TDY、Temporary Duty。アメリカの軍隊用語で出張を意味する。世界の僻地の出張記録!TDYの次は日常の雑感

現役時代の出張記録。人との出会いと感動。TDY編を終え、写真を交えた日常の雑感を綴る。

折々の写真&雑感 315

2021年03月28日 | エッセイ
 テレビ局と云うテレビ局が、あの東北大震災を特集番組として来る日も来る日も放送し続けるシーズンがやっと終った。家内の友人は宮城県の気仙沼(ケセヌマ)に嫁に行った。彼女の嫁ぎ先は唐桑半島の一つの浜の全てを所有し、そこでカキの養殖を行っていた。震災で養殖場は全滅した。実際に震災にあった人たちは毎年のあの放送を全く観ていないそうだ。観るに堪えられなかったのであろう。

 現在でも月に一度、震災で家族を失った一人住まいの人たちのところに市から派遣された係員が必ず様子を見に来るそうだ。家内の友人はお嬢さんを津波で失い、仮設住宅では病いでご主人を無くされたそうだ。その月はお嬢さんと同級生だった人が見廻りにきた。悲惨なお嬢さんの最後を思い出し、涙が出た。だが、せっかく訪ねて下さったのであるから追い返すわけにもいかず、涙を堪えながら話し相手になっていたそうだ。

 この話を聞き、改めて被害者の悲しみと本音を知った。他人事のように放送を観ていた私も含め、放送局と行政はどうしてこのように無神経であろうかと改めて考えさせられた。放送局も行政も良かれと思ってやっていたことであろうに。

 震災で家族を失った方々は、相手が非常に神経を逆なでするような言動でも、被災者のことを同情してそのような行為や話をしてくれるのだと考えて、じっと耐えているのであろう。申し訳ないとしか云いようがない。そして、どのように対処すればいいか、私には思い浮かばない。

 話が飛ぶが、オリンピックの海外からの一般客の受け入れを断念したばかりか日本人の観客の制限に迷っている。聖火リレーの出発点となる福島県の会場では無観客で出発が行われた。このような状況でオリンピックを開催する必要があるのだろうか。コロナ・ウィルスの脅威より、IOCの会長の意向を恐れているとしか考えられない。実質的な主催者は日本の東京都とJOCであると思う。6割ほどの国民が反対しているオリンピックであるのに、何故「中止」と堂々と宣言しないのか不思議である。東北大震災は天災と云えるが、必ず起こるであろうオリンピックに依るコロナ災害の蔓延は人災である。

 昨年から体調を崩したようで、ピーコとちっとも会っていない。上野動物園に行くと、トラの檻の次に向かうのがピーコの居場所である。飼育員のお嬢さんが用意した被り物を、その日は慎重に柄をチェックしていた。衣装選びから被るまでの一連の動作を以下に見て頂きたい。被り方にも拘りがあるようだ。


キャノンEOS7DにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/100秒、 露出補正:-1、 ISO:400、 WB:オート、 PLフィルター使用。


キャノンEOS7DにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/100秒、 露出補正:-1、 ISO:200、 WB:オート、 PLフィルター使用。


キャノンEOS7DにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/100秒、 露出補正:-1、 ISO:200、 WB:オート、 PLフィルター使用。


キャノンEOS7DにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/100秒、 露出補正:-1、 ISO:200、 WB:オート、 PLフィルター使用。


キャノンEOS7DにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/125秒、 露出補正:-1、 ISO:200、 WB:オート、 PLフィルター使用。


キャノンEOS7DにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/100秒、 露出補正:-1、 ISO:200、 WB:オート、 PLフィルター使用。


キャノンEOS7DにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/50秒、 露出補正:-1、 ISO:200、 WB:オート、 PLフィルター使用。


キャノンEOS7DにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f5.6、 1/45秒、 露出補正:±0、 ISO:200、 WB:オート、 PLフィルター使用。
 上2枚はそれぞれ別の日に撮ったピーコである。衣装がかなり増えてきた。



