《第4回「日の丸・君が代」問題等全国学習・交流集会 記録集から》
◎ 文科省の外国調査官は『バーネット判決』を知らなかった!!
● 1,日の丸・君が代関係の質問
(1)法的拘束力があるという『学習指導要領』の国旗国歌条項は、国会の立法権の侵害ではないか。
回答(磯谷) 日の丸が国旗、君が代が国歌である、ということについては、国旗国歌法が法制化される以前から、長年の慣習により、国民の間に広く定着していると認められるところで、政府においても、国会にてその旨答弁している。これを踏まえて、『国旗国歌法』制定以前から『学習指導要領』において、社会科で国旗国歌の意義を理解させるとともに、入学式や卒業式などにおいては、国旗を掲揚するとともに国歌を斉唱することを指導すると明記しており、こうした取り扱いは、国会の立法権を侵害するものとは解されない、と考えている。
(2)入学式・卒業式になぜ国旗・国歌が必要なのか、必然性がないではないか。
回答(磯谷) 入学式や卒業式は、学校生活に有意義な変化だとか、折り目をつけ、厳粛かつ清新な雰囲気の中で、新し生活の展開の動機付けを行い、学校だとか、社会、国家などに集団への帰属感、或いは連帯感を深める上で、よい機会となるものと考えている。こうした入学式や卒業式の意義を踏まえて、『学習指導要領』においては、国旗を掲揚し国歌を斉唱するように指導すると、記載している。
(3)「適正な取り扱い」とはどのような取扱いを指すのか。それについての公式文書はあるか。
回答(磯谷) 『学習指導要領』における「適正な取り扱い」という事は、『学習指導要領』上、入学式や卒業式について、先ほど申し上げたような、意義があるということで、国旗を掲揚するとともに国歌を斉唱するよう指導するものとする、と定めているところである。なお、どのように国旗を掲揚し国歌を斉唱するかについては、一般社会の通念に従った形で、学校を所管する教育委員会或いは学校の校長の方で、適切に判断するものというふうに考えている。こうした取り扱いについては、文科省の公式の文書が存在するのか、とうことでは、例えば参院議員山谷えり子先生から提出の質問主意書に対する平成23年7月1日の閣議決定されている答弁書で、国旗国歌の取り扱いについて、記載されている。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/175/touh/t175032.htm
(5)2012年8月10日、初等中等教育局の西田氏の発言は以下のとおりである。
「教育委員会には、最終的に文科省の指導に従う法的な責任は生じない。」
「『学習指導要領』は、学校教育法に基づく文科省の告示であり、法規としての性質を有すると考えている。指導・助言・援助というのは、基本的に教育委員会を相手に行っていて、それは強制力を持つものではない。」
① 改めてこの発言を確認させていただいてよろしいか。
回答(磯谷) 西田氏は私の前々任。その発言については、文科大臣の『地教行法』48条1項の規定に基づき、都道府県或いは市町村に対して、その教育の事務の既定の処理を図るため必要な指導・助言・援助を行うとされているところで、同法に基づく指導自体は、法的拘束力は持たない非権力的な関与である。ご指摘の発言については、こうした認識に基づいてなされたものと承知しているが、このことは『学習指導要領』の法的拘束力を否定するものではないというふうに考えている。
② 国旗掲揚・国歌斉唱を行う主体は、教育委員会や校長であることを確認していいのか。
回答(磯谷) 『学習指導要領』においては、入学式や卒業式においてはその意義を踏まえ国旗を掲揚するとともに国歌を斉唱するよう指導するものとする、されており、校長・教員はこれに基づいて、児童生徒を指導するものだと考えている。学校で適切な指導が行われていない場合、都道府県或いは市町村の教育委員会は、国旗国歌について適切な取り扱いがなされるよう、指導を行い、実施を求めることになると考えている。
③ 「日の丸・君が代」に関して、文科省は東京都の教育委員会に対して、何を指導・助言・援助してきたのか。
回答(磯谷) ③については、例えば文科省としては、東京都教育委員会を含む各都道府県の教育委員会に対して『学習指導要領』に基づく国旗及び国歌に関する指導が適切に行われるよう指導するよう通知している。
