TDY、Temporary Duty。アメリカの軍隊用語で出張を意味する。世界の僻地の出張記録!TDYの次は日常の雑感

現役時代の出張記録。人との出会いと感動。TDY編を終え、写真を交えた日常の雑感を綴る。

折々の写真&雑感 202

2019年01月27日 | エッセイ
 2018年5月13日付の「折々の写真&雑感#165」に、友人の買った土鍋炊飯器が3カ月ほどで故障し、修理に出した。戻ってきてすぐに同じ個所の不具合が出たのでメーカーに電話したが、相手にされなかったと書いた。その時は大阪の大手の魔法瓶メーカーとしか書かなかったが、それはタイガー魔法瓶である。何故、今になってメーカー名を出したのか訝る方もおいでと思うが、別の友人も同じ目にあったことが分かったからである。

 マダガスカルのアンタナリブの中心街にあるコルベール・ホテルの二つのレストランについては何度か書いた。高級な方の「ラ・タベルナ」、肩ひじの張らない「フォーグラ」のどちらのレストランにもコンセルジェがいて親切に私の食べたい料理の相談に乗ってくれていた。フランス語の読めない私に代ってメニューを説明してくれ、料理の内容や味まで事細かに説明してくれる。時には、「お客様は野菜スープを選んでいるので、グリーンサラダは無理に注文なさらなくてもいいです」とアドバイスしてくれる。またローストしたカモにかけるソースについても解説してくれた。

 フランス語のメニューだけではなく、英語のメニューを併用するようになってからも彼女らの親切な助言が変ることはなかった。その時は考えることもなかったが、何故彼女らはレストランで供される料理について詳しいのか不思議に思う。当時のマダガスカルの給与は平均的に1,500円から2,000円だった。フォーグラでなら、600円もかからずにステーキディナーが食べられたが、ラ・タベルナでは800円ほど、ワインや前菜も含めれば更に400円以上を支払わなければならない。彼等には非常に高い値段であるが、日本人の私にはラーメンをお替りして食べるほどの負担であった。

 コンセルジェ達は料理の内容だけではなく、味までも私に説明していてくれていた。一度や二度食べただけではあれほど的確に説明出来るものではない。自腹で食べることなど到底出来ない。ホテルがOJT(仕事に就く上での訓練)として彼女らに実際に料理を食べさせ、材料と料理の仕方まで教えていたに違いない。恐らく、ウェイターやウェイトレスにもメニューにある料理を食べさせていたのではないだろうか。彼らはビルマのレストランのボーイのように、客の料理を物欲しげに見るようなことはなかった。

 先週の木曜日(24日)に写真仲間と「サンシャイン水族館」に行った。寒いから暖かい水族館に行くとの発想は短絡的に過ぎた。自宅から水族館迄薄着と云うわけにはいかぬ。かなりの防寒対策が必要だった。暖房の効いた館内で写真を撮るに当たり、手袋とマフラーを外せてもコートは脱げない。置くところがないのだ。水族館内にコートを預かってくれるサービスかロッカーを用意してくれていれば大いに助かるが、どちらも無かった。


キヤノンEOS5DMkⅣに24-105mm、4Lを装着。 ISO:800、 f5.6、 1/60秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
コブダイ


キヤノンEOS5DMkⅣに24-105mm、4Lを装着。 ISO:400、 f8、 1/90秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
エイ


キヤノンEOS5DMkⅣに24-105mm、4Lを装着。 ISO:800、 f5.6、 1/20秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
クラゲ(種類は不明)


キヤノンEOS5DMkⅣに24-105mm、4Lを装着。 ISO:800、 f8、 1/40秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
コブシメ


キヤノンEOS5DMkⅣに24-105mm、4Lを装着。 ISO:100、 f11、 1/125秒、 露出補正:-1、 WB:オート。


キヤノンEOS5DMkⅣに24-105mm、4Lを装着。 ISO:100、 f11、 1/90秒、 露出補正:-1/2、 WB:オート。

 上の2枚のペンギンはかなり粘って撮った。吹きっさらしの屋上で、寒さを我慢しながらの撮影であった。此のペンギンを撮らなければ高い入館料を払った意味がない。だが、ペンギンは私の希望する場所にはなかなか来てくれなかった。素晴らしい場所に来ても、ちょっと脇見をしている隙に通り過ぎてしまう。


