償い

犯した罪は償わなければならない。

それが法治国家のルールだ。


言う事を聴く奴は 褒められ

言う事を聴かない奴は 怒られ

懲りない奴は 塀の中


人は知らない間に 幾つもの罪を犯して生きている。

配偶者がいながら 不倫をする背徳者や

会社の金や情報を盗む経済犯。

己の欲望のままに 尊い生命を奪う者。

極端に言えば肉や魚を食べる殺生も然り。



旧約聖書に「7つの大罪」がある。

たぶん。

私は その内の3つを犯した。

うん。



速度違反・進入禁止(共に原付)

駐車違反(自動車)


その罪を償う為 先日 私は免許センターに行った。


さすが法治国家と言うだけあって迫力満点だった。

むしろ軍事統制下に近い雰囲気だった。

講習中は飲食・携帯電話の使用が禁じられるなど

己の自由を拘束された密閉空間の中で

交通行政のルールや秩序・点数制度の解説

今後の処遇などが行われた。


違反者の多くが

反社会活動家・宗教テロリスト・退役軍人・学生・その他 主婦など

いずれも社会の枠に収まらない猛者の集まりだったが

自動小銃を構えた教官たちの前では 流石に抵抗する術は無かった。



昼からは2つのグループに分かれ

1つは社会奉仕活動と呼ばれる いわゆる布教活動である。

もう1つは運転シミュレーション装置によるマインドコントロールや

よく分からない機械による適性検査。


私は声を大にして言いたかった。

「先生、運転シミュレーションのガソリンが切れそうです」って。

言えなかった。

言えば僕は殺されていた…


二次元の画面を横断する無機質な人間を跳ねさせて意図的に罪悪感を与え

疲弊した精神状態下で「交通ルールを守れ・守れ・守れ…」と

繰り返し洗脳して行く。

中には精神が崩壊して お花畑になった者や

逃げ出そうとして銃殺された者もいた。



元KGBで第14局(備品監理)にいた私さえも

あやうく命を落とす所だった。

ちなみに第14局はトイレットペーパーを持ち帰った政府要人を

シャーペンの芯の先端を飛ばして射殺するのが主な仕事です。

三角定規の中央に丸い穴が開いてるのを普及させたのも我々です。



講習の最後に受講者に反省文のような感想文を書かせ

どの国旗に忠誠を誓うのかを改めて問いただされた。


これが6点減点の違反者講習の実態なのか…

これが車社会の裏側に潜む恐怖なのか…

お昼の弁当は1階受付でやってますか…



読者諸兄にも運転免許を持つ者も多いと思う。

しかし違反をした者には歯グキから血が出るほど恐ろしい

講習が待ち受けている事を最後に伝えたい。



2006年7月　自室でシャーペンをカチカチしながら