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t20020731001/t20020731001.html
【質疑】
Q(東京K): 毎年の回答が、すごい官僚的な答弁になっている。私が聞きたいのは、文科省と各自治体の教育委員会との関係は、一体どうなっているのか。1985年の悉皆調査以降の文科省による全国的な日の丸・君が代の政策変更の指導は、すごい強制力を現場に持っていた。現在は日の丸・君が代問題について文科省は、地方自治体に援助・指導・助言はするけど強制力を持った指導はしていないというが、もう一回確認したい。
創意工夫で各学校各自治体がやってくだされば結構だと言うなら、じゃ何を今、日の丸・君が代に関して、各地方自治体に指導をしているのか。具体的に、と聞くとその答えは、社会通念だとか、一般的な社会な慣習とか言っているが、東京都の学校では日の丸・君が代は、慣習的になかった。教員になって20何年間も、日の丸・君が代のない学校現場で卒業式・入学式をやってきて、それで教育の意義が失われているなどと言った人は、生徒も保護者も誰もいない。そういう現実を踏まえた上で、慣習に従って、文部省告示にして、事実上の法律にしたと、これは立法権を侵害していないと言うけど、事実と違うじゃないか。
それともう一つ。「適切な扱い」って何か。一般的な社会通念ということ以上に、具体的な何が、現場を、強制統制しているのか、は一番知りたいところで、社会的通念という抽象的あいまいな言葉で終わらせないでいただきたい。
A(磯谷): まず1(1)をめぐり、立法権の侵害ではないか、という話は、いろいろお調べになったことを踏まえて、そもそも強制力を持っているとご指摘いただいたが、あくまでも文科省としては、地方公共団体の教育委員会に、学校において国旗国歌について、どういうふうに指導するのか、ということについて「通知」を出していて、一番最後は平成15年12月18日のものだったが、その中で、各学校において、『学習指導要領』に基づく国旗国歌についての指導が適切に行われるよう指導をお願いしている。
(「適切」を聞いているんですよ。中身を。)
それは、基本的には、文科省の通知を踏まえて、各教育委員会で、と考えている。
(ざわざわ)
時間もないので、あといくつか論点をいただいているので、お答えさせていただくと、東京都は従来日の丸・君が代を用いないことが慣習であった、とのご指摘だが、あくまでも私として慣習ということで申し上げたのは、日の丸が国旗、君が代が国歌ということについて、国旗国歌法が制定される以前から、慣習として国民の間に定着していたということを申し上げたので、これは国会においても、その旨、答弁がされている。
Q(東京A): (5)②について、現行法制上、教育課程の編成権が学校にあるということは、『学習指導要領』にちゃんと書いてある。入学式や卒業式は教育課程の一環であり、教育課程の編成権は学校にあることをどう考えるのか。
A(磯谷): 教育課程の編成権について一概に、学校なのか、教育委員会なのか、についてすべてをごっちゃに混ぜて話すのは適切ではないのではないか。当然、学校が個々に児童生徒について指導するかについて直接考えていただくのは学校現場だろうし、その現場の指導について問題があれば、教育委員会の方から指導が入る話だろうし、或いは、教育委員会の方で運営に何らかの問題があれば文部から教育委員会に対し指導していくということで、それはお互い協力して、教育課程を作っている。システムとしてご理解いただければと思う。
(都教委がやっているのは「指導」ではなく「命令」になっている。指導の域を越えているんだ。)
Q(東京Y): (5)③について、85年から始まった高石元次官の通知と思うが、どういう通知かご説明いただきたい
A(磯谷): 地方公共団体の教育委員会に通知を出している。一番最後は平成15年12月18日。その中で、各学校において、『学習指導要領』に基づく国旗国歌についての指導が適切に行われるよう指導をお願いしている。
(4)世界中の国々の中で、卒業式・入学式での国旗掲揚・国歌斉唱の義務付けをしている国がどれだけあるのか。
回答(磯谷) こちらで確認させていただいた限りで、韓国・米国・中国についてご回答させていただく。
