(01)
① 真&真=真
② 真&偽=偽
③ 偽&真=偽
④ 偽&偽=偽
に於いて、
真=1
偽=0
&=×
とすると、
① 1×1=1
② 1×0=0
③ 0×1=0
④ 0×0=0
といふ「掛け算」になる。
従って、
(01)により、
(02)
① 真&真=真
② 真&偽=偽
③ 偽&真=偽
④ 偽&偽=偽
といふ「結果」は、
① 1×1=1
② 1×0=0
③ 0×1=0
④ 0×0=0
といふ「掛け算」に喩へることが出来るため、
「P&Q(連言)」を、「論理積」といふ。
然るに、
(03)
① 真∨真=真
② 真∨偽=偽
③ 偽∨真=真
④ 偽∨偽=真
に於いて、
真=1
偽=0
∨=+
とすると、
① 1+1=2
② 1+0=1
③ 0+1=1
④ 0+0=0
といふ「足し算」になるものの、
① 1+1=2
に関しては、
① 1+1=1
とする。
従って、
(03)により、
(04)
① 真∨真=真
② 真∨偽=真
③ 偽∨真=真
④ 偽∨偽=偽
といふ「結果」も、「足し算」に喩へることによって、
「P∨Q(選言)」を、「両立的論理和(弱選言)」といふ。
といふ。
然るに、
(05)
① 1+1=1
② 1+0=1
③ 0+1=1
④ 0+0=0
ではなく、
① 1+1=0
② 1+0=1
③ 0+1=1
④ 0+0=0
といふ「結果」になるものとして、
この場合は、「排他的論理和(強選言)」といふ。
然るに、
(06)
「太郎かあるいは次郎が辞書をもっている」と言われるとき、「太郎が辞書をもっている」と「次郎が辞書をもっている」の二つの命題は同時に真になることが可能である。
このような選言は「両立的選言と」呼ばれる。
「太郎は3階か5階にいる」と言われるとき、「太郎は3階にいる」と「太郎は5階にいる」の二つの命題が同時に真になることはありえない。
このような選言は「排他的選言」である。
論理学の「・・・あるいは・・・」は両立的選言に決めてある。それは論理学の体系がよりシンプルなものになるからである。
とりわけ、∨を両立的選言の方に決めておけば、排他的選言の方は∨と&と~によって簡単に表現できる ―(P∨Q)&~(P&Q)―。
(昭和堂入門選書、論理学の基礎、1994年、11頁)
然るに、
(07)
(ⅰ)
1 (1)(P∨Q)&~(P&Q) A
1 (2) P∨Q 1&E
1 (3) ~(P&Q) 1&E
4 (4) P A
5 (5) Q A
45 (6) P&Q 45&I
145 (7)~(P&Q)&(P&Q) 26&I
14 (8) ~Q 57RAA
1 (9) P→~Q 48CP
ア (ア) P A
1 ア (イ) ~Q 9アMPP
1 ア (ウ) P&~Q アイ&I
1 ア (エ)(P&~Q)∨(Q&~P) ウ∨I
オ(オ) Q A
オ(カ) ~~Q オDN
1 オ(キ)~P 9カMTT
1 オ(ク) Q&~P オキ&I
1 オ(ケ)(P&~Q)∨(Q&~P) ク∨I
1 (コ)(P&~Q)∨(Q&~P) 2アエオケ∨E
(ⅱ)
1 (1)(P&~Q)∨(Q&~P) A
2 (2)(P&~Q) A
2 (3) P 2&E
2 (4) P∨ Q 3∨I
2 (5) ~Q 2&E
2 (6)~P∨~Q 5∨I
2 (7)~(P&Q) 6ド・モルガンの法則
2 (8)(P∨Q)&~(P&Q) 47&I
9(9) Q&~P A
9(ア) Q 9&E
9(イ) P∨Q ア∨I
9(ウ) ~P 9&E
9(エ) ~P∨~Q ウ∨I
9(オ) ~(P&Q) エ、ド・モルガンの法則
9(カ)(P∨Q)&~(P&Q) イオ&I
1 (キ)(P∨Q)&~(P&Q) 1289カ∨E
従って、
(07)により、
(08)
①(P∨ Q)&~(P&Q)
②(P&~Q)∨(Q&~P)
に於いて、すなはち、
①(Pまたは、 Qである)が、(Pであって、Qである)といふことはない。
②(Pであって、Qでない)か、または(Qであって、Pでない)。
に於いて、
①=② である。
従って、
(06)(08)により、
(09)
「排他的選言」といふ「選言」は、
①(Pまたは、 Qである)が、(Pであって、Qである)といふことはない。
②(Pであって、Qでない)か、または(Qであって、Pでない)。
といふ「選言(disjunction)」を言ふ。
然るに、
(04)により、
(10)
① 真∨真=真
② 真∨偽=真
③ 偽∨真=真
④ 偽∨偽=偽
といふことは、
① 真∨真=真
② 真∨偽=真
である。
然るに、
(10)により、
(11)
① 真∨真=真
② 真∨偽=真
といふことは、
③ 真
であれば、それだけで、
③ 真∨□
は、そのまま、
③ 真∨□=真
である。
然るに、
(12)
1(1)P A
であれば、それだけで、
1(1)真 A
である。
従って、
(11)(12)により、
(13)
1(1)P A
であれば、それだけで、
1(1)真 A
であるが故に、
(2)P∨Q 1∨I
は、Qの「真・偽」に拘はらず、「恒に真」である。
然るに、
(14)
① P∨Q
