(01)
(ⅰ)あるxはフランス人である。
(ⅱ)あるxは学生である。従って、
(ⅲ)あるxはフランス人の学生である。
といふ「推論」が、「妥当」であるならば、
(ⅰ)aはフランス人である。
(ⅱ)bは学生である。従って、
(ⅲ)aはフランス人の学生である。
といふ「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(02)
(ⅰ)ポールがフランス人で、
(ⅱ)ジャンが学生であったとしても、
(ⅲ)ポールが、フランス人の学生であるとは、限らない。
従って、
(02)により、
(03)
(ⅰ)aはフランス人である。
(ⅱ)bは学生である。従って、
(ⅲ)aはフランス人の学生である。
といふ「推論」は、「妥当」ではない。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
(ⅰ)あるxはフランス人である。
(ⅱ)あるxは学生である。従って、
(ⅲ)あるxはフランス人の学生である。
といふ「推論」は、「妥当」ではない。
然るに、
(05)
(ⅰ)あるxはフランス人である。
(ⅱ)あるxは学生である。従って、
(ⅲ)あるxはフランス人の学生である。
といふ「推論」が、「妥当」ではないならば、
1 (1) ∃x(Fx) A
2 (2) ∃x(Gx) A
3 (3) Fa A
4(4) Ga A
34(5) Fa&Ga 34&I
34(6)∃x(Fx&Gx) 5EI
23 (7)∃x(Fx&Gx) 246EE
12 (8)∃x(Fx&Gx) 137EE
といふ「推論」は、「妥当」ではない。
従って、
(04)(05)により、
(06)
1 (1) ∃x(Fx) A
2 (2) ∃x(Gx) A
3 (3) Fa A
4(4) Ga A
34(5) Fa&Ga 34&I
34(6)∃x(Fx&Gx) 5EI
23 (7)∃x(Fx&Gx) 246EE
12 (8)∃x(Fx&Gx) 137EE
といふ「推論」は、「妥当」ではない。
然るに、
(07)
(ⅰ)ポールが、フランス人の学生であるならば、
(ⅱ)ポールといふ、フランス人が存在し、
(ⅲ)ポールといふ、学生も存在する。
従って、
(07)により、
(08)
(ⅰ)あるxはフランス人の学生である。従って、
(ⅱ)フランス人は、存在し、
(ⅲ)学生も存在する。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(08)により、
(09)
(a)
1 (1)∃x(Fx&Gx) A
2(2) Fa&Ga A
2(3) Fa 2&E
2(4)∃x(Fx) 3EI
1 (5)∃x(Fx) 124EE
1 (6) Ga 2&E
2(7) ∃x(Gx) 5EI
1 (8) ∃x(Gx) 127EE
(b)
1 (1)∃x(Fx&Gx) A
2(2) Fa&Ga A
2(3) Fa 2&E
2(4)∃x(Fx) 3EI
2(5) Ga 2&E
2(6) ∃x(Gx) 5EI
2(7)∃x(Fx)&∃x(Gx) 46&I
1 (8)∃x(Fx)&∃x(Gx) 127EE
従って、
(06)(09)により、
(10)
EE(選言除去)の回数>EI(選言導入)の回数
であるならば、その「推論」は、「妥当」ではない。
(11)
[2020前期火5]哲学(演習) 論理学 前期第10回授業(京都大学文学部・矢田部俊介)「形式的な算術体系」
を視聴してゐて、改めて、(10)であることを、「確認」しましたが、 矢田部先生が、そのように、説明してゐる。
といふわけでは、ありません。
(01)
1 (1) ~(~P∨P) A
2(2) ~P A
2(3) ~P∨P 2∨I
12(4) ~(~P∨P)&
(~P∨P) 13&I
1 (5) ~~P 24RAA
1 (6) P 5DN
1 (7) ~P∨P 6∨I
1 (8) ~(~P∨P)&
(~P∨P) 17&I
(9)~~(~P∨P) 18RAA
(ア) ~P∨P 9DN
従って、
(01)により、
(02)
① ~P∨P=Pでないか、Pである(排中律)
は、「恒真式(トートロジー)」である。
従って、
(02)により、
(03)
① P=∃x(Fx&~Gx)
であるとして、
② ~∃x(Fx&~Gx)∨∃x(Fx&~Gx)
といふ「論理式(排中律)」は、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(04)
(ⅰ)
1 (1) ~∃x(Fx&~Gx)∨∃x(Fx&~Gx) A
2 (2) ~∃x(Fx&~Gx) A
2 (3) ∀x~(Fx&~Gx) 2量化子の関係
2 (4) ~(Fa&~Ga) 3UE
2 (5) ~Fa∨ Ga 4ド・モルガンの法則
2 (6) Fa→ Ga 5含意の定義
2 (7) ∀x(Fx→ Gx) 6UI
2 (8)~~∀x(Fx→ Gx) 7∨I
2 (9)~~∀x(Fx→ Gx)∨∃x(Fx&~Gx) 7∨I
2 (ア) ~∀x(Fx→ Gx)→∃x(Fx&~Gx) 8含意の定義
イ (イ) ∃x(Fx&~Gx) A
イ (ウ)~~∀x(Fx→ Gx)∨∃x(Fx&~Gx) イ∨I
イ (エ) ~∀x(Fx→ Gx)→∃x(Fx&~Gx) ウ含意の定義
1 (オ) ~∀x(Fx→ Gx)→∃x(Fx&~Gx) 12アイエ∨E