まず、韓国においては、『大韓民国国旗法』という法律あり、学校は主たる掲揚台に国旗を毎日掲揚すること、国旗掲揚式及び降納式の際に国歌を演奏することが定められており、入学式或いは卒業式では、通常国旗掲揚国歌斉唱が行われている。
アメリカ合衆国は、『連邦法』により、学校を含む公的機関に、国旗掲揚が定められている。通常入学式は行われていないが、卒業式では、国旗掲揚及び国歌斉唱が行われるのが一般的と聞いている。
中国は、『中華人民共和国国旗法』により、学校は毎週一度及び、祝日に国旗掲揚の儀式を行わなければならないと定められており、中国の文科省のにあたる教育部の通達により、国旗掲揚、及び祝賀の式典、スポーツ大会において国歌を斉唱しなけばならないということが定められている。入学式や卒業式では、通常国旗掲揚国歌斉唱が行われている。
なお、ヨーロッパの英・仏・独の学校においては、入学式や卒業式が行われていないと聞いている。
【質疑】
Q(神奈川Y): 韓国の国歌という言い方をしていたが、朝鮮半島は、現状では、統一国家が存在していないので、正式な国歌はない。韓国の方に聞いてみたところ、ハングルでエグッカ、漢字で書くと愛国歌と言っている。
A(篠原): 韓国については、大韓民国国旗法及びその施行令というものを、原語で当たった。「愛国歌」であって正式のものではないはずだと、南北の問題という文脈の中でご指摘をいただいたので、これは改めて確認したい。
Q(東京A): 世界中の国々で、韓国・米国・中国3つ選んだだけで、世界基準と言えるのか。
A(篠原): 文科省では、海外の教育調査をできるだけその国の言語で調査しようしてきている。現在スタッフが、アメリカ担当、私がイギリス担当で、それから、フランス、ドイツ、中国、韓国、この6人が今手一杯で、3つの国は今回のために選んだわけではない。ヨーロッパは、先程の説明でもあったようにイギリス・ドイツ・フランスは、そもそも入学式や卒業式というセレモニーがないので、自ずとその問題がない。卒業という概念が日本とちょっと違っていて、類似の概念をとっている国では同じと推測される。出来れば、少しでも多くの国を調べたい。
Q(東京N): 私たちも外国のことは相当詳しく調べている。さきほど米国の例をあげたが、アメリカでは、バーネット判決があって、処分されることはない。そういう実態を調べて、そこまであげていただきたい。
A(篠原): (バーネット判決について)それは承知しておりません。残念ながらわれわれの部署では。
※文科省の外国調査官は『バーネット判決』を知らなかった!!
(6)『高等学校学習指導要領 解説 特別活動編』について
① 「一層正しい認識、及びそれらを尊重する態度」とはいかなるものなのか、具体的に説明願いたい。
回答(磯谷) 具体的に、高校の入学式或いは卒業式などにおける国旗及び国歌の指導に当たっては、中学校の社会科などの指導の趣旨を踏まえて、国旗国歌に対する正しい認識を持たせ、それらを指導する態度を育てことが大切としている。
② 文科省の考える国際儀礼とは、どのようなものか。その根拠となる文書も併せてお示しいただきたい。
回答(磯谷) ②国際儀礼がどこまで範囲するかについては承知しかねるが、例えば、『学習指導要領』では、国旗及び国歌を相互に尊重することが国際的な儀礼であることを理解させ、それらを尊重する態度を育てるよう配慮することとと記載しているところである。
(根拠となる文書は『学習指導要領』しかないんですね。)
ご指摘の国際儀礼の範囲を想定しかねるので、例えば『学習指導要領』のようなものがあると申し上げた。
(結局、国際的な文書はないんだ。)
【質疑】
Q(東京Y): 相互に尊重というなら、かつての都立国際高校のように、各国の旗をあげるべきだと思うが。
A(磯谷): どのような形で国旗を掲揚するかは一般的な社会通念に従った形でやっていただくことで、世界の国旗を飾ることが教育的にどういう効果があるかについては現場で判断していただく話で、こちらから申し上げる立場にはない。他国の国旗を尊重するから、一緒に掲揚するという結論にならないのではないか、と思う。
(7)教諭の「責務」とは何か。また、教諭にはどのような「職務権限」があるのか。根拠法令と共にお示し願いたい。
回答(山口) 『学校教育法』第37条11項に規定されているとおり、「教諭は児童の教育を司る」、とされており、いわゆる教諭の職務は、学校教育活動に従事すること、例えば高等学校であれば第50,51条の目的であるとか目標に基づいて、学校教育活動を行うことが求められている。(※)
