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都教委『教科書調査研究資料』を公表

2017年07月19日 | 暴走する都教委
 ◆ 道徳教科書初採択で都教委、
   政治色濃い調査項目を設定
(週刊新社会)
   永野厚男・教育ライター


 道徳教科化に伴い7~8月、全国の教育委員会が初の文部科学省検定済・小学校道徳教科書(2018・19年度使用)の採択を行うのを前に、東京都教育委員会は6月8日の定例会で、『教科書調査研究資料』(以下、資料)を公表した。資料は"国旗・国歌の扱い"など、政治色の濃い独自の調査項目を設定している。
◆ "国歌"記述を調査
 資料は冒頭、地方教育行政法第21条6号を独自に解釈し、「公立学校の教科書採択権限は、所管の教育委員会に属する」と主張。「区市町村教委は本資料を参考にした上で、・・・教科書を採択」するよう求めている。
 資料は続けて、改定教育基本法の"国を愛する態度"や、「教育は・・・国際社会に生きる日本人の育成を期して、行われなければならない」などと記した都教委の「教育目標」などを羅列。
 「(8社・66冊の道徳)教科書の違いや特徴がより明確になると考えられる項目を選択し、・・・調査研究を行」うと称し、「具体的に調査研究する事項」(調査項目)に、
①国旗・国歌の扱い、
②オリンピック・パラリンピックの扱い、
③北朝鮮による拉致問題の扱いなどを明記した。
 そして
  ①の設定理由を、「学習指導要領に基づき、国旗・国歌に対する正しい認識をもたせ、それらを尊重する態度を育てる」、
  ②は「文化・スポーツに親しみ、国際社会に貢献できる日本人を育成する」、
  ③は「児童・生徒が人権尊重の理念を正しく理解できるようにする」と主張。

 小学校指導要領で①の国旗・国歌は社会・音楽に出ているが、道徳にはない。都教委は指導要領すら越え、教科書採択に政治マターを持ち込んだのだ。
 改憲政治団体・日本会議系の日本教育再生機構(メンバーが育鵬社版社会科教科書を執筆)理事の貝塚茂樹・武蔵野大学教授らが執筆した教育出版の道徳教科書は、2年生で「大切な国旗と国歌」という教材を載せ、「国旗・国歌を大切にする」というコラムも掲載。
 資料は、このコラムの「国家(きみがよ)のいみ」(注、都教委の誤字はママ)「なぜ国旗・国歌を大切にするか」などの表題をすべて明示。
 「伝記や著名人による教材」で二宮金次郎を4社が、渋沢栄一を3社が掲載などの一覧表を明示したのと併せ、保守的な教育委員の多い区市町村教委が特定の出版社の教科書を採択するのに有利な材料を提供した、と言える。
 ③は、「調査の結果、記載の無いことを確認した」と、わざわざ記載。
 傍聴者は、都教委には「保守系政治家ら"上"に対し、拉致問題ちゃんと調べました」と弁明する意図がある、と語る。
 一方「人権」と謳うが、ヘイトスピーチなど在日外国人差別問題は無視だ。
 だがこの日の定例会では、元NHKキャスターの宮崎緑教育委員が「詳細な調査ですばらしい」と資料を絶賛し、情報モラル等で短く意見を述べただけだった。
 ◆ 3分の2使用で可
 ところで道徳の年間授業時数は35。このため出版社の多くは35の教材を載せる。
 5月29日の都教委の教科書選定審議会で、義務教育指導課の馬場一平・指導主事は「小学校5・6年なら35-(指導要領で規定する内容項目の)22=13時間」は、「必ずしも教科書に頼らず創意工夫できる」と明言。13時間は一般書籍や新聞記事を教材に教えてもよいという考えを示した。
 万一"愛国心"教材を2つ以上載せた教科書を採択した自治体の学校も、2つ目からの"愛国心"教材は扱わなくてよいという、ささやかな歯止めにはなりそうだ。
『週刊新社会』2017年7月18日号3面掲載記事

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