★ 「関東大震災の朝鮮人虐殺」学習の生徒の感想
天羽高校分会 石井 泉
昨年は関東大震災と朝鮮人虐殺100年の年だった。映画『福田村事件』も上映され、9月1日を中心に多くのイベントや学習会が開催された。
高教組の関連だけでも、
12/8千葉県共闘会議主催の平和を守る千葉県集会『関東大震災100年 朝鮮人虐殺問題を考える』講師 キム・チョルスさん(朝鮮大学校朝鮮問題研究センター長)、
12/9県教研「平和民族人権教育」分科会『関東大震災100年、千葉県の朝鮮人虐殺、日本人虐殺』講師 平形千惠子さん(千葉県における関東大震災と朝鮮人犠牲者追悼・調査実行委員会)、
同日全体会『関東大震災から100年、朝鮮人への集団暴行・虐殺の真実を学ぶ』講師 佐野通夫さん(東京純心大学教授)、
12/16県教研「男女平等教育」分科会『歴史の真実を学ぶフィールドワーク(高麗博物館企画展「関東大震災100年隠蔽された朝鮮人虐殺」)』
が実施された。
一方で、小池都知事は2017年以来、追悼式典への追悼文送付を拒否し、政府は「記録がない」(23年8月30日松野官房長官)とあたかも歴史的事実が曖昧かのような印象をばらまき、真相究明や謝罪に背を向けている。
だからこそ、私たちは千葉の「負の歴史」を授業で生徒に伝え、二度と繰り返さないよう学び続けなければならない。
今年度は現代社会と公共の授業でこの問題を取りあげたのでその内容を報告する。
まず、『現代史資料6 関東大震災と朝鮮人』や『いわれなく殺された人びと』に掲載される史料「海軍船橋送信所から発せられた電文」「本県における朝鮮人などの虐殺」「ある村人の日記」を生徒に読ませ、政府によるデマの内容や具体的な県内の朝鮮人虐殺(日本人含む)の記録、軍が収容朝鮮人を各村に配った事実を確認した。
次に、
[1] なぜ当時の日本人はデマを信じて虐殺までしてしまったのか?、
[2] 史料中の虐殺された「日本人」とはどのような人たちか?、
[3] なぜ軍は収容した朝鮮人を各村に配って殺させたのか?、
の3つのテーマを順に話し合った。
また、船橋市丸山の住民や神奈川警察署鶴見分署長大川常吉が朝鮮人を守った事実も紹介した。
授業終了後の生徒の感想を一部だが紹介する。
○ 始めは関東大震災によるパニックで正常な判断ができなかったから?と考えたが、朝鮮人を各村に配ったのは「共犯にするためではないか」という意見には驚いた。もし、差別や虐殺を拒否したら日本人でも疑われ殺されたのではないかと確かに思う。
○ 放火や暴動の犯人という確信もないのになぜ多くの朝鮮人を殺したのか、理由がわかった気がする。日本人は自身が激しく差別しいじめてきたので「朝鮮人は皆日本人を恨み反乱したがっている」と思いこんだ結果だと思う。
○ 朝鮮人というだけで殺されるのはあってはならない。間違って日本人も殺したと聞き悲しくなりました。デマを信じず朝鮮人をかくまったり助けた人はすごいと思いました。このような過去の日本の歴史を忘れてはいけないと思う。
○ 混乱と恐怖の中で何が正しいのか分からず、朝鮮人虐殺が起きてしまったことは、日本人として恥ずかしい。人間の心の醜さが前面に出て勉強していて嫌な気分になった。特に、朝鮮人をわざわざ各村に配り殺させたのは本当にバカなことだと思う。
○ 現在もアジア人どうしが差別するのはこのような出来事があったからかと思った。朝鮮の人々は教科書に「日本人にこうされた」と記述するから差別はなくならないと思った。
○ 関東大震災から100年経ち、未だに極右の人たちが差別やヘイトスピーチをくり返している。私はそのようなことは嫌いですぐに止めてもらいたい。
○ 日本人の身勝手な支配・差別で自由を奪われ、何かあると全て朝鮮人のせいにされるのはかわいそうだと感じた。国民全体を共犯にしようとする政府や警察の動きはすごく恐ろしいし、少しは朝鮮人の気持ちを考えて欲しいと思いました。
○ 朝鮮人を反乱などできるはずもないほどいじめ支配したのに、放火や反乱の疑いをかけ虐殺するなんてやり過ぎ。皆を共犯にする政府や警察のやり方があまりに残酷と感じた。
○ やってもいないことで6000人もの朝鮮人が殺され悲しく思った。隣国の人や自国の人なのに殺してしまうなんて、戦争は本当に人の心を変えてしまうものだと感じた。
○ 「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「放火」「爆弾を所持」とか、実際には誰も見てないのに決めつけ殺すなんて信じられない。今でも差別があるか らなくなって欲しい。
○ 一番の原因は戦争だと思う。植民地が欲しいとか戦争しようという考えが、当時なかったら、全く違った状況になったと思う。とても悲しい事件だし、ちゃんと学ぶべき事件だと思います。今後は両国がずっと友好的な関係を築き続けて欲しいと思いました。
○ 朝鮮人をかばい守った日本人もいたらしいので、その当時にそのような人たちがもっとたくさんいれば多数の朝鮮人が助かっただろう。そうして救われて欲しかった。
○ 初めて関東大震災で朝鮮人虐殺があったことを知りました。「君が代」が歌えなかったり「さしすせそ」がなまると殺されたらしいと聞き、自分がその立場だったらあせらずうまくしゃべれただろうか?と思いました。
○ 今までこのようなひどい虐殺があったことを知りませんでした。ユダヤ人虐殺も同様だが、勝手な偏見や差別で罪のない子どもから大人まで殺してしまう、そんな世界があったことが驚き。今後も繰り返さないよう学んだり友好を深めたいと思いました。
○ 戦前の朝鮮人差別の教育が徹底され、実際にひどくいじめたからこそ、「朝鮮人は皆が日本人を恨んでいる」と確信し虐殺してしまった。無実の朝鮮人にひどすぎると思う。
○ 韓国が大好きな方なのでこの学習をしてイライラした。現在の日本の政治も不満だが、戦前日本がしたことを強く反省し二度とこのようなことが起きないようにして欲しい。
○ 日本人が事実確認せず差別や決めつけで大量虐殺したことは本当にひどい。自分が朝鮮人だったら反乱し仕返したいです。2度とあってはならないと思う。
○ なぜ当時の日本がこんなにも朝鮮人を嫌っていたのかが気になりました。日本にもこのような過去があることに驚いた。今後、絶対に繰り返さないようにしたい。
○ わざわざデマを流してまで朝鮮人を殺そうとするなんて正気ではない。朝鮮人を各村へ配り見せしめで公開処刑させたのだろうが、ここまでするかと驚いた。
○ この事件は日本の黒歴史である。国全体で朝鮮人をいじめ挙げ句に殺すなんて許されないですが、きっと私がその場にいたら何もできず仕方なく殺したのかとも考えます。改めて未だ知らないことがたくさんあると感じました。
○ 当時は戦争へ向かう時代でもあり仕方ない部分もあるのかもしれないが、関東大震災以上にこの朝鮮人虐殺の事実は辛い事件で忘れてはならず、後世に伝えていかなければ。
○ 朝鮮人に対する扱いがとてもひどく、同じ人間なのにかわいそうと思いました。毎年、慰霊式典などが実施されてることを知り、少し平和になったなったと感じました。
『ひのきみ通信 第241号』(2024年2月10日)
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