TDY、Temporary Duty。アメリカの軍隊用語で出張を意味する。世界の僻地の出張記録!TDYの次は日常の雑感

現役時代の出張記録。人との出会いと感動。TDY編を終え、写真を交えた日常の雑感を綴る。

折々の写真&雑感 289

2020年09月27日 | エッセイ
 9月6日付、折々の写真&雑感#286に能無しの二世について書いた。本人だけではなく、一世であるその父親もまたおかしな父親であった。

 ハワイ出身の白人の軍属が新たに配属されてきた。彼の階級はGS12で、兵隊の位で云うと大尉か少佐に相当する。GSとはアメリカの公務員を指す General Service の略で、続く数字は階級を表す。私も詳しいことは知らぬ。軍属の場合は退役した軍人がその職を得るが、軍隊の経験のない人でも軍属にはなれる。通常はGS4か5から始り、通常の事務職は6~8辺りである。私の会ったことのある最高位はGS16であった。中佐か大佐に相当すると聞いた。

 話は逸れたが、GS12の軍属の話では「同じ日本人の君に云い辛いことだが、今の二世は大手を振ってハワイを歩いているが、一世は白人の農園主から鞭でひっぱたかれながら炎天下のパイナップル畑で働かされていた時代があったのだ」。彼は一世を蔑んで云ったのではなく、称賛していたのだ。そして続けた。「それでも彼らはへこたれず、じっと我慢し、子供たちの教育には出来る限りのことをした。ついにパイナップル畑を手に入れた人までいるんだ。日本人は大したもんだ」と私の肩に手を置いたことがあった。それにはイタリア戦線で大活躍をした二世部隊の存在があったことは皆さまもご存知の事である。

 ある日、能無し二世の父親が我々の事務所にやって来たことがあった。その父親は白人であれば最下級の兵隊に対しても卑屈とも云える遠慮した態度をとっていたが、我々日本人の従業員に対してはぞんざいな口をきき、横柄な態度で接してきた。我々は相手にしなかったが、能無し二世が漢字を読めないどころか書けもしないことに納得した。そして、あまりの逆境、云いかえればハワイの白人の農園主から受けた過酷な労働條件と貧困に父親も息子も人間としての誇りを持てない人間になってしまったと想像した。

 写真仲間と「小平ふるさと村」に行った。川崎の「日本民家園」とは比較にならぬほどの小規模なものだが、木造の家屋に接すると心が和む。


キヤノンEOS5DMkⅣにEF24-105mm、4Lを装着。 f11、 1/30秒、 露出補正:-1、 ISO:100、 WB:オート。
 此の昔懐かしいポストは現役である。小平ふるさと村の入り口で任務に就いている。このポストと郵便局が小平ふるさと村にはそぐわない近代的なものである。


キヤノンEOS5DMkⅣにEF24-105mm、4Lを装着。 f11、 1/30秒、 露出補正:-1、 ISO:200、 WB:オート。


キヤノンEOS5DMkⅣにEF24-105mm、4Lを装着。 f11、 1/13秒、 露出補正:-1、 ISO:200、 WB:オート。


キヤノンEOS5DMkⅣにEF24-105mm、4Lを装着。 f11、 1/20秒、 露出補正:-1、 ISO:100、 WB:オート。
 此の案山子は職員氏たちの労作である。毎年作り変えているようだが古さを出すのに苦労なさっているのではないか。


キヤノンEOS5DMkⅣにEF24-105mm、4Lを装着。 f11、 1/50秒、 露出補正:-1、 ISO:100、 WB:オート。


キヤノンEOS5DMkⅣにEF24-105mm、4Lを装着。 f11、 1/6秒、 露出補正:-1、 ISO:800、 WB:オート。
 この写真と次の写真はカメラを床の上に置き、そおーっとシャッターを切った。銀塩カメラからの鍛錬の賜物か、手振れせずに、相当に遅いシャッターを切れる自信はあるが、これほどに遅いのは無理である。床に置き、ファインダーを覗かずに見当を付けてシャッターを切る。一度で駄目なら微調整をしながら何度か行う。