② P▽Q
に於いて、
① が「(PとQによる)両立的選言」であるに対して、
② は「(PとQによる)排他的選言」であるとする。
従って、
(06)(08)(13)(14)により、
(15)
① 真∨真=真
② 真∨偽=真
ではなく、
① 真▽真=偽
② 真▽偽=真
であるならば、
1(2)P▽Q 1∨I
の「偽・真」は、「Qの真・偽」に従って、「偽」にも、「真」にもなる。
従って、
(10)~(15)により、
(16)
1(1)P A
1(2)P∨Q 1∨I(両立的選言導入)
といふ「推論」は「妥当(valid)」であるが、
1(1)P A
1(2)P▽Q 1∨I(排他的選言導入)
といふ「推論」は「非妥当(invalid)」である。
然るに、
(17)
(ⅰ)
1 (1) P∨ Q A
2 (2) ~P&~Q A
3 (3) P A
2 (4) ~P 2&E
23 (5) P&~P 34&I
3 (6)~(~P&~Q) 25RAA
7(7) Q A
2 (8) ~Q 2&E
2 7(9) Q&~Q 78&I
7(ア)~(~P&~Q) 29RAA
1 (イ)~(~P&~Q) 1367ア∨E
(ⅱ)
1 (1)~(~P&~Q) A
2 (2) ~(P∨ Q) A
3 (3) P A
3 (4) P∨ Q 3∨I
23 (5) ~(P∨ Q)&
(P∨ Q) 24&I
2 (6) ~P 35RAA
7(7) Q A
7(8) P∨ Q 7∨I
2 7(9) ~(P∨ Q)&
(P∨ Q) 28&I
2 (ア) ~Q 79RAA
2 (イ) ~P&~Q 6ア&I
12 (ウ)~(~P&~Q)&
(~P&~Q) 1イ&I
1 (エ)~~(P∨ Q) 2ウRAA
1 (オ) P∨ Q エDN
従って、
(17)により、
(18)
① P∨ Q
② ~(~P&~Q)
に於いて、すなはち、
① PかQの、すくなくとも、一方は、本当である。
② PとQの、両方が、同時にウソである。といふことはない。
に於いて、
①=② である(ド・モルガンの法則)。
然るに、
(16)(17)により、
(19)
(ⅱ)
1 (1)~(~P&~Q) A
2 (2) ~(P▽ Q) A
3 (3) P A
3 (4) P▽ Q 3▽I
23 (5) ~(P▽ Q)&
(P▽ Q) 24&I
2 (6) ~P 35RAA
7(7) Q A
7(8) P▽ Q 7▽I
2 7(9) ~(P▽ Q)&
(P▽ Q) 28&I
2 (ア) ~Q 79RAA
2 (イ) ~P&~Q 6ア&I
12 (ウ)~(~P&~Q)&
(~P&~Q) 1イ&I
1 (エ)~~(P▽ Q) 2ウRAA
1 (オ) P▽ Q エDN
に於ける、
3 (4) P▽ Q 3▽I
7(8) P▽ Q 7▽I
に関しては、「非妥当(invalid)」である。
従って、
(19)により、
(20)
① P▽ Q
② ~(~P&~Q)
に於いて、すなはち、
① PかQの、どちらか、一方だけが、本当である。
② PとQの、両方が、同時にウソである。といふことはない。
に於いて、
①⇒② であったとしても、
①=② ではない。
従って、
(14)(18)(20)により、
(21)
「ド・モルガンの法則」といふのは、
「両立的選言(∨)」と、「連言(&)」の間で成り立つ「法則」であって、
「排他的選言(▽)」と、「連言(&)」の間で成り立つ「法則」ではない。
然るに、
(22)
従って、
(22)により、
(23)
① ¬A├ A→B
② B├ A→B
すなはち、
① ~P├ P→Q
② Q├ P→Q
は、「実質含意のパラドクス」である。
然るに、
(24)
(ⅰ)
1 (1) ~P A
1 (2) ~P∨ Q 1∨I
1 (3)~(P&~Q) 2ド・モルガンの法則
4 (4) P A
5(5) ~Q A
45(6) P&~Q 45&I
145(7)~(P&~Q)&
(P&~Q) 36&I
14 (8) ~~Q 57RAA
14 (9) Q 8DN
1 (ア) P→ Q 49CP
(ⅱ)
1 (1) Q A
1 (2) ~P∨ Q 1∨I
1 (3)~(P&~Q) 2ド・モルガンの法則
4 (4) P A
5(5) ~Q A
45(6) P&~Q 45&I
145(7)~(P&~Q)&
(P&~Q) 36&I
14 (8) ~~Q 57RAA
14 (9) Q 8DN
1 (ア) P→ Q 49CP
従って、
(16)(21)~(24)により、
(25)
① ~P├ P→Q
② Q├ P→Q
といふ「連式」は、「同じ計算」によって、「妥当(Valid)」であるが、「この計算」には、「排他的選言」では、「不可」である所の、
1 (2) ~P∨ Q 1∨I
1 (3)~(P&~Q) 2ド・モルガンの法則
といふ「計算」がなされてゐる。
従って、
(25)により、
(26)
① ~P├ P→Q
② Q├ P→Q
である所の「実質含意のパラドクス」は、
「排他的選言(∨)のパラドクス」ではなく、
「両立的選言(∨)のパラドクス」である。