折々の写真&雑感 314

2021年03月21日 | エッセイ
 もうじきその季節であるが、私が「花筏」と云う言葉とその実際を知ったのは15年程前だった。それまでは雪景色と木造建築物(古民家や古刹)それに動物の撮影にのめりこんでおり、他の被写体には殆ど興味を示さなかった。ましてや池に浮かんでいる桜の花びらを撮るなど考えもつかなかった。だが、その写真の美しさと撮る楽しみを教えて下さったのは、当時私が属していた写真クラブの先輩であった。

 「先にNDフィルターをつけたら駄目ですよ。見えなくなってしまいます。PLフィルターをつけて調整してからNDフィルターを付けるのです」と云われたのが花筏の撮り方を教わった最初の注意点だった。当然ご存知と思うが、念の為に簡単に説明致したい。「花筏」とは池に浮かんだ桜の花びらが筏のように寄添い、重なり合ってゆっくり流れる様である。それを普通に撮るには全く必要ないが、その花びらが糸を引くように、流れに渦を巻くように撮るには5秒とか10秒とかのゆっくりしたシャッター速度が必要である。1/5秒とか1/10秒ではない。シャッター幕を5秒とか10秒の間開けておくのである。それにはレンズの前をフィルターで覆って暗くしてやらなければならない。

 PLフィルター(昔は偏光フィルターと云っていた)をつけてリングを廻し、光の具合が丁度いいところで止め、その上に重ねてNDフィルターをつけるのである。Neutral DensityのNDである。直訳すれは「中性(中立?)の密度」の意であるが、日本では「減光フィルター」と訳されている。此の方がよっぽどわかりやすく、名訳である。NDフィルターにはいくつもの種類があり、それにつけられた数字が大きいほど暗さが増す。私はND8とND16を持っている。それらを重ねても使える。

 用意が整い、撮るときは三脚とレリース或いはリモートコントローラーは必需品である。そして花びらを動かしてくれる風を待つのであるが、私は風を待てずに犬の餌を投げ入れる。鯉がいれば風の代わりをしてくれる。そればかりか、緋鯉は花筏の点景として僅かな赤色を残してくれれば幸運ある。「折々の写真&雑感#57」(2016年4月18日付)に花筏の写真を掲載している。満足のいく写真ではないが、多少の参考にはなると思う。

 私は桜が満開になるのを待つのではなく、それが散り始めるのを待つのである。毎年のことだが3月の25日を過ぎると、散り始めはいつだろうかと偵察に行く。木に咲いている桜を撮るカメラマンは多いが、池に散った花びらを撮る人は少ない。一度お試しになっては如何であろうか。きっとご満足頂けると思う。

 前回に続いて上野動物園の友人たちを紹介したい。カバのジローと彼のために動物園が用意してくれた結婚相手のユイである。だが、ジローは彼女からまだ受け入れて貰えたとは聞いていない。顔を合わせてから5年以上経っている筈だ。最初の5枚がユイで、次の3枚がジローである。ユイの方がいくらか優しげな顔をしている。私にはそう見える。


キャノンEOS7DにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/80秒、 露出補正:-1、 ISO:400、 WB:オート。


キャノンEOS7DにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/100秒、 露出補正:-1、 ISO:400、 WB:オート。
 真正面から見つめられた。いくら相手が若くてもカバを恋人にするつもりはないが、悪い気はしなかった。


キャノンEOS7DにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/160秒、 露出補正:-1、 ISO:100、 WB:オート。


キャノンEOS7DにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/80秒、 露出補正:-1、 ISO:100、 WB:オート。


キャノンEOS7DMkⅡにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/45秒、 露出補正:-1、 ISO:100、 WB:オート。
 飼育員氏が持ってきてくれるであろう餌を、今か今かと待ち構えている。あのでかい図体のカバが、どうしてこんな繊細な顔立ちになれるのかと考えながら撮った。飼育員氏たちが体をさすり、歯を磨いてやる気持ちがわかるような気がした。


キャノンEOS7DMkⅡにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/40秒、 露出補正:-1/3、 ISO:200、 WB:オート。


キャノンEOS7DMkⅡにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/125秒、 露出補正:-1、 ISO:400、 WB:オート。


キャノンEOS7DMkⅡにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/125秒、 露出補正:-1、 ISO:100、 WB:オート。