キヤノンEOS5DMkⅣにEF24-105mm、4Lを装着。 f11、 2秒、 露出補正:-2、 ISO:400、 WB:オート。
 ホワイトバランスをマニュアルにするべきであったが、オートのままにして撮ってしまった。だが、雰囲気は出ていると思うが如何であろうか。


キヤノンEOS5DMkⅣにEF24-105mm、4Lを装着。 f11、 1/25秒、 露出補正:-2、 ISO:200、 WB:オート。
 水車を動かしている小川は人工のものであるが、非常に水量が少ない。それでこの大きな水車を廻していることに水の力の凄さを思い知らされる。



折々の写真&雑感 288

2020年09月20日 | エッセイ
 最初から観ない、或いは途中から他局へ乗換える。そして最後にはテレビのスイッチを切ってしまう番組が多くなってきた。民放なら視聴料を払っていないのだから問題ないだろうと放送局では云うかもしれない。だが、公共の電波を無駄に使ってほしくない。

 世界で実際にあった話(真実であるかどうかは不明)として放送される番組で、用もないのに何人ものお笑い芸人や売れなくなった男優や女優を並べる。そして一様に、「怖い、怖い」と幼稚園児のように云う。或いは云わされている。馬鹿らしくて観ていられない。

 いつの事だったか忘れたが、あまり名の知られていない女優のナレーションだけでのドキュメンタリーを放送した局があった。普段は下らないお笑いタレントを並べるだけの番組を主体にしている放送局が、非常に素晴らしい番組を提供してくれた。広告の間もチャンネルを変える事はしなかった。このような素晴らしい番組を作れば、コマーシャルの間に視聴者が逃げ出してしまう事もないだろう。また、別の局だが毎週日曜日に、当たり前のようにナレーターだけで放送されている「世界遺産」。たった30分の番組だが、瞬きもしないで観ている。

 多額の視聴料を我々から一人残らず、無理やり徴収しているNHKが民法を模倣している番組が多くなってきた。真面目な、きちんとしたお笑いタレントならいいが、単に下らないことを云うだけのお笑いタレントを出したり、男だか女だかわからないような人たちを出す。また、日本語を話せると云うだけの理由で何も出来ない外国人やハーフを番組に出す。視聴料を払うのが馬鹿らしくなってくる。昔のNHKには矜持と云うものがあった。

 現在の上野動物園は入場者を制限している。毎週土曜日に次の週の一週間分の予約を受け付けており、予約がない限り入園出来ない。好きなときに、好きな時間に動物園に行く事は駄目になった。ここしばらく行っていないので、写真を撮りに行きたいとは願っているが予約が面倒で行っていない。年間パスが無駄になっていくのを諦めるしかない。

 今回は以前に上野動物園で撮った鳥たちの写真である。カラスだけが無断撮影であるが、敵だって無断で入ってきたのだからお互いさまだ。


キャノンEOS7DMkⅡにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f8、 1/30秒、 露出補正:-1、 ISO:400、 WB:オート。


キャノンEOS7DMkⅡにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f5.6、 1/125秒、 露出補正:-1、 ISO:100、 WB:オート。


キャノンEOS7DMkⅡにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/30秒、 露出補正:-1、 ISO:400、 WB:オート。


キャノンEOS7DMkⅡにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f5.6、 1/30秒、 露出補正:-1、 ISO:200、 WB:オート。


キャノンEOS7DMkⅡにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/125秒、 露出補正:-1、 ISO:100、 WB:オート。


キャノンEOS7DMkⅡにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f5.6、 1/50秒、 露出補正:±0、 ISO:3,200、 WB:オート。


キャノンEOS7DMkⅡにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f5.6、 1/60秒、 露出補正:-1、 ISO2100、 WB:オート。


キャノンEOS7DMkⅡにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f5.6、 1/100秒、 露出補正:-1/3、 ISO:200、 WB:オート。