オ(カ) ~∃x(Fx&~Gx) A
1 オ(キ)~~∀x(Fx→ Gx) オカMTT
1 オ(ク) ∀x(Fx→ Gx) キDN
1 (ケ) ~∃x(Fx&~Gx)→∀x(Fx→ Gx) オクCP
(ⅱ)
1 (1) ~∃x(Fx&~Gx)→∀x(Fx→ Gx) A
2 (2) ∃x(Fx&~Gx) A
3 (3) Fa&~Ga A
4(4) ∀x(Fx→ Gx) A
4(5) Fa→ Ga 4UE
3 (6) ~Ga 3&E
34(7) ~Fa 56MTT
3 (8) Fa 3&E
34(9) ~Fa&Fa 78&I
3 (ア) ~∀x(Fx→ Gx) 49RAA
2 (イ) ~∀x(Fx→ Gx) 23アEE
12 (ウ)~~∃x(Fx&~Gx) 1イMTT
12 (エ) ∃x(Fx&~Gx) ウDN
1 (オ) ∃x(Fx&~Gx)→∃x(Fx&~Gx) 2エCP
1 (カ) ~∃x(Fx&~Gx)∨∃x(Fx&~Gx) オ含意の定義
従って、
(04)により、
(05)
① ~∃x(Fx&~Gx)∨∃x(Fx&~Gx)
② ~∃x(Fx&~Gx)→∀x(Fx→ Gx)
に於いて、
①=② である。
然るに、
(06)
(ⅲ)
1 (1) ∀x(Fx→ Gx) A
2 (2) ∃x(Fx&~Gx) A
1 (3) Fa→ Ga 1UE
4(4) Fa&~Ga A
4(5) Fa 4&E
4(6) ~Ga 4&E
1 4(7) Ga 35MPP
1 4(8) ~Ga&Ga 67&I
4(9) ~(Fa→ Ga) 18RAA
1 (ア) Fa→ Ga 1UE
1 4(イ) ~(Fa→ Ga)&
(Fa→ Ga) 9ア&I
4(ウ)~∀x(Fx→ Gx) 1イRAA
2 (エ)~∀x(Fx→ Gx) 24ウEE
12 (オ) ∀x(Fx→ Gx)&
~∀x(Fx→ Gx) 1エ&I
1 (カ)~∃x(Fx&~Gx) 2オRAA
(ⅳ)
1 (1)~∃x(Fx&~Gx) A
2 (2) Fa&~Ga A
2 (3) ∃x(Fx&~Gx) 2EI
12 (4)~∃x(Fx&~Gx)&
∃x(Fx&~Gx) 13&I
1 (5) ~(Fa&~Ga) 24RAA
6 (6) Fa A
7(7) ~Ga A
67(8) Fa&~Ga 67&
1 67(9) ~(Fa&~Ga)&
(Fa&~Ga) 58&I
1 6 (ア) ~~Ga 79RAA
1 6 (イ) Ga アDN
1 (ウ) Fa→ Ga 6イCP
1 (エ) ∀x(Fx→ Gx) ウUI
従って、
(06)により、
(07)
③ ∀x(Fx→ Gx)
④ ~∃x(Fx&~Gx)
に於いて、
③=④ である。
従って、
(05)(06)(07)により、
(08)
① ~∃x(Fx&~Gx)∨∃x(Fx&~Gx)
② ~∃x(Fx&~Gx)→∀x(Fx→ Gx)
③ ∀x(Fx→ Gx)
④ ~∃x(Fx&~Gx)
に於いて、
①=② であって、尚且つ、
③=④ である。
従って、
(03)(08)により、
(09)
① ~∃x(Fx&~Gx)∨ ∃x(Fx&~Gx)
② ~∃x(Fx&~Gx)→ ∀x(Fx→ Gx)
③ ∀x(Fx→ Gx)→~∃x(Fx&~Gx)
に於いて、
① は、「排中律(トートロジー)」であって、
② も、「排中律(トートロジー)」であって、
③ も、「排中律(トートロジー)」であって、
①=②=③ である。
然るに、
(10)
いまひとつの、特に言っておいてよいほどに一般的な語法は、「Fをもつ幾らかのものはGをもたない」あるいは「FをもつがGをもたないものが存在する」(「幾らかのフランス人は寛大でない」、「寛大でないフランス人が存在する」)である。これは明らかに、「xがFをもちそしてxがGをもたないようなxが存在する」、すなわち、
(27)∃x(Fx&~Gx)
となる(論理学初歩、E.J.レモン、竹尾 治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、123頁)。
従って、
(03)(09)(10)により、
(11)
①(寛大でないフランス人は存在しないか)、または(寛大でないフランス人は存在する)。
②(寛大でないフランス人が存在しない)ならば(すべてのフランス人は寛大である)。
③(すべてのフランス人が寛大である)ならば(寛大でないフランス人は存在しない)。
に於いて、
① は、「排中律(トートロジー)」であって、
② は、「排中律(トートロジー)」であって、
③ は、「排中律(トートロジー)」であって、尚且つ、
①=②=③ である。
然るに、
(12)
排中律 ~P∨P の拒絶は古典論理に親しい者には奇妙に思われるが、直観主義論理で命題論理式を証明するには、全ての可能な命題論理式に対して真または偽の証明が要求され、これは様々な理由によって不可能である(ウィキペディア)。
従って、
(11)(12)により、
(13)
「古典論理」とは異なり、「直観主義論理」にの場合は、例へば、
③(すべてのフランス人が寛大である)ならば(寛大でないフランス人は存在しない)。
といふ「排中律」を、「恒真式(トートロジー)」である。とは、認めない(?)。
といふ、ことになる。
(14)
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