また、学校における教育内容については、『学校教育法』同法の『施行規則』等の規定の委任に基づいて、文部科学大臣が告示する『学習指導要領』によって定めることとしている。各学校においては、これらに基づき教育課程を編成し、これに基づいて教員は教育活動を実施するものである。例えば、国旗国歌のについて教員は、『学習指導要領』に基づき、児童生徒を指導すべき責務を負っているという形になっている。
※参考 学校教育法
第50条 高等学校は、中学校における教育の基礎の上に、心身の発達及び進路に応じて、高度な普通教育及び専門教育を施すことを目的とする。
第51条 高等学校における教育は、前条に規定する目的を実現するため、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
一 義務教育として行われる普通教育の成果を更に発展拡充させて、豊かな人間性、創造性及び健やかな身体を養い、国家及び社会の形成者として必要な資質を養うこと。
二 社会において果たさなければならない使命の自覚に基づき、個性に応じて将来の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な知識、技術及び技能を習得させること。
三 個性の確立に努めるとともに、社会について、広く深い理解と健全な批判力を養い、社会の発展に寄与する態度を養うこと。
(続)
◎ 文科省の外国調査官は『バーネット判決』を知らなかった!!
● 1,日の丸・君が代関係の質問
事前質問の(1)(2)(3)(5)は一括して、(4)は(5)後に順番を入れ換えて、以下(6)(7)の順に編集してある。
(1)法的拘束力があるという『学習指導要領』の国旗国歌条項は、国会の立法権の侵害ではないか。
回答(磯谷) 日の丸が国旗、君が代が国歌である、ということについては、国旗国歌法が法制化される以前から、長年の慣習により、国民の間に広く定着していると認められるところで、政府においても、国会にてその旨答弁している。これを踏まえて、『国旗国歌法』制定以前から『学習指導要領』において、社会科で国旗国歌の意義を理解させるとともに、入学式や卒業式などにおいては、国旗を掲揚するとともに国歌を斉唱することを指導すると明記しており、こうした取り扱いは、国会の立法権を侵害するものとは解されない、と考えている。
(2)入学式・卒業式になぜ国旗・国歌が必要なのか、必然性がないではないか。
回答(磯谷) 入学式や卒業式は、学校生活に有意義な変化だとか、折り目をつけ、厳粛かつ清新な雰囲気の中で、新し生活の展開の動機付けを行い、学校だとか、社会、国家などに集団への帰属感、或いは連帯感を深める上で、よい機会となるものと考えている。こうした入学式や卒業式の意義を踏まえて、『学習指導要領』においては、国旗を掲揚し国歌を斉唱するように指導すると、記載している。
(3)「適正な取り扱い」とはどのような取扱いを指すのか。それについての公式文書はあるか。
回答(磯谷) 『学習指導要領』における「適正な取り扱い」という事は、『学習指導要領』上、入学式や卒業式について、先ほど申し上げたような、意義があるということで、国旗を掲揚するとともに国歌を斉唱するよう指導するものとする、と定めているところである。なお、どのように国旗を掲揚し国歌を斉唱するかについては、一般社会の通念に従った形で、学校を所管する教育委員会或いは学校の校長の方で、適切に判断するものというふうに考えている。こうした取り扱いについては、文科省の公式の文書が存在するのか、とうことでは、例えば参院議員山谷えり子先生から提出の質問主意書に対する平成23年7月1日の閣議決定されている答弁書で、国旗国歌の取り扱いについて、記載されている。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/175/touh/t175032.htm
(5)2012年8月10日、初等中等教育局の西田氏の発言は以下のとおりである。
「教育委員会には、最終的に文科省の指導に従う法的な責任は生じない。」
「『学習指導要領』は、学校教育法に基づく文科省の告示であり、法規としての性質を有すると考えている。指導・助言・援助というのは、基本的に教育委員会を相手に行っていて、それは強制力を持つものではない。」