折々の写真&雑感 287

2020年09月13日 | エッセイ
 例のトンチキな友人に「俺、今度ニコンにするんだ」と唐突に云われた。彼は昔からキヤノンを使い、レンズも全てキヤノンの純正品を揃えていた。「どうしたんだ、デジカメにするのか?」と聞いた。本体を変えてしまえば折角のレンズも使えなくなる。彼は大真面目な顔をして一冊のカメラ雑誌を私によこした。「よく見てみろ、入選者は圧倒的にニコンのカメラを使っている人が多い。だから俺もニコンにしようと思う」。私は呆れた。このトンチキな友人にカメラではなく腕の問題だと説明しても簡単には納得しなかっただろう。

 彼が鬼籍に入るまでは、二人でよく写真を撮りに行っていた。私はデジカメに切り替えていたが、友人は銀塩カメラのままであった。彼はパソコンを持ってはいたが、充分に活用出来ていない。いくら教えても、三日も経つと元の木阿弥である。

 そんな友人だが、時折感心させられることを云う。「これでよくプロが勤まるな。こんなのはその場所に行けば誰でも撮れる写真だ」と云われてその雑誌をのぞき込むと、彼の云わんとしていることが一目で理解出来た。その風景を真正面から、ただ撮っただけのような写真だった。目を引いたのは、外国の素晴らしい風景であった。それをきっかけにプロだけではなく腕自慢のアマチュアの写真もそのような目で見ると、彼の云っていることがより納得出来た。

 私は当時から風景写真は苦手で木造の古刹や古民家を主に撮っていた。友人の得意な分野は風景写真で、どうすればこのように美しい写真が撮れるのかと感心したことは一度や二度ではなかった。光の当たり具合を緻密に計算して撮っていたのだ。このような計算の出来る奴が、どうしてパソコンが不得手なのか見当がつかない。

 朝になり、それほど風が吹いていなければ裏の団地に行くのが日課のようになってしまった。コロナ・ウィルスの感染が怖く、3月以降は新宿から東に行っていない。また、新宿を経由しなければ行けない撮影地にも行っていない。

 団地の花壇があるお陰で写真を撮れないストレスから解放され、マクロレンズの特性にもかなり慣れてきた。写真仲間のご婦人の一人が180mmのマクロレンズは使いにくいと私に云ったことがあった。私が花を撮る場合はAPSカメラと100mmのマクロレンズの組み合わせなので、実質160mmのマクロレンズを使用しているのと同じだ。50mmのマクロレンズとは被写界深度がかなり違う。毎度のことだが、被写界深度には非常に苦労している。


