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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

★ ALL REVIEWS 『崩壊する日本の公教育』(集英社)

2025年01月07日 | 「日の丸・君が代」強制反対

『崩壊する日本の公教育』(集英社新書)鈴木 大裕 著

 ★ 効率化が教師を奪う教育現場の現状を直視し、未来を見据えた提言
   ―鈴木 大裕『崩壊する日本の公教育』中村 桂子による書評

 “私が教職を去るのではない。/『教師』というしごとが私から去っていったのだ。”

 40年のキャリアを持つ米国の教師が書いた辞表は、全米の教育関係者の共感を呼んだ。公教育に市場原理を取り入れ、点数での競争を軸にした結果、米国の公教育は荒廃した。
 今日本が、まさにその後を追っている様子が詳細に語られる。効率と生産性だけが求められる教育現場では、人が人でなくなっていくのである。

 政治の教育への介入により、校長の指揮命令下で行われる業務が優先され、教員による自主的・自発的・創造的業務は労働時間とされないという実情は、教師というしごとを消している。
 大阪の小学校長が「豊かな学校文化を取り戻し、学び合う学校にするために」という提言を市長に提出し、教師を取り戻そうとして話題になったが、文書訓告で収められた。

「真に理性的な社会では、最も優秀な人間が教員になって、他の人間はその他の職業で我慢するしかない」(リー・アイアコッカ)

 そのために生命の営みの中で教育を捉え直し、社会を支えている一人一人の力で動きを変えようという著者の言葉に賛同する。

 ★ 内容紹介:

 安倍政権以降、「学力向上」や「愛国」の名の下に政治が教育に介入し始めている。その結果、教育現場は萎縮し、教育のマニュアル化と公教育の市場化が進んだ。
 学校はサービス業化、教員は「使い捨て労働者」と化し、コロナ禍で公教育の民営化も加速した。
 日本の教育はこの先どうなってしまうのか?その答えは、米国の歴史にある。『崩壊するアメリカの公教育』で新自由主義に侵された米国教育「改革」の惨状を告発した著者が、米国に追随する日本の教育政策の誤りを指摘し、あるべき改革の道を提示する!

 ※ 目次

第1章 「お客様を教育しなければならない」というジレンマ―新自由主義と教育
第2章 人が人でなくなっていく教育現場―教員の働き方改革の矛盾
第3章 新自由主義時代の「富国強兵」教育と公教育の市場化―政治による教育の「不当な支配」
第4章 「自由」の中で不自由な子どもたち―コロナ禍が映し出した教育の闇と光
第5章 「教師というしごとが私を去っていった」―教育現場における「構想」と「実行」の分離
終章 「遊び」のないところから新しい世界は生まれない

[書き手] 中村 桂子
1936年東京生れ。JT生命誌研究館館長。生命誌という新しい知を提唱。
東京大学理学部、同大学院生物化学博士課程修了。

『ALL REVIEWS』(2025年1月2日)
https://allreviews.jp/review/7203

 


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