折々の写真&雑感 201

2019年01月20日 | エッセイ
 私が現役だったころ、マレーシアのペナンには何度も訪れていた。この小さな島には南国の風景はあるが、旅行会社のパンフレットにあるような飛び切りきれいな島ではない。日本では新婚旅行のメッカと騒がれ、一時は大変な人気だったと聞く。完全に旅行会社に乗せられた感がある。行ってみた人の評判を聞き、後に続く人たちがどんどん減って行った。当然のことだ。

 一般にマレーシアには中国系の人が多いが、特にペナンは群を抜いて多い。「中国人が海を汚し、地球を駄目にする」と騒がれていた時期があった。ペナンの沖合はきれいな海の色をしているが、岸の近くは汚い。掘り返せばゴミとヘドロが出てくる。とても泳ぐ気になどなれない。

 ペナンに来て良かったと思えるのは美味しい食事がふんだんにある事である。海岸近くに高級なレストランが集まっている。店に依ってはかなり高いが、その価値はあるように思える。島の中央の繁華街には庶民的な中華料理店がある。中でも、日本でもお馴染みになっている、周囲に店があり中央の広場にテーブルが並んでいる施設がある。各店は自慢の特別に美味しい料理を非常な安い価格で提供している。昼時には座る余地がないほどの盛況ぶりである。相席をお願いした中国人一家が、輪切りにした唐辛子を非常に美味しそうに食べているのが目についた。堪りかねて、「一つ食べてもいいですか?」と聞くと、びっくりしたように私を見たが、「どうぞ、どうぞ」と云って皿をこちらに寄こしてくれた。辛かった。でも美味しかった。タイで云うナンプラー(魚醤)にお酢を足したものに唐辛子は浸してあった。お酢で唐辛子の辛さを和らげるのだそうだ。

 タイに戻り、市場で大量の唐辛子を買い、日本に持って帰った。時効なので白状するが、スーツケースの中に幾重にも包んだビニール袋に入れて持ち帰ったのだ。自宅に帰って、唐辛子を1センチ弱に切り、日本のお醤油に漬けた。そして思い付きでブランデーを入れた。10日ほど経ってから取り出して食べたが、非常に辛くおいしかった。お醤油はチャーハンやローストビーフにかけて食べたら、味が一味も二味も変った。爾後我が家では未だに唐辛子を切らしたことがない。出張のたびに唐辛子を大量に買ってきてはせっせと唐辛子の醤油漬けを作った。一年ほど経ったものは美味しさをそのままに辛さが大分抑えられてきた。現在は新鮮な唐辛子を、趣味で農作業をしている従妹のご主人にお願いして特別に作って頂いている。

 ペナンの繁華街には道端に店を開いている両替商が多くいる。一見真面目そうに見えたインド人に両替を頼んだことがあった。差し出された金額がかなり少ない。ポケットから計算機を出し、「お前は換算レートを幾らにした!」と聞くと、彼は慌てて不足分を差し出してきた。間違えたのではなく「確信犯」だったのである。油断も隙もない。

 相変わらずの日本民家園の写真でご容赦願いたい。私にとっての日本民家園は尽きることのない被写体の宝庫である。何百、何千と古民家があるわけではない。たかが20件ほどの古民家があるだけだが、行くたびに違った顔を見せてくれる。時期、時間、天候、撮影の角度と向き、カメラの設定。これらの組み合わせだけでも被写体は無限に広がる。


キヤノンEOS5Dに24-105mm、4Lを装着。 ISO:800、 f5.6、 1/20秒、 露出補正:-1、 WB:オート。


キヤノンEOS5Dに24-105mm、4Lを装着。 ISO:100、 f11、 1/160秒、 露出補正:-1、 WB:オート。


キヤノンEOS5Dに24-105mm、4Lを装着。 ISO:400、 f11、 1/10秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
 このアングルの写真は以前に何回も掲載しているが、私の好きなアングルの一つである。係員が一人もおいでにならなかったので、障子を勝手に閉めさせて頂いた。勿論、撮影後は開けておいた。


キヤノンEOS5Dに24-105mm、4Lを装着。 ISO:100、 f11、 1/30秒、 露出補正:-1、 WB:オート。


キヤノンEOS5Dに24-105mm、4Lを装着。 ISO:100、 f4、 1/13秒、 露出補正:-1、 WB:オート。


キヤノンEOS5DMkⅣに24-105mm、4Lを装着。 ISO:1,600、 f5.6、 1/40秒、 露出補正:-1、 WB:オート。


折々の写真&雑感 200

2019年01月13日 | エッセイ
 安田(仮名)と野本(仮名)が揉めていた。「同じ0点でも俺の方が上だ」とお互いに大声で主張し合っていた。安田は「俺は全く勉強していなくて0点だ。お前は一生懸命勉強して0点。どっちの0点に価値があると思うか!」。彼らが議論(?)していたのは地学の試験の結果についてだった。

