(01)
パースの法則(パースのほうそく)は哲学者であり論理学者であるチャールズ・サンダース・パースにちなむ論理学における法則である。彼の最初の命題論理の公理化において、この法則を公理に採用した。この公理は、含意と呼ばれるただひとつの結合子を持つ体系における「排中律」であると考えることもできる。命題計算では、パースの法則は ((P→Q)→P)→P のことを言う(ウィキペディア)。
従って、
(01)により、
(02)
((P→Q)→P)→P
といふこと、すなはち、
((PであるならばQである)ならばPである)ならばPである。
といふことを、「パースの法則」といふ。
然るに、
(03)
1 (1) (P→Q)→P A
1 (2) ~(P→Q)∨P 1含意の定義
3 (3)~(~P∨Q) 2含意の定義
3 (4) P&~Q 3ド・モルガンの法則
3 (5) P 4&E
6(6) P A
1 (7) P 13566∨E
(8)((P→Q)→P)→P 17CP
従って、
(02)(03)により、
(04)
『含意の定義・ド・モルガンの法則』を用ひれば、
((PであるならばQである)ならばPである)ならばPである。
といふことを、「パースの法則」が、「恒真式(トートロジー)」であることを、「簡単に証明」出来る。
然るに、
(05)
次(06)に示す通リ、
『含意の定義・ド・モルガンの法則』を用ひなくとも、
① (P→Q)→P であって、その上、
② Pでない。 とすると、
③ Pであって、Pでない。 といふ風に、「矛盾」が生じるため、
④ Pである。 といふことになり、それ故、
⑤((P→Q)→P)→P である。
(06)
1 (1) (P→ Q)→P A
2 (2) ~P A
12 (3) ~(P→ Q) 12MTT
4 (4) ~(P&~Q) A
5 (5) P A
6(6) ~Q A
56(7) P&~Q 56&I
456(8) ~(P&~Q)&
(P&~Q) 47&I
45 (9) ~~Q 67RAA
45 (ア) Q 9DN
4 (イ) P→ Q 5CP
124 (ウ) ~(P→ Q)&
(P→ Q) 3イ&I
12 (エ)~~(P&~Q) 4ウRAA
12 (カ) (P&~Q) エDN
12 (キ) P カDN
12 (ク) P&~P 2キ&I
1 (ケ) ~~P 2クRAA
1 (コ) P ケDN
(サ)((P→Q)→P)→P 1コCP
然るに、
(07)
((P→Q)→P)→P
((PであるならばQである)ならばPである)ならばPである。
といふ「パースの法則」を、初めて見たとき、
「ずいぶんと、変はった恒真式」であると、思ったことは、事実である。
然るに、
(08)
(ⅰ)
1 (1) (P→Q)→P A
1 (2) ~(P→Q)∨P 1含意の定義
3 (3)~(~P∨Q) 2含意の定義
3 (4) P&~Q 3ド・モルガンの法則
3 (5) (P&~Q)∨P 4∨I
6(6) P A
6(7) (P&~Q)∨P 6∨I
(ⅱ)
1 (1) (P&~Q)∨P A
2 (2) (P&~Q) A
2 (3)~(~P∨Q) 2ド・モルガンの法則
2 (4)~(~P∨Q)∨P 3∨I
5(5) P A
5(6)~(~P∨Q)∨P 5∨I
1 (7)~(~P∨Q)∨P 12456∨E
1 (8)~(~P∨Q)→P 7含意の定義
1 (9) (P→Q)→P 8含意の定義
従って、
(08)により、
(09)
①(P→ Q)→P
②(P&~Q)∨P
に於いて、すなはち、
①(PであるならばQである)ならばP)
②(PであってQでない)か、またはPである。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(10)
②(PであってQでない)か、またはPである。
といふのであれば、いづれにせよ、
③ Pである。
といふことは、「当然」である。
従って、
(09)(10)により、
(11)
① (PであるならばQである)ならばP)
② (PであってQでない)か、またはPである。
③ Pである。
に於いて、
①=② であって、その上、
②⇒③ であるため、
①⇒③ であって、それ故、
①((PであるならばQである)ならばPである)ならばPである。
といふ「命題」は、「恒真式(トートロジー)」である。
然るに、
(12)
①(P→Q)→P
といふ「論理式」に対して、
② P→(Q→P)
といふ「論理式」は、すなはち、ラッセルとホワイトヘッドの「公理1」は、
それ自体は、「恒真式(トートロジー)」であるが、
②(P→(Q→P))→P
は、「恒真式(トートロジー)」ではない。
(13)
1(1) P→( Q→P) A
1(2)~P∨( Q→P) 1含意の定義
1(3)~P∨(~Q∨P) 2含意の定義
1(4)~P∨(P∨~Q) 3交換法則
1(5)(~P∨P)∨~Q 4結合法則
1(〃)( 排中律 )∨~Q 4結合法則
(14)
②(Pでないか、Pである)か、または、Qでない。
といふのであれば、
②(Pでないか、Pである)
といふことが、「真(本当)」であるとしても、
② Pである。
とは、限らない。
従って、
(11)(12)(13)により、
(14)
①((P→Q)→P)→P
②(P→(Q→P))→P
に於いて、すなはち、
①((PであるならばQである)ならばPである)ならばPである。
②(Pであるならば(QであるならばPである))ならばPである。
に於いて、
① は、「恒真式(トートロジー)」であるが、
② は、「恒真式(トートロジー)」ではない。
然るに、
(15)
今まで、生きて来て、
①((雨であるならば、家にゐる)ならば雨である)ならば雨である。
②(雨であるならば(家にゐるならば、雨である))ならば雨である。
といふ風に、誰かに対して、発言した人物は、思ふに、殆ど、ゐないはずであるし、バカボンのパパも、
①((雨であるならば、家にゐる)ならば雨である)ならば雨である。
のやうな「恒真命題(トートロジー)」を、言ってはゐない。
然るに、
(16)
①((雨であるならば、家にゐる)ならば雨である)ならば雨である。
②(雨であるならば(家にゐるならば、雨である))ならば雨である。
から、「括弧」除くと、
① 雨であるならば、家にゐるならば、雨であるならば雨である。
② 雨であるならば、家にゐるならば、雨であるならば雨である。
は、「区別」が付かない。
従って、
(14)(15)(16)により、
(17)
「当然」ではあるものの、
①((P→Q)→P)→P
②(P→(Q→P))→P
に於ける「括弧」は、「無視」出来ない。