『産経』が、戦時中の中国人強制連行・強制労働の話題という”寝た子を起こす”行為に踏み切った

　◆ ＜情報＞『産経』による山川版中学歴史教科書への批判を逆手に活用する素材紹介
　　　皆さま　　　　　高嶋伸欣です

　『産経』が電子版で、「従軍慰安婦」を明記した山川出版・中学歴史教科書を”目の敵”にするかのような嫌味、攻撃を展開しています(下のURLです）。
https://news.yahoo.co.jp/articles/27b6d730bfe8dca09c92f5067703cd85f7e75551
　同中学歴史教科書（この４月から使用されます）の見本本に、戦時中のこととして「多くの朝鮮人や中国人が日本に徴用され、鉱山や工場などで過酷な条件の下で労働を強いられた」とあったのに対し、「徴用」は中国人には当てはめられず、この記述は事実に反するものだったということをことさらに、読者に気づかせようとしている記事のように読めます。
　記事では、山川出版がどのように記述を是正したのかを、きちんとは明らかにしていませので、是正後の記述の確認は、生徒が手にするのと同じ供給本を手にするまで、できません。
　　＊同書を採択した都立一貫校の教員か生徒・保護者のどなたか、確認をして示して頂けるとありがたいですが。
　教科書取次店では、中学校の２０２１年度用を一般の人々・塾等の関係者には１６日から店頭販売をするので、その時点からは入手と確認が可能です。
　ともあれ、同書を熱心に点検していた人たちがいたからでしょうか、生徒が手にする供給本では事実に即した記述に直せたのですから、なによりです。
　けれども、これで一件落着とするのはもったいなく、残念です。

　折角あの『産経』が戦時中の中国人強制連行、強制労働の話題を持ち出すという”寝た子を起こす”行為に踏み切ったのですから、この機会をこちらが活用しようと思います。
　それというのも、当時の中国人強制連行の実態を証明する記録を日本政府が作成していたのに「記録は失われた」と弁明し、ことをうやむやにしていたところ、それらの記録が見つけだされているのです。
　同記録に基づいて、当時の非人道的な扱いの実情を全国に伝えたのがＮＨＫ「クローズアップ現代」（１９９３年５月１７日）『発見　幻の外務省報告書』（３０分）です。
　３０年という年数は「一時代」「一世代」とも言われます。それだけ前のことですから、ゴールデンアワーに衝撃を与えた番組の話題を再び呼び起こすことになると、今回の記事をまとめた記者は気づけなかったのかもしれません。
　でも私たちは、そうした好機を見逃さずに利用していきたいというのが、このメールのねらいです。
　上記の番組は、３０分ほどですから大学はもちろん高校・中学の授業枠の中でも容易に活用できるので、山川版以外の中学歴史教科書等を使用されているところでも役立ちそうです。
　＊以前にも紹介した素材ですが、その後に教員等になられた方や関心を新たにされた方々に、この機会に便乗してまたお知らせすることにしました。
　同番組の利用を希望される場合は、高嶋宛個人メールでご連絡下さい。要領はこれまでと同じです。
　※ 山川出版 中国人徴用の記述を修正 歴史教科書（産経新聞） - Yahoo!ニュース
　萩生田光一文部科学相は30日の参院文教科学委員会で、4月から使われる山川出版社の中学校歴史教科書で、戦時中に中国人が日本に徴用されてい...
https://news.yahoo.co.jp/articles/27b6d730bfe8dca09c92f5067703cd85f7e75551
　＊このWEB記事は30日の夜にアップされていたので、31日の『産経新聞』紙面にも掲載されると予想していましたが、31日の東京本社版にはありませんでした。夕刊とセットで紙面に余裕のある大阪本社版ではいかがでしょうか。