)
① 象=「これから象についてのことを述べますよ、」
であるならば、
② 象=「これから象についてのことを述べますよ、」
であると、すべきである。