 安田と野本,そして私は夫々にクラスは違っていたが気の合う友人同士であった。特に安田とは彼が鬼籍に行くまで付き合いが続いていた。野本は安田を通して友人になったのだが、我々より年は一歳上だった。安田に云わせると、「俺たちより一年も余計に学校に通っている割には、あいつは出来が悪い」のだそうだ。それで、あの冒頭の云い争いになったのだ。野本にしてみれば、「結果は0点だったが、俺は一生懸命努力して0点だった。安田の奴は何もしないで0点だ。だから安田の0点は無価値だ」と云うことらしい。「お前はどう思う?」と両人から聞かれたが返答に困った。0点は0点だ。0点に価値などない。あまりにも馬鹿々々しくなり、その場を離れた。

 私は彼らとは違う化学を専攻していた。同じ頃に受けた試験は95点だった。まぐれのようなものだったかもしれないが、どうしたわけか、高校2年の時は化学が好きな教科の一つだった。化学を教えて下さった教師の教え方が旨かったのと性格の良さに依るものだったと今でも感謝している。どうしたわけか、化学式がすらすらと書けた。だが、今ではNa(ナトリウム),Fe(鉄)とかH(水素)とかの元素記号をいくつか覚えているにすぎない。化学の試験で奇跡のような95点取ったのは、私が非常な努力をした結果ではない。試験勉強などせず、多分ここが出るだろうとヤマをかけていたのである。それが大当たりした運の良さに過ぎない。ヤマが外れていたら、彼等と同じ0点を取っていたかもしれない。その可能性の方が高かった。

 安田や野本のように馬鹿々々しいことで真剣に議論していた頃を懐かしく思う。野本は品川に住んでいたが、安田は我孫子から毎日通学してきた。今は「上野東京ライン」や「湘南ライン」を使えば学校まで一時間と少々で着くが、当時はかなりの時間を要しただろう。また、鎌倉や片瀬から通ってきた連中もいた。夏休みに片瀬の友人宅に何日も厄介になったこともあった。

 また上野動物園の写真で恐縮だが、行くたびに彼らは違った姿を見せてくれる。表情も違う。当たり前のようだが、私に驚きを感じさせ、喜びを与えてくれる。


キャノンEOS7DMkⅡに100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 ISO:800、 f8、 1/60秒、 露出補正:-1、 WB:オート、 PLフィルター使用。
 今日の出番は比較的おとなしいインダ(メス、11才)だった。彼女は私を見ても全く反応を示さない。以前にもう一匹のメスのマニス(11才)に私が嫌われていると書いたが、虎の飼育員氏の話に依るとそうではないらしい。むしろ、私はマニスに好かれているのだとのことだ。私にかまって貰いたくて、遊んで貰いたくてガラス越しに飛び掛かってくるのだそうだ。飼育員氏は「私にも、マニスは飛び掛かってきます」と云っていた。次回にマニスに会ったら、違う目で見てみよう。


キャノンEOS7DMkⅡに100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 ISO:400、 f11、 1/60秒、 露出補正:-1、 WB:オート、 PLフィルター使用。
 一定の距離は置いているが、リキは母親のモモコのそばを離れない。一歳を過ぎて、自分だけで遊ぶことも多くなってはいるが、まだ母親が恋しいのであろう。時にはおんぶされる。


キャノンEOS7DMkⅡに100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 ISO:100、 f11、 1/90秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
 地獄谷野猿公苑の猿は直ぐ近くに寄れるので撮り易く、親しみを持てるのは確かである。だが、上野動物園の猿は全体が見渡せるので観察を続けると夫々の猿の順位がなんとなく理解出来てきて、それはそれで面白い。写真の猿は中程に位置する。


キャノンEOS7DMkⅡに100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 ISO:100、 f11、 1/250秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
 此の日の午前中はまだ寒く、母親が自分の子をしっかりとわきに置いていた。


キャノンEOS7DMkⅡに100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 ISO:400、 f11、 1/125秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
 クロサイの足の裏に興味を持った。あの巨体を支えている足裏は実に柔らかそうである。柔らかい足裏によって彼は非常に軽やかに走る。