キャノンEOS7DMkⅡにEF100mmマクロ、2.8Lを装着。 f5.6、 1/160秒、 露出補正:-1、 ISO:100、 WB:オート。


キャノンEOS7DMkⅡにEF100mmマクロ、2.8Lを装着。 f5.6、 1/125秒、 露出補正:-1、 ISO:100、 WB:オート。


キャノンEOS7DMkⅡにEF100mmマクロ、2.8Lを装着。 f11、 1/80秒、 露出補正:-1、 ISO:100、 WB:オート。


キャノンEOS7DMkⅡにEF100mmマクロ、2.8Lを装着。 f5.6、 1/100秒、 露出補正:-1、 ISO:100、 WB:オート。


キャノンEOS7DMkⅡにEF100mmマクロ、2.8Lを装着。 f5.6、 1/125秒、 露出補正:-1、 ISO:100、 WB:オート。


キャノンEOS7DMkⅡにEF100mmマクロ、2.8Lを装着。 f11、 1/25秒、 露出補正:-1、 ISO:100、 WB:オート。


キャノンEOS7DMkⅡにEF100mmマクロ、2.8Lを装着。 f11、 1/80秒、 露出補正:-1、 ISO:100、 WB:オート。


キャノンEOS7DMkⅡにEF100mmマクロ、2.8Lを装着。 f5.6、 1/160秒、 露出補正:-1、 ISO:100、 WB:オート。


折々の写真&雑感 286

2020年09月06日 | エッセイ
 アメリカの空軍に勤務していたときに、ハワイの二世が私の直接の上司になった期間があった。字が旨く、非常に素晴らしい文章を書いた。だが、日本語を読むことも書くことも出来なかった。三世や四世ではこのような人がいたが、二世で漢字を読めず、書けない人は珍しかった。普通は親がきちんと教育している筈だ。当時の一世は過酷な條件下でパイナップル畑で働かせられ、子供の教育どころではなかったらしい。それでも日本人の心を失わず、子供にはきちんとした日本語の会話と読み書きを教えていたと聞いている。だが、一世の大部分の人たちは死ぬまで英語を習得出来なかった。周囲は全て日本人で、買い物も日本語で出来たため全く英語は必要なかった。それに、アメリカ人との接点はパイナップル畑だけであった。

 私の新しい上司だが、怠け者なのか能力がなかったのか全ての仕事を我々部下に押し付けていた。書類を持って行くと、中身を確かめもせずにサインをした。本人は「めくらサインだ」と云ってニヤニヤしていた。

 日本に来たばかりの頃、東京駅で電車に乗ろうとして行き先の表示を駅員に聞いた。そしたら「読んだらいいでしょ」と云われて非常に困ったそうだ。今みたいにローマ字の併記がなかったのだ。だからと云って彼は漢字を覚えようとはしなかった。「漢字は読めなくても、スタイルで検討はつく」と云っていた。電車の行き先だけなら、漢字の形を覚えればいいかもしれない。ハワイに生まれても日本人は日本人である。漢字の読めない日本人など想像がつかない。彼は、一応はハワイ大学を卒業しているのだ。能力がないのではなく努力をしないのだ。仕事の相談を持ち掛けても、「バンバイ、バンバイ(後で、後で)」と云って逃げてしまう。あまりのやる気のなさに、二年も経たずに左遷されてしまった。

 アメリカ空軍の人事課では、此のハワイの二世を採用する前に慎重に考査をすればよかったであろうに、人手不足で雇ってしまったのが失敗であったと後で聞いた。当初はGS11での採用であったらしい。これは軍属では相当に地位が高く、少佐に匹敵する階級であった。一旦採用すると、よほどの落ち度がない限り馘首は出来ない。ここが民間企業と違うところだ。馘首の代りにどんどん格下げをされ、我々の事務所に送られてきたときはGS7で、どこかの事務所にはGS5で左遷された。ここまで落ちれば軍曹の位だ。

 本来は安楽寺へ行きたかったのだが、バスが一時間に一本あればいい方で非常に行き辛い場所にある。前々から期待していた古刹であったが交通の便を考えて断念した。代りに行ったのが梅岩寺である。寺の名の通り、梅の時期が良いことは承知しているが、急遽変更したので贅沢は云えない。コロナ・ウィルスの災難が通り過ぎる迄じっと待つしかない。昼食後に600年以上の歴史を持つ住吉神社に行った。


キヤノンEOS5DMkⅣにEF24-105mm、4Lを装着。 f11、 1/30秒、 露出補正:-1、 ISO:100、 WB:オート。


キヤノンEOS5DMkⅣにEF24-105mm、4Lを装着。 f11、 1/100秒、 露出補正:-1、 ISO:200、 WB:オート。


キヤノンEOS5DMkⅣにEF24-105mm、4Lを装着。 f11、 1/30秒、 露出補正:-1、 ISO:400、 WB:オート。


キヤノンEOS5DMkⅣにEF24-105mm、4Lを装着。 f11、 1/25秒、 露出補正:-1、 ISO:200、 WB:オート。


キヤノンEOS5DMkⅣにEF24-105mm、4Lを装着。 f11、 1/25秒、 露出補正:-1、 ISO:400、 WB:オート。


キヤノンEOS5DMkⅣにEF24-105mm、4Lを装着。 f11、 1/15秒、 露出補正:-1、 ISO:400、 WB:オート。


キヤノンEOS5DMkⅣにEF24-105mm、4Lを装着。 f11、 1/40秒、 露出補正:-1、 ISO:200、 WB:オート。


キヤノンEOS5DMkⅣにEF24-105mm、4Lを装着。 f11、 1/13秒、 露出補正:-1、 ISO:400、 WB:オート。