isseyと愉快な仲間達

日々謝罪と反省なり。

のび太と・・・

2009年03月29日 00時57分27秒 | 青狸外伝
それは、いつもと変わらない日常だった。



誰もが知っている

誰もが見ている光景だった。



しかし、今日は違った。


彼は違ったのだ。

彼は変わったのだ。


新たに生まれ変わったのだ。




「ドラえもん!ジャイアンが、ジャイアンが・・・!」


「ようし、まかせて!この道具で・・・」



ドラえもんがポケットに手を入れ

道具を取り出そうとしている時だった。



「違うんだ、ドラえもん」


のび太は道具を出そうとするドラえもんの手を遮った。



ドラえもんが「なぜ?」と問い掛けると のび太は


「欲しいのは道具じゃないんだ。生きる道標が欲しいんだ」



のび太は言った

「キミは未来のテクノロジーを駆使した便利な道具で

安易に問題を解決しようとしてないか?


違うんだ。


キミの道具は便利で手放せないモノばかりだけど

僕にとって本当に必要なのは道具ではなく、生きる道標なんだ」



「のび太くん・・・」



「人は安心で安全で便利な暮らしを求めてる。

その結果、ドラえもん、キミが誕生した。

しかし、その一方で

人間は便利な暮らしを続けると腹に脂肪が溜まるし

筋力も衰え、やがて精神までもが堕落してしまう。


『何の為に生まれてきたのか』なんて質問があるけど

僕たち人間は生き残る術を身に付ける為に生まれてきたんだと思うよ。

そして、その術を次の世代に託す為なんだよ。

更に言えば、己の可能性の限界に挑む為に生まれてきたのさ」



のび太の言葉にドラえもんは耳を疑った。


宿題もせず、困った事があればすぐに諦めていたのに

この熱い魂を宿した発言は一体何なんだ?


一体何の影響を受けたのだ?



「でも、ジャイアンがすぐそこまで来てるよ、のび太くん?」



「大丈夫だよ、新しい友達が教えてくれたんだ

ジャイアンを大人しくさせる方法を」


そう言い残すと のび太は階下に降りて行った。




つづく