◆ 当たり前のことが理解されるために。
元大阪府立高校・支援学校教員グループZAZA 奥野泰孝
自分がすべきこと裁判を終えても、終わらせてはならない闘いのために記録を残す準備をしています。そして、法的な闘いとしては以下のことを考えています。
一、2019年のCEART(ILO国際労働機関とユネスコ国連教育科学文化機関)の合同機関)の勧告を活かす。勧告内容の中で以下の内容が直接関わる。
(a)規則は国旗掲揚や国歌斉唱に参加したくない教員にも対応できるものとする。
(c)懲戒審査機関に教員の立場にある者をかかわらせることを検討する。
(e)障がいを持った子どもや教員、および障がいを持った子どもと関わるもののニーズに照らし、愛国的式典に関する要件を見直す。
二、2022年の国連自由権規約委員会の勧告(「国歌斉唱ができない教職員に懲戒処分を科すことが人権を制限し、条約に適合していない」ことの改善)を活かす。
三、1966年のILO/UNESCO「教員の地位に関する勧告」を活かす。
10(a)子どもができるだけもっとも完全な教育の機会を与えられることは、すべての子どもの基本的権利である。特別な教育的取扱いを必要とする場合には、適正な注意が払われなければならない。
46 教員は、その専門職としての身分またはキャリアに影響する専断的行為から十分に保護されなければならない。
50 すべての教員は、一切の懲戒手続の各段階で公平な保護を受けなければならない。
四、障がい者の権利に関する条約の第24条から、国の不当性を訴える。
2(d)障害者が、その効果的な教育を容易にするために必要な支援を教育制度一般の下で受けること。
5 締約国は、障害者が、差別なしに、かつ、他の者と平等に高等教育一般、職業訓練、成人教育及び生涯学習の機会を与えられることを確保する。このため、締約国は、合理的配慮が障害者に提供されることを確保する。
五、教員が自身の専門性と経験から、教育的判断をすることを、憲法第13条の幸福権の追求として捉える考えを広める。
◆「合理的配慮」無視の卒業式の情況整理
A君の状態
①普段は車いす。介助者が支えると歩ける。歩くのが大好き。
②てんかん発作が毎日ある。疲れている時、緊張など精神的不安定になる時発作が出やすい。
③薬の量などで発作を抑えることはある程度できるが、そうするとボンヤリしたり寝てしまう。医者と保護者と学校の合意点は、いろんな経験をさせることは大切なので、学校での小さな発作はある程度許容する、ということ。小さな発作でも治まった後、ぐったりして後の活動に支障が出る。
④会話によらず視覚・聴覚により状況把握する。表情や声でコミュニケーションをとっている。普段接していない者とはコミュニケーションがとりにくい。
親の要望
式の最後まで元気に参加して、できるだけ歩く姿が見たい。
担任の判断
①入場・退場・卒業証書受け取りを介助歩行で行う。体調不良等で車いすで移動の可能性もあるのでA君の卒業生席には車いすを使う。
②歩いて入場後着席の次に「起立」なので、緊張と不安から発作を起こしやすいと判断(前年卒業式で起立斉唱の後半に発作が出ている)。担任は介助者として彼の横に座り続ける(横に座っているだけで精神的安定となり、また顔の表情でのコミュニゲションが取りやすい。)
結果
①A君は発作を起こさず、元気に卒業式に参加できた。退場の時には数秒、介助者の手を離れ独歩が出来た。(帰宅後発作は起きている。)
②担任は、職務命令に従わなかったとして戒告処分。(式場に混乱はなし。クレームもなし。)
『大阪ネットワークニュース 第33号』(2024年12月15日)
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