厳しい状況が続くなか、今春も不起立を貫いたお二人から思いを寄せていただきました。
(『被処分者の会通信』から)
◎ 不起立の中にある想い
昨今の状況は戦前の戦争へ向かう状況と似ており、その流れの一つに卒業式での国旗・国歌強制が位置づけられる。そう考えると、国旗・国歌を無反省に生徒に押しつけることは到底できない。
また、過去の経緯を一切無視して、あたかも祭りやスポーツイベントの景気づけのごとく国旗・国歌を学校の儀式で使用し、生徒にそのような誤解を与える側には立ちたくない。それは、戦争により命を落とした人々、肉親を失った人々、飢えに苦しんだ人々、人権抑圧の犠牲になった人々を忘れることである。
彼らは、もちろん自ら進んで命を落とした訳ではない。その多くは天皇主権の政治体制の下、政府に情報統制を敷かれ、正しい判断材料を与えられないまま時代に流された結果、命を奪われたのである。
また、ある者はその時代状況の異常さに気づいていたが、それを社会に伝える自由が制限あるいは剥奪され、かつ、自らの意志に反して死を選ぶよりほかにない状況に追い込まれたのである。
それでも彼らは最期に臨み、自らの死が祖国や肉親を守ることに、ひいては後世の祖国の復興と発展につながると自らに言い聞かせて、命を散らしたのである。
翻って、現在の日本はどうであろうか。
バブル経済が終焉して以来の不景気とはいえ、昭和初期に比べれば、遙かに豊かで平和な生活を謳歌している。
現憲法のおかげで、人権も保障されている。これはひとえに戦争犠牲者の思いを胸に、終戦直後から現在に至るまで、営々と築き上げてきた努力の結晶である。
しかしこの状況も、昨年の東日本大震災を見れば分かるように、万一戦争で壊滅的な打撃を受ければひとたまりもない。
そこで今に生きる我々がすべきことは、いかに戦争への道を歩まずに先人たちの築き上げた社会を維持するかということになる。これこそが、我々ができる戦争犠牲者たちへの鎮魂となるのである。
そこで私ができることを考えると、無反省に「君が代」「日の丸」を礼賛しない。また礼賛していると誤解されたり、礼賛を煽る行動を取らないという結論にたどり着く。
たとえ職務命令違反とされて処分を受けても、戦争犠牲者の受けた苦しみを考えれば、まだ耐えられる。いずれ時が来て一生を終える時に、自分の生を振り返って悔いを残したくないとの思いで、今回の行動をとった次第である。
『被処分者の会通信』(2012/5/15 第81号)
(『被処分者の会通信』から)
◎ 不起立の中にある想い
N(原告)
昨今の状況は戦前の戦争へ向かう状況と似ており、その流れの一つに卒業式での国旗・国歌強制が位置づけられる。そう考えると、国旗・国歌を無反省に生徒に押しつけることは到底できない。
また、過去の経緯を一切無視して、あたかも祭りやスポーツイベントの景気づけのごとく国旗・国歌を学校の儀式で使用し、生徒にそのような誤解を与える側には立ちたくない。それは、戦争により命を落とした人々、肉親を失った人々、飢えに苦しんだ人々、人権抑圧の犠牲になった人々を忘れることである。
彼らは、もちろん自ら進んで命を落とした訳ではない。その多くは天皇主権の政治体制の下、政府に情報統制を敷かれ、正しい判断材料を与えられないまま時代に流された結果、命を奪われたのである。
また、ある者はその時代状況の異常さに気づいていたが、それを社会に伝える自由が制限あるいは剥奪され、かつ、自らの意志に反して死を選ぶよりほかにない状況に追い込まれたのである。
それでも彼らは最期に臨み、自らの死が祖国や肉親を守ることに、ひいては後世の祖国の復興と発展につながると自らに言い聞かせて、命を散らしたのである。
翻って、現在の日本はどうであろうか。
バブル経済が終焉して以来の不景気とはいえ、昭和初期に比べれば、遙かに豊かで平和な生活を謳歌している。
現憲法のおかげで、人権も保障されている。これはひとえに戦争犠牲者の思いを胸に、終戦直後から現在に至るまで、営々と築き上げてきた努力の結晶である。
しかしこの状況も、昨年の東日本大震災を見れば分かるように、万一戦争で壊滅的な打撃を受ければひとたまりもない。
そこで今に生きる我々がすべきことは、いかに戦争への道を歩まずに先人たちの築き上げた社会を維持するかということになる。これこそが、我々ができる戦争犠牲者たちへの鎮魂となるのである。
そこで私ができることを考えると、無反省に「君が代」「日の丸」を礼賛しない。また礼賛していると誤解されたり、礼賛を煽る行動を取らないという結論にたどり着く。
たとえ職務命令違反とされて処分を受けても、戦争犠牲者の受けた苦しみを考えれば、まだ耐えられる。いずれ時が来て一生を終える時に、自分の生を振り返って悔いを残したくないとの思いで、今回の行動をとった次第である。
『被処分者の会通信』(2012/5/15 第81号)
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