キャノンEOS7DMkⅡに100-400mm、4.5-5.6Lを装着。 ISO:100、 f11、 1/150秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
 ジローの嫁さん候補のユイである。愛媛の動物園から連れて来られて5年以上も経つが、まだジローと一緒にして貰えない。それはジローが原因ではなく、ユイの性格のきつさからそうなっているのだそうだ。

折々の写真&雑感 199

2019年01月06日 | エッセイ
 明けましておめでとうございます。今年も続けてご購読下さるよう、伏してお願い申し上げます。

 国分寺にある殿ヶ谷戸庭園のシモバシラは1センチにも満たない。電話の問い合わせに気持ちよく応じて下さるが、私が庭園に着くころには溶けて無くなっていることが何度もあった。

 2018年の1月4日に神代植物公園に行った。シモバシラが目的ではなく蝋梅を撮りに行ったのであった。途中で植物を撮影しているグループに出会った。そのうちの一人がシモバシラを撮って来たとその写真を見せて下さった。「神代植物公園植物多様性センター」で撮ったとのことで、その場所を教えて頂いた。伺った通りの場所に行くと、2~3センチのシモバシラがいくつかあった。余談だが、タイアザミの茎も水分を吸い上げ、シモバシラ同様になると植物多様性センターの職員氏に教えて頂いた。それに興味があり、今年は1月2日に行ったのだが、暖かったのか影も形もなかった。

 ご存知のように、此処で云うシモバシラは地面を盛り上げるあの霜柱ではない。しそ科の多年草のシモバシラのことを云う。茎が地面の水分を吸い上げ、それが氷結したものである。一度氷結すると、二度目は茎が裂けてしまっているので一度目ほど大きくはならない。

 私の自宅からは遠く、行き辛い場所にあるが、板橋区立の赤塚植物園(入場無料)のシモバシラが一番である。運よく12月の最初のシモバシラに出会うと、50センチ以上になるそうだ。私の経験では20~30センチのものが過去で一番大きかった。赤塚植物園には、大きさだけではなく、いくつもの場所に何十ものシモバシラが出現する。慌てて撮らなくとも、そう簡単には溶けてしまわない。

 シモバシラは以下の條件で出来る。①気温が零度以下。 ②風が吹かない。 ③雨が降らない。その他にもややこしい條件があるようだが、私は以上の三つの條件がそろう日に赤塚植物園に行く。通常の開園は午前9時だが、シモバシラの出来た日は職員氏のご厚意で8時半に門を開けて下さる。朝早く自宅を出て、この公園に着くまでに疲れてしまうほど遠いが、シモバシラに出会うと元気が出る。また、撮り終えた後に公園のベンチで持参の熱いコーヒーを飲むのは至福の時だ。特にいい写真が撮れた時は尚更である。

 2016年1月18日付の「折々の写真&雑感44」及び2017年2月6日付の「折々の写真&雑感99」にもシモバシラについて多少触れており、赤塚植物園のシモバシラの写真も掲載してあるのでご参照願いたい。

 今回掲載したシモバシラの写真は、2018年の1月4日に神代植物公園の植物多様性センターで撮ったものである。


キャノンEOS7DにEF70-200mm、2.8Lを装着。 ISO:100、 f5.6、 1/40秒、 露出補正:-1、 WB:オート。


キャノンEOS7DにEF70-200mm、2.8Lを装着。 ISO:100、 f5.6、 1/60秒、 露出補正:-1、 WB:オート。


キャノンEOS7DにEF70-200mm、2.8Lを装着。 ISO:100、 f5.6、 1/30秒、 露出補正:-1、 WB:オート。

 以下の写真は2018年12月31日に撮影した明治神宮の大祓(オオハラエ)の写真である。毎年6月30日との2回あるのだが、6月には行った事がない。一度、2004年の雪の日の大祓に撮影したことがあった(2015年12月28日付の折々の写真&雑感41をご参照願いたい)。毎年雪が降ることを願っているが、それ以来雪に恵まれていない。


キャノンEOS5DMkⅣにEF70-200mm、2.8Lを装着。 ISO:200、 f5.6、 1/90秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
 神官たちの誘導だけではなく、警備の任も帯びている筈であるのによそ見をしていていいのか?


キャノンEOS5DMkⅣにEF70-200mm、2.8Lを装着。 ISO:400、 f5.6、 1/60秒、 露出補正:±0、 WB:オート。


キャノンEOS5DMkⅣにEF70-200mm、2.8Lを装着。 ISO:100、 f5.6、 1/60秒、 露出補正:±0、 WB:オート。
 全ての神事を終えて帰る神官たちの足取りは軽かった。30分ほどのことだが、かなり神経を使ったのであろう。