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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

教科書採択に政治的権力が介入しないよう運動 尾道の教科書を考える市民の会

2016年11月16日 | こども危機
 ◆ 育鵬社・自由社教科書の不採択を勝ち取る!
   ~広島県尾道市のとりくみ
(教科書ネット21)
山根基嗣 尾道の教科書を考える会

 2011年8月尾道市教育委員会は、公民教科書を育鵬社にすることを採択する。
 私たち「尾道の教科書を考える市民の会(市民の会)」は、育鵬社教科書の問題点を指摘し、県内での署名活動を実施、13000名余りの署名を集め、教育委員会に提出・抗議する。
 また教育委員会議での採択過程の議事録の全面公開を求め情報公開請求をすすめる。しかし議事録は、教育委員名や役職名を黒く塗りつぶした部分開示であり、「全面開示」を求め取り組みを進める。
 「市民の会」会員の市議会議員(5名)と連携し、本会議、文教委員会、予算特別委員会、総務委員会などで問題点を指摘し、一貫して「開示すべき」と主張をする。
 この結果、2013年4月22日尾道市情報公開審査会は「市民の会」の異議申し立てに対して市教委に「全面開示すべき」との答申を出した。
 採択会議議事録の「全面開示」を勝ち取るまでに2年4か月のとりくみでした。
 この「全面開示」の取り組みが2015年8月教科書採択で育鵬社・自由社教科書の不採択を勝ち得ることになったことを確信している。
 ◆ 採択会議議事録から判明したこと
 「平成23年第9回尾道市教育委員会会議」(2011年8月25日)において、選定委員会答申の公民分野は、東京書籍がもっとも適切のA、帝国書院と日本文教出版社が適切のB、教育出版社、清水書院、自由社育鵬社はいずれも該当しないと評価している。
 しかし、山北教育委員長は、各教科の審議をせず、一方的に「一括審議で選定委員会がA評価している教科書を採択したい。しかし、公民教科書は国歌・国旗に対して熱い思いを語っている育鵬社を選択していきたい。」と述べ選定委員会の決定を覆して多数決で強行採択したことが判明する。
 また議事録から、半田教育長は「山北委員長さんは、他の教科書は(選定委員の答申を)尊重するが公民だけはこちら(育鵬社)に変えてくれという意見ですが、私はすべて選定委員の選んだものを選んでいきたい」と反論している。
 さらに中司委員は「ただ、公民でそれ(育鵬社の採択)をやるということは、理論の飛躍があり賛成できません。」など反対の意見が出されている。
 採択会議での山北教育委員長の運営は、他委員が疑義を示したにも関わらず、比較検討せずに一方的に採決していることが判明する。
 ◆ 育鵬社教科書反対運動の取り組み
 議事録開示後(2013年4月)から2015年8月教科書採択会議まで一貫して私たちは、「育鵬社版『新しいみんなの公民』教科書」採択撤回と再度採択会議開催を市教委に申し入れを続ける。
 育鵬社・自由社教科書を採択させない要求行動(市教委に対して申し入れ・3回署名活動・はがき活動・教科書展示場での意見箱への投書など)は、地元新聞社である「山陽日日新聞」の積極的な報道により、多くの尾道市民が問題点を知ることになり、教育委員に無言の圧力になったと考えられる。
 また本会議・文教委員会などで5名の市議会議員が中心となり「2012年度使用中学校教科書採択会議」(2011年8月25日)の問題点を追及する。
 ◆ 政治的な力が介入をしないよう運動を進める
 議事録開示請求の取り組みの中で「選定委員会会議録」の全面開示も勝ち得ることができ、採択会議に圧力をかけることができた。選定委員会が丁寧に各教科書を分析し、選定資料として採択会議に提出・提案がなされ、この結果が育鵬社不採択に結びついたと考えている。
 今後私たちは、教科書検定制度の改善を求めると共に、教科書採択に政治的権力が介入しないよう運動をしていく必要がある。
 2019年8月の教科書採択会議で育鵬社・自由社教科書の不採択に向けて継続的な運動を進める。
『子どもと教科書全国ネット21ニュース 110号』(2016.10)

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