悪ガキの頃の話です。青年期のごく初め、反抗期に差し掛かった頃のことです。こんなこと覚えはありませんか。
「ヒコマサ(その頃の理科の先生です)、今日は低気圧よ~、気を着けないと」。ヒコマサの所が「とおちゃん・かあちゃん」などと変わることはあっても、何故だか機嫌が悪くてイラついていらっしゃることを「低気圧」と言い習わしていませんでしたか。
わが家では、病気にとても神経質な父が、機嫌が悪くなり、神経痛が痛むと当たり散らすことがありました。子どものこととて、この機嫌悪さが分かりませんでしたが、今、82歳になり、3年越しの脊柱狭窄症・・・脊柱圧迫骨折とそれに伴うヘルニア・・・を抱えてしまった私は、良~く分かるようになりました。近頃医学関係でも「気象病」「お天気病」と名前もついて昇格したようです。
気圧が不安定になったり、気温が上下したりすると、予報ができるほど覿面に具合が悪くなるのです。整形医に3年リハビリに通い、今年のお正月から思い切って通院を止めさせてもらったのですが、そのお天気病が暴れはじめると3年間、リハビリを指導してくださったA先生を思い出すのです。本当に優しく愚痴を聞いてくださり、指導してくださったのです。孫と同じくらいの若い先生でした。
1月くらい前だったでしょうか、低気圧が近づき、午後からは雨になるという空模様。正直に病悪化です。それでも公園でのウオーキングはさぼらずにやろうと思いました。いつも周回路3周がノルマです。ダル重く、痛みも出てきて2周回ったところで強情者の私もあと1周は出来ないほどの具合の悪さになり、とうとう切り上げて引き上げたのでした。
午後ごろごろして、夕方には買い物に出かけました。歩く時はスマホを持って、歩数を記録させます。ほとんど毎日同じ日程です。今日は3周を2周にしたから、歩数は少なくて当然と思いながら見ると、オヤ変。いつもの歩数より多いのです。これはどうしたこと?
今日は脚のだるさに2周めはほとんどウオーキングとは言えないよたよた歩きをしたのでした。そうだ、歩幅だ。A先生がおっしゃってた、
「おせっちゃん、歩くのが基本ですからできるだけ歩いてください。その時大事なのはスピードを上げることではなく、歩幅を広く歩くことです」
ご自宅に近い病院から声が掛かって、昨年末でこちらの病院は退職なさったA先生の最後のお言葉でした。
なるほど、意識して歩幅を広げないと、歩数ばかりが増えるんだ。
幸い最近は激痛の起こることも少なく、頑張って歩いています。褒めてくださるA先生はいらっしゃらないけれど。