◎ 要 請 書
東京都教育委員会
教育委員長 木村 孟 殿
教育長 比留間英人 殿
東京都教育委員会は、国歌斉唱時の教職員に対する職務命令と懲戒処分の虚しい繰り返しをやめ、教育現場と真摯に向き合い、問題解決をはかるべきです。
今年の3月の卒業式では、戒告5名、減給1名の懲戒処分を強行しましたが、これは教育行政が行うべきではない不当行為です。特に、機械的な累積加重処分は、2012年1月16日最高裁判決が違法と断じました。違法・不当な、これ以上の懲戒処分を即刻やめるべきです。
最高裁判決は、処分を受けた教職員の不起立等の動機は、真摯な思想・良心に基づくものであることを認めた上で、起立斉唱・伴奏の強制は、“間接的に”思想・良心の自由を侵害するものであるとの判断を示し、職務命令を違憲とまでは言わないものの、職務命令違反に対する懲戒処分については抑制的であることを求め、機械的な累積加重による減給・停職処分は裁量権の逸脱・濫用にあたり違法と判示したのです。
行政が行った懲戒処分に対して最高裁が、その違法性を指摘して取り消すことは希有なことであり、東京都の教育行政は、その重大性を真摯に受け止めるべきです。
にもかかわらず、都教委は今年の3月、違法とされた機械的な累積加重による減給処分までをも強行しました。都教委は、司法から違法と判示された厳罰主義を繰り返してはなりませんし、現場の教職員を萎縮させ、学校現揚の意欲と活力を封殺する不当な処分を繰り返してはなりません。
2012年1月16日「君が代」処分取消訴訟および2月9日国歌斉唱義務不存在確認等請求訴訟(予防訴訟)では、第一小法廷5人の裁判官のうち、一人が反対意見、3人が補足意見を書くという異例の状況となりました。
補足意見を書いた櫻井裁判官は「教育の現場でこのような職務命令違反行為と懲戒処分がいたずらに繰り返されることは決して望ましいことではない。教育行政の責任者として、現場の教育当事者として、それぞれがこの問題に真摯に向き合い、何が子どもたちの教育にとって、また子どもたちの将来にとって必要か適切なことかという視点に立ち、現実に即した解決策を追求していく柔軟かつ建設的な対応が期待されるところである」と書き、
また横田裁判官は「違反者に重い処分を課したからといって、事柄の性質上、根本の問題が解決するわけでもない。……関係者は、ともども、こうした現実が多感な生徒に及ぼす影響とこの問題に関する社会通念のあり方について真摯に考究し、適切妥当な解決のために具体的な方法を見いだすよう最大限の努力をすることが望まれる」と書いています。
今、教育現場で深刻な問題となっている「いじめ」・「体罰」も、原因解明抜きの単なる厳罰主義の対応では聞題を解決することができないことが明らかになってきています。
学校では、自由闊達な議論を保障し、生徒と教師の主体的な人格的触れ合いを通して、子どもたちの成長をはかる必要があります。
いたずらに処分を繰り返すような無能な策をやめ、教育現場の声を真摯に受け止め、問題の本質を掘り下げ、適切な解決策を見いだすよう努力することを、私たちは都教委に求めます。
2013年4月18日
「日の丸・君が代」強制反対予防訴訟をひきつぐ会
連絡先:片山むぎほ FAX
連絡先:片山むぎほ FAX
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