おせっちゃんの今日2

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ミカンの花

2021-05-08 14:32:04 | 思い出

今週は、花で締めようと思います。

わが家の玄関ドア―を出ると、目の前はお隣のお庭で、アメリカハナミズキが大きく茂って、春の花、夏の西日除け、秋の紅葉と楽しませてもらっています。その下にゆずの木があり、冬至のゆず湯には使わせていただきます。

今、そのゆずの木に花が咲いています。ゆずの実は知らない方はないと思いますが、花は案外ご存じない人もと思うのです。同じ柑橘類ですからミカンも似ています。
私には懐かしく親しい花です。

実家は山口県のH市のNと言う農村です。60メートルばかりの小高い山の中腹の家に住んでいました。敷地から塩田を越えて瀬戸内海が見晴らせました。
家の周りは,山の斜面を段々にしたミカン畑でした。この時期には白い、香りのいい花が競って咲いたものでした。

童謡にも歌われるように、いかにも長閑な風景ですが、農業としての仕事はなかなか厳しいものでした。夏の日照り、害虫の駆除の消毒、草取り、肥料やり、11月12月は収穫、ほとんどが人力での仕事ですから、相当の作業でした。当時現金収入のなかったわが家の貴重な収入だったと思います。

学校に納めなければならないことでもあったのでしょうか、とにかく現金が必要だったのだと思います。母と二人車(と言っても今の車ではありませんよ。母が引き、私が後押しをして人力で動かす小型の農業用の車です)にミカンを積み、寒さの中自宅からかなり離れた家々を売りに回ったことがありました。
母と話しながらの道中はつらいというよりは、心の通うような思い出にもなっているのですが、あるお家を訪ねた時、同じクラスのお友達が出てきたのには驚いたし、きまり悪くもあり、なんだか情けなかったことを思い出します。

どれだけ売れたのか、お金は必要なだけ都合がついたのか記憶がありませんが、とにかく夕方には帰宅しました。帰宅前に、農協の売店で母がご苦労さんとパンを1個買ってくれたのはよく覚えています。
「こんなの買っていいのかしら。折角稼いだお金なのに使って大丈夫なのかしら」不安を感じながら、齧りついたのでした。