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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

大阪の「教育改革」の問題を題材にした本や映画が相次ぐ背景

2022年06月10日 | 日の丸・君が代関連ニュース

 ◆ 大阪の教育…ええかげんにせえ (東京新聞【ニュースの追跡】)

 「ええかげんにせえ!」と感じている人が多い証しなのか。大阪の「教育改革」の問題を題材にした本や映画が最近、続々と世に出ている。教育行政という地味な分野。それも特定地域に焦点を当てた一般向けの作品が、相次ぐのは珍しい。内容は重く、殺伐とした気分にすらなる。大阪を通じて、日本の教育現場が直面している息苦しさが浮かび上がってくる。(北川成史)
 ◆ 「改革」題材、相次ぐ書籍映画化

 先月、元毎日新聞記者でルポライターの永尾俊彦さん(65)が「ルポ大阪の教育改革とは何だったのか」(岩波ブックレット)を上梓(じようし)した。
 毎日放送(MBS)のディレクター斉加尚代さん(57)が監督し、大阪を含め政治と教育の関係を問う映画「教育と愛国」も公開を開始した。
 四月には元大阪市立小学校長の久保敬さんの「フツーの校長、市長に直訴!」(解放出版社)が刊行されている。久保さんは定年前の昨年、コロナ禍で授業の原則オンライン化を突然発表した松井一郎大阪市長に、疑義を唱える提言書を出し、文書訓告を受けた。
 作品が続く背景について永尾さんは「教育への政治介入や過度な成果主義への危惧の表れ」と指摘する。
 永尾さんは二〇〇八年に橋下徹氏が大阪府知事に就任後、大阪維新の会による教育改革を追い、特徴を著書で描き出した。
 国歌の起立斉唱を義務付ける条例や教育振興基本計画づくりに首長が関与できる条例を制定し、上意下達の体制をつくる。
 府内全中学校が参加し、結果を内申点に反映させる「チャレンジテスト」などを導入し、全国学力テストの点数を公開して、事実上学校を格付けする。
 教員らにテストの平均点など数値目標を設定させるほか、授業評価の生徒らへのアンケートを実施し、教員らに競争を強いる
 こうした施策は成績中上位層の保護者には受けが良いが、教育現場を萎縮させ、生徒らの心を弾まなくしているという。
 ◆ 「政治圧力・成果主義への危機感」

 映画「教育と愛国」に登場する府内の公立中学校教諭の平井美津子さん(61)は「職員会議に議論はなく、校長は教育委員会の通達を伝えるだけになった。学校がチャレンジテスト対策に必死になり、塾化している」と顔を曇らせる。
 慰安婦問題を取り上げた平井さんの授業が新聞報道された一八年、SNS上で「反日」といったバッシングが起きた。そうした中に吉村洋文大阪市長(現・府知事)も含まれる。
 「本来、政治家が教育現場に圧力をかけるのはおかしい」。平井さんは教育の中立性の崩壊を危惧する。
 教育への政治介入は大阪に限らない。安倍晋三政権下の〇六年、愛国心を盛り込んだ改正教育基本法が成立以降、傾向が強まっている。教育観の面で安倍氏ら自民党保守派と共通項のある維新が力を持つ大阪は、その顕著な舞台なのだろう。
 同じく映画に登場する大阪大の牟田和恵名誉教授は、慰安婦を含むジェンダー研究を巡り、自民の杉田水脈衆院議員からの攻撃に対し、裁判で争っている。
 牟田さんはカを込める。
 「日本学術会議の任命拒否でも表れたが『学問は国のため。政治家が口を出しても当たり前』という意識なのでは。政治介入への危機感を社会で共有したい」
 「教育と愛国」は当初、五つの映画館での上映ながら連日満席。二週間で一万人以上も動員し、ドキュメンタリー映画としては異例のヒットになっている。
 監督の斉加さんは各地での舞台あいさつで教育関係者から声を掛けられた。
 「作ってくれてありがとう」と涙ながらの人もいた。教育現場が歪(ひず)み、悲鳴を上げているのは間違いない。
『東京新聞』(2022年6月6日【ニュースの追跡】)

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