折々の写真&雑感 313

2021年03月14日 | エッセイ
 五輪組織委の森前会長は余程人望がなかったのではないのか。「女性蔑視発言」の責任を取らされ辞任に追い込まれたのは、彼の日ごろの言動に不満を持っていた人が大勢いたように思われる。また、彼が総理になったきっかけは「死の床にある総理から後を頼むと云われた」と云ったことだが、彼の他に誰もそれを聞いていない。私はその時から彼を信用していないし、嫌いである。今回の彼の発言は会長の座から引きずり下ろす良いきっかけになったのではないか。或る週刊誌に、彼が前言を取り消して謝罪をしたが、辞任すると云わなかったのは、何百億円かのオリンピック剰余金が目当てだったのではないかとまで書かれた。

 アメリカ人の友人に「奥さんが車に乗るのにドアーを開けてやったり、重くもない荷物を持ってやったり、大変だなぁ」と同情したことがあった。すると彼は小声で「それは外だけの事さ。家の中に入れば、ボスは俺だ。お前みたいにコーヒーを淹れてやったりしない」と逆に私のことを蔑んだ目で見た。彼が一般的なアメリカ人の亭主だとは思わないが、似たようなものだと思っている。黒人に対する差別についても同様だ。黒人に限ったことではない。白人以外の全ての人種を差別の目で見ている人は少なくない。また、白人でもイタリア人やユダヤ(イスラエル)人に対しても特別な偏見を持っている。また黒人は白人やアジア人を、それにヒスパニックを特別な目で見ている。

 アメリカ社会で人種差別を、特に黒人差別を無くせと長年叫ばれてきた。その成果か近年は逆差別を見受けられることがある。私がよく知っている軍隊内の事であるが、前にも書いたように軍隊の家族用宿舎は階級と家族の人数で広さが決められている。もっと大きな家が欲しいと黒人兵は直属の上官を飛び越して基地の司令官のところに要求を持っていった。当然却下された。すると「私が黒人だから認められないのか」と云いがかりを付けた。すると司令官は「人種差別をする白人」のレッテルを貼られるのを恐れて要求を受け入れてしまった。逆差別もいいところだ。これは伝聞だが実際にあったことだ。このようなことが、白人と黒人との間ばかりではなく、男と女の間にも起こっている。男どもはご婦人の要求に逆らえず、ストレスをため込んでいるとこぼされたことが何度もあった。

 上野動物園が臨時休園を始めたので行けなくなった。パンダ舎には人が群がっているが、其処に近づかなければコロナは怖くないと考えて緊急事態宣言の発令前は何回も通っていた。以下の写真は以前に撮った写真である。ご勘弁願いたい。


キャノンEOS7DにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f5.6、 1/160秒、 露出補正:-1、 ISO:800、 WB:オート、 PLフィルター使用。


キャノンEOS7DにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/125秒、 露出補正:-1、 ISO:800、 WB:オート、 PLフィルター使用。


キャノンEOS7DにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/50秒、 露出補正:-1、 ISO:800、 WB:オート、 PLフィルター使用。
 上の三枚は2018年の12月まで上野動物園に居たオスのケアヒである。他の動物園に移動したが、現在は12才である。


キャノンEOS7DにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f5.6、 1/80秒、 露出補正:-1、 ISO:400、 WB:オート、 PLフィルター使用。
 ケアヒと入れ替わりに上野動物園にやって来たのはオスのブランで、現在は7才である。ネコ科の動物は水を嫌うと云われているが、ブランはまるで温泉に浸かっているようにのんびりと過ごしていた。この池に入るトラを見たのは初めてであった。

 以下4枚の写真は小獣館に居るマヌルネコである。上野動物園の資料によるとモンゴル語で「小さい野生ネコ」の意味だそうである。小さいと云っても、小振りの飼い猫程度の大きさである。実に可愛い。檻の奥に引っ込んでいるが、ときに檻のガラスのすぐそばにまで来てくれる。そしてじっとしていてくれるときがある。それを待って撮る。


キャノンEOS5DMkⅣにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f5.6、 1/40秒、 露出補正:-1、 ISO:1,600、 WB:オート。


キャノンEOS5DMkⅣにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f5.6、 1/30秒、 露出補正:-1、 ISO:1,600、 WB:オート。


