―「先ほどの記事(269)」の続きを書きます。―
(02)により、
(10)
① P→ Q =Pならば、Qである。
② ~(P&~Q)=PであってQでない。といふことはない。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(11)
② PであってQでない。といふことはない。
といふのであれば、
② Pでない。
といふ場合については、「何も述べてゐない。」
従って、
(11)により、
(12)
② PであってQでない。といふことはない。
といふのであれば、
② Pでない。ならば、Qであるか、Qでないか、のどちらかである。
といふ風に、述べてゐる。
然るに、
(13)
②「Qであるか、Qでないか、のどちらかである。」
といふのは、「排中律」であるため、「常に、真である。」
従って、
(10)(12)(13)により、
(14)
② PであってQでない。といふことはない。
として、
② Pでない。
ならば、
① P→ Q =Pならば、Qである。
② ~(P&~Q)=PであってQでない。といふことはない。
は、「必ず、真」である。
然るに、
(15)
① P→ Q =Pならば、Qである。
② ∀x(人間x→正直x)=すべてのxについて、xが人間ならば、xは正直である。
に於いて、
①=② であるならば、
① Pでない。
② すべてのxについて、xが人間である。といふわけではない。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(16)
② あるxは人間でない。
とすれば、
② すべてのxについて、xが人間である。といふわけではない。
といふことは、「真(本当)」である。
然るに、
(17)
② すべてxは人間でない。
としても、
② すべてのxについて、xが人間である。といふわけではない。
といふことは、「真(本当)」である。
従って、
(14)(15)(17)により、
(18)
② ∀x(人間x→正直x)=すべてのxについて、xが人間ならば、xは正直である。
として、
② ∀x(~人間x)=すべてxは人間でない。
とするならば、
② ∀x(人間x→正直x)=すべてのxについて、xが人間ならば、xは正直である。
といふ「命題」は、「真(本当)」である。
然るに、
(19)
② ∀x(~人間x)=すべてxは人間でない。
といふことは、
② ~∃x(人間x)=人間であるxは存在しない。
といふ、ことである、
従って、
(18)(19)により、
(20)
② ~∃x(人間x)=人間であるxは存在しない。
のであれば、
② ∀x(人間x→正直x)=すべてのxについて、xが人間ならば、xは正直である。
といふ「命題」は、「真(本当)」である。
(01)
(ⅰ)
1 (1) P→ Q A
2(2) P&~Q A
2(3) P 2&E
2(4) ~Q 2&E
12(5) Q 13MPP
12(6) ~Q&Q 45&I
1 (7)~(P&~Q) 26RAA
(ⅱ)
1 (1)~(P&~Q) A
2 (2) P A
3(3) ~Q A
23(4) P&~Q 23&I
123(5)~(P&~Q)&
(P&~Q) 14&I
12 (6) ~~Q 35RAA
12 (7) Q 6DN
1 (8) P→ Q 27CP
(ⅲ)
1 (1) ~( P&~Q) A
2 (2) ~(~P∨ Q) A
3 (3) ~P A
3 (4) ~P∨ Q 3∨I
23 (5) ~(~P∨ Q)&(~P∨ Q) 24&I
2 (6) ~~P 35RAA
2 (7) P 6
8(8) Q A
8(9) ~P∨ Q 8∨I
2 8(ア) ~(~P∨ Q)&(~P∨ Q) 29&I
2 (イ) ~Q 8アRAA
2 (ウ) P&~Q 7イ&I
12 (エ) ~( P&~Q)&( P&~Q) 1ウ&I
1 (オ)~~( P∨ Q) 2エRAA
1 (カ) (~P∨ Q) オDN
(ⅳ)
1 (1) ~P∨ Q A
2 (2) P&~Q A
3 (3) ~P A
2 (4) P 2&E
23 (5) ~P&P 34&I
3 (6) ~(P&~Q) 25RAA
7(7) Q A
2 (8) ~Q 2&E
2 7(9) Q&~Q 78&I
7(ア) ~(P&~Q) 29RAA
1 (イ) ~(P&~Q) 1368ア∨E
従って、
(01)により、
(02)
① P→ Q =Pならば、Qである。
② ~(P&~Q)=PであってQでない。といふことはない。
③ ~P∨ Q =PでなくてQでないか、PであってQであるか、PでなくてQである。
に於いて、
①=②=③ である。
cf.
含意の定義、ド・モルガンの法則。
従って、
(02)により、
(03)
{xの変域}={a、b、c} であるとして、
① ∀x( 人間x→正直x)=( 人間a→正直a)&( 人間b→正直b)&( 人間c→正直c)。
③ ∀x(~人間x∨正直x)=(~人間a∨正直a)&(~人間b∨正直b)&(~人間c∨正直c)。
に於いて、
①=③ である。
然るに、
(04)
{xの変域}={a、b、c} であるとして、
① ~人間a=aは人間でない。
① ~人間b=bは人間でない。
① ~人間c=cは人間でない。
であるならば、それだけで、
③ ∀x(~人間x∨正直x)=(~人間a∨正直a)&(~人間b∨正直b)&(~人間c∨正直c)。
は、「本当(真)」である。
従って、
(03)(04)により、
(05)
{xの変域}={a、b、c} であるとして、
① ~人間a=aは人間でない。
① ~人間b=bは人間でない。
① ~人間c=cは人間でない。
が、「本当(真)」であるならば、
① すべての人間は正直である=( 人間a→正直a)&( 人間b→正直b)&( 人間c→正直c)。
① ∀x( 人間x→正直x)=( 人間a→正直a)&( 人間b→正直b)&( 人間c→正直c)。
は、「本当(真)」である。
然るに、
(06)
{xの変域}={a、b、c} であるとして、
① ~人間a=aは人間でない。
① ~人間b=bは人間でない。
① ~人間c=cは人間でない。
といふことは、{人間は一人も、ゐない。}といふことに、他ならない。
従って、
(07)
①{人間が一人も、ゐない。}としても、
① すべての人間は正直である=( 人間a→正直a)&( 人間b→正直b)&( 人間c→正直c)。
① ∀x( 人間x→正直x)=( 人間a→正直a)&( 人間b→正直b)&( 人間c→正直c)。
といふ「命題」は、「本当(真)」である。
然るに、
(08)
要するに「すべて」という語も「人間」といふ語も、「存在する」ということとは無関係である。そこで「すべての人間は正直である」という文の論理的構造をしめす
「すべてのxについて、もしxが人間ならばxは正直である」
は命題論理の法則の一つである
(P→Q)=~(P&~Q)
をあてはめれば、「すべてのxについて、xが人間であってそして正直でないということではない」ということと等値である。
(沢田允茂、現代論理学入門、1962年、122頁)。
従って、
(07)(08)により、
(09)
沢田允茂 先生も、さうのべてゐるやうに、
①{人間が一人も、ゐない。}としても、
① すべての人間は正直である=(人間a→正直a)&(人間b→正直b)&(人間c→正直c)。
① ∀x( 人間x→正直x)=(人間a→正直a)&(人間b→正直b)&(人間c→正直c)。
といふ「命題」は、たしかに、「真(本当)」である。