① 改めてこの発言を確認させていただいてよろしいか。
回答(磯谷) 西田氏は私の前々任。その発言については、文科大臣の『地教行法』48条1項の規定に基づき、都道府県或いは市町村に対して、その教育の事務の既定の処理を図るため必要な指導・助言・援助を行うとされているところで、同法に基づく指導自体は、法的拘束力は持たない非権力的な関与である。ご指摘の発言については、こうした認識に基づいてなされたものと承知しているが、このことは『学習指導要領』の法的拘束力を否定するものではないというふうに考えている。
② 国旗掲揚・国歌斉唱を行う主体は、教育委員会や校長であることを確認していいのか。
回答(磯谷) 『学習指導要領』においては、入学式や卒業式においてはその意義を踏まえ国旗を掲揚するとともに国歌を斉唱するよう指導するものとする、されており、校長・教員はこれに基づいて、児童生徒を指導するものだと考えている。学校で適切な指導が行われていない場合、都道府県或いは市町村の教育委員会は、国旗国歌について適切な取り扱いがなされるよう、指導を行い、実施を求めることになると考えている。
③ 「日の丸・君が代」に関して、文科省は東京都の教育委員会に対して、何を指導・助言・援助してきたのか。
回答(磯谷) ③については、例えば文科省としては、東京都教育委員会を含む各都道府県の教育委員会に対して『学習指導要領』に基づく国旗及び国歌に関する指導が適切に行われるよう指導するよう通知している。
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t20020731001/t20020731001.html
【質疑】
Q(東京K): 毎年の回答が、すごい官僚的な答弁になっている。私が聞きたいのは、文科省と各自治体の教育委員会との関係は、一体どうなっているのか。1985年の悉皆調査以降の文科省による全国的な日の丸・君が代の政策変更の指導は、すごい強制力を現場に持っていた。現在は日の丸・君が代問題について文科省は、地方自治体に援助・指導・助言はするけど強制力を持った指導はしていないというが、もう一回確認したい。
創意工夫で各学校各自治体がやってくだされば結構だと言うなら、じゃ何を今、日の丸・君が代に関して、各地方自治体に指導をしているのか。具体的に、と聞くとその答えは、社会通念だとか、一般的な社会な慣習とか言っているが、東京都の学校では日の丸・君が代は、慣習的になかった。教員になって20何年間も、日の丸・君が代のない学校現場で卒業式・入学式をやってきて、それで教育の意義が失われているなどと言った人は、生徒も保護者も誰もいない。そういう現実を踏まえた上で、慣習に従って、文部省告示にして、事実上の法律にしたと、これは立法権を侵害していないと言うけど、事実と違うじゃないか。
それともう一つ。「適切な扱い」って何か。一般的な社会通念ということ以上に、具体的な何が、現場を、強制統制しているのか、は一番知りたいところで、社会的通念という抽象的あいまいな言葉で終わらせないでいただきたい。
A(磯谷): まず1(1)をめぐり、立法権の侵害ではないか、という話は、いろいろお調べになったことを踏まえて、そもそも強制力を持っているとご指摘いただいたが、あくまでも文科省としては、地方公共団体の教育委員会に、学校において国旗国歌について、どういうふうに指導するのか、ということについて「通知」を出していて、一番最後は平成15年12月18日のものだったが、その中で、各学校において、『学習指導要領』に基づく国旗国歌についての指導が適切に行われるよう指導をお願いしている。
(「適切」を聞いているんですよ。中身を。)
それは、基本的には、文科省の通知を踏まえて、各教育委員会で、と考えている。
(ざわざわ)
時間もないので、あといくつか論点をいただいているので、お答えさせていただくと、東京都は従来日の丸・君が代を用いないことが慣習であった、とのご指摘だが、あくまでも私として慣習ということで申し上げたのは、日の丸が国旗、君が代が国歌ということについて、国旗国歌法が制定される以前から、慣習として国民の間に定着していたということを申し上げたので、これは国会においても、その旨、答弁がされている。