キャノンEOS7DMkⅡにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f5.6、 1/30秒、 露出補正:-1、 ISO:1,600、 WB:オート。


キャノンEOS7DMkⅡにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f5.6、 1/30秒、 露出補正:-1、 ISO:1,600、 WB:オート。

折々の写真&雑感 312

2021年03月07日 | エッセイ
 今から約33年前、ビルマがミャンマーに国名を変える前の年(1988年)にラングーン(現ヤンゴン)大学の学生を主体とするデモがあった。この時も軍隊が出動し、学生たちに向け容赦なく銃弾を撃ち込んだ。これをきっかけにデモが暴動と化した。この件に関しては2013年9月6日付のTDYビルマ編の第1回以降をご参照願いたい。

 昨日(3月6日)の朝日新聞に、香港の民主化が喪失したとの記事に並び、ミャンマーの軍人や外交官に不服従の動きがあり、警官迄が離反してインドに逃れたとの記事が載っていた。

 この記事を見て33年前のラングーン大学生が行った静かなデモが暴動に変化していった過程を思い出した。当時は完全に軍がビルマ全土を支配していた。商売のためのビザ申請も軍にお伺いを立てなければ入国出来なかった。我々貿易業者は何とか入国出来たが、ジャーナリストに対しては例外なくビザの発給をしなかった。

 ご存知とは思うが、ミャンマーには50を超える部族が暮らしている。そのうち主な部族は17ある。その中でも最大の部族がビルマ族で全人口の70%程を占めていると云われている。1988年のデモに参加したラングーン大学生は殆どがビルマ族であり、そのデモに協力した一般市民もビルマ族であった。軍はビルマ族以外の部隊を編成し、彼等をデモ鎮圧に向けたのだ。日本で考えるような、日本人のデモ隊に日本人の自衛官が銃を発砲するのとはわけが違う。ビルマ人のデモに、他国の部隊が銃弾を撃ち込んで鎮圧する意識であった筈だ。

 デモに参加し、仲間を殺され、恋人を殺された学生たちはカレン族の住むカレン州に逃げ、彼等と一緒にカレン戦線に加わりビルマ軍と戦ったと聞いている。また私がマンダレーのバーで聞いた話では恋人を殺された女子学生が売春婦となり、かなりの金額をカレン戦線に寄附しているのは一人や二人ではないとも聞いた。

 全国の民族を一つの国民とするために、1989年に国名をビルマからミャンマーに変え、ラングーンをヤンゴンに変えた。だが、違う部族間とのわだかまりが完全には消えてはいないと私の取引先のビルマ族の社長に聞いた事があった。

 今回のデモに対して躊躇なく銃弾を撃ち込んでいる兵隊たちは、別の部族で編成された部隊に属しているように思える。本来は大人しく、信心深い仏教徒があそこ迄軍隊に刃向かうのは余程の事情であると各国の方々に認識して頂きたい。

 以前に撮った府中競馬の写真を掲載したい。自動のゴミ取り装置が付いていなかった初代の5Dと、自動のゴミ取りのついた7Dで撮ったものである。今は当時と格段に進歩した5DⅣと7DIIを使っているが、これが当たり前の性能のように思えるから人間は呆れるほどに贅沢だ。


キャノンEOS5DにEF70-200mm、2.8Lを装着。 f11、 1/200秒、 露出補正:-1、 ISO:125、 WB:オート。


キャノンEOS5DにEF70-200mm、2.8Lを装着。 f11、 1/80秒、 露出補正:-1、 ISO:125、 WB:オート。


キャノンEOS5DにEF70-200mm、2.8Lを装着。 f11、 1/60秒、 露出補正:-1、 ISO:125、 WB:オート。


キャノンEOS7DにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/125秒、 露出補正:-1、 ISO:200、 WB:オート。


キャノンEOS7DにEF70-200mm、2.8Lを装着。 f11、 1/160秒、 露出補正:-1、 ISO:400、 WB:オート。


キャノンEOS7DにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/160秒、 露出補正:-1、 ISO:100、 WB:オート。


キャノンEOS7DにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/125秒、 露出補正:-1、 ISO:100、 WB:オート。


キャノンEOS7DにEF100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 f11、 1/200秒、 露出補正:-1、 ISO:200、 WB:オート。