(01)
「・・・という仮定が与えられたならば、・・・と正しく結論することが出来る」という煩雑な表現の略記法があれば好都合であろう。
このためにわたしは、論理学の文献のなかでしばしば、しかし誤解を招きやすい仕方で、
断定記号(assertion-sign)とよばれる記号,
├
を導入する。これは「故に」(therefore)と読むのが便利であろう。
(E.J.レモン著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、16頁)
然るに、
(02)
① 真,真,真├ B
② ├ 真→(真→(真→B))
に於いて、
① ならば、そのときに限って、② である。
とする。
然るに、
(03)
② ├ 真→(真→(真→真))
であれば、
② ├ 真→(真→真)
であって、
② ├ 真→(真→真)
であれば、
② ├ 真→真
であって、
② ├ 真→真
であれば、
② ├ 真
である。
然るに、
(04)
② ├ 真→(真→(真→偽))
であれば、
② ├ 真→(真→偽)
であって、
② ├ 真→(真→偽)
であれば、
② ├ 真→偽
であって、
② ├ 真→偽
であれば、
② ├ 偽
である。
従って、
(03)(04)により、
(05)
① 真,真,真├ B
② ├ 真→(真→(真→B))
に於いて、
② の「真・偽」は、
② B の「真・偽」に、「等しい」。
然るに、
(01)により、
(06)
├ は、「断定記号(assertion-sign)」であるため、「定義」により、
① 真,真,真├ 偽
ではなく、「恒に」、
① 真,真,真├ 真
である。
従って、
(01)~(06)により、
(07)
① 真,真,真├ B
②├ 真→(真→(真→B))
に於いて、
① ならば、そのときに限って、② である。
とするならば、「必然的」に、
① 真,真,真├ 真
②├ 真→(真→(真→真))
でなければ、ならない。
然るに、
(08)
1 (1)(B→C) 仮定により真。
2 (2)(A→B) 仮定により真。
3(3) A 仮定により真。
23(4) B 23肯定肯定式
123(5) C 14肯定肯定式
12 (6) (A→C) 35条件的証明
1 (7) (A→B)→(A→C) 26条件的証明
(8)(B→C)→((A→B)→(A→C)) 17条件的証明
従って、
(01)(07)(08)により、
(09)
①(B→C),(A→B),A├ C
②├(B→C)→((A→B)→(A→C))
といふ「定理」は、
① 真,真,真├ 真
②├ 真→(真→(真→真))
といふ「条件」を満たすところの、『具体例』である。
然るに、
(10)
大西先生、
といふ、「ヒルベルト式の証明」を称して曰く、
(公理による証明)かなり難しい作業なので、こういふ風に、難しいんだといふことだけを、分かっておいて下さい。
然るに、
(11)
(1)
1 (1)(B→C) 仮定により真。
2 (2)(A→B) 仮定により真。
3(3) A 仮定により真。
23(4) B 23肯定肯定式
123(5) C 14肯定肯定式
12 (6) (A→C) 35条件的証明
1 (7) (A→B)→(A→C) 26条件的証明
(8)(B→C)→((A→B)→(A→C)) 17条件的証明
(2)
1 (1)(A→(B→C)) 仮定により真。
2 (2) A 仮定により真。
3(3) B 仮定により真。
12 (4) B→C 12肯定肯定式
123(5) C 34肯定肯定式
1 3(6) A→C 25条件的証明
1 (7) B→(A→C) 36条件的証明
(8)(A→(B→C))→(B→(A→C)) 17条件的証明
(3)
1 (1)(A→B)
2 (2)(B→C) 仮定により真。
3(3) A 仮定により真。
1 3(4) B 13肯定肯定式
123(5) C 24肯定肯定式
12 (6) A→C 35条件的証明
1 (7) (B→C)→(A→C) 26条件的証明
(8)(A→B)→((B→C)→(A→C)) 17条件的証明
といふ『証明』は、「極めて、簡単」である。
cf.
従って、
(10)(11)により、
(12)
『自然演繹の証明』は「簡単」であって、『ヒルベルト式の(公理と代入による)証明』は「かなり難しい」。