Q(東京A): (5)②について、現行法制上、教育課程の編成権が学校にあるということは、『学習指導要領』にちゃんと書いてある。入学式や卒業式は教育課程の一環であり、教育課程の編成権は学校にあることをどう考えるのか。
A(磯谷): 教育課程の編成権について一概に、学校なのか、教育委員会なのか、についてすべてをごっちゃに混ぜて話すのは適切ではないのではないか。当然、学校が個々に児童生徒について指導するかについて直接考えていただくのは学校現場だろうし、その現場の指導について問題があれば、教育委員会の方から指導が入る話だろうし、或いは、教育委員会の方で運営に何らかの問題があれば文部から教育委員会に対し指導していくということで、それはお互い協力して、教育課程を作っている。システムとしてご理解いただければと思う。
(都教委がやっているのは「指導」ではなく「命令」になっている。指導の域を越えているんだ。)
Q(東京Y): (5)③について、85年から始まった高石元次官の通知と思うが、どういう通知かご説明いただきたい
A(磯谷): 地方公共団体の教育委員会に通知を出している。一番最後は平成15年12月18日。その中で、各学校において、『学習指導要領』に基づく国旗国歌についての指導が適切に行われるよう指導をお願いしている。
(4)世界中の国々の中で、卒業式・入学式での国旗掲揚・国歌斉唱の義務付けをしている国がどれだけあるのか。
回答(磯谷) こちらで確認させていただいた限りで、韓国・米国・中国についてご回答させていただく。
まず、韓国においては、『大韓民国国旗法』という法律あり、学校は主たる掲揚台に国旗を毎日掲揚すること、国旗掲揚式及び降納式の際に国歌を演奏することが定められており、入学式或いは卒業式では、通常国旗掲揚国歌斉唱が行われている。
アメリカ合衆国は、『連邦法』により、学校を含む公的機関に、国旗掲揚が定められている。通常入学式は行われていないが、卒業式では、国旗掲揚及び国歌斉唱が行われるのが一般的と聞いている。
中国は、『中華人民共和国国旗法』により、学校は毎週一度及び、祝日に国旗掲揚の儀式を行わなければならないと定められており、中国の文科省のにあたる教育部の通達により、国旗掲揚、及び祝賀の式典、スポーツ大会において国歌を斉唱しなけばならないということが定められている。入学式や卒業式では、通常国旗掲揚国歌斉唱が行われている。
なお、ヨーロッパの英・仏・独の学校においては、入学式や卒業式が行われていないと聞いている。
【質疑】
Q(神奈川Y): 韓国の国歌という言い方をしていたが、朝鮮半島は、現状では、統一国家が存在していないので、正式な国歌はない。韓国の方に聞いてみたところ、ハングルでエグッカ、漢字で書くと愛国歌と言っている。
A(篠原): 韓国については、大韓民国国旗法及びその施行令というものを、原語で当たった。「愛国歌」であって正式のものではないはずだと、南北の問題という文脈の中でご指摘をいただいたので、これは改めて確認したい。
Q(東京A): 世界中の国々で、韓国・米国・中国3つ選んだだけで、世界基準と言えるのか。
A(篠原): 文科省では、海外の教育調査をできるだけその国の言語で調査しようしてきている。現在スタッフが、アメリカ担当、私がイギリス担当で、それから、フランス、ドイツ、中国、韓国、この6人が今手一杯で、3つの国は今回のために選んだわけではない。ヨーロッパは、先程の説明でもあったようにイギリス・ドイツ・フランスは、そもそも入学式や卒業式というセレモニーがないので、自ずとその問題がない。卒業という概念が日本とちょっと違っていて、類似の概念をとっている国では同じと推測される。出来れば、少しでも多くの国を調べたい。
Q(東京N): 私たちも外国のことは相当詳しく調べている。さきほど米国の例をあげたが、アメリカでは、バーネット判決があって、処分されることはない。そういう実態を調べて、そこまであげていただきたい。
A(篠原): (バーネット判決について)それは承知しておりません。残念ながらわれわれの部署では。
※文科省の外国調査官は『バーネット判決』を知らなかった!!
(6)『高等学校学習指導要領 解説 特別活動編』について
① 「一層正しい認識、及びそれらを尊重する態度」とはいかなるものなのか、具体的に説明願いたい。
回答(磯谷) 具体的に、高校の入学式或いは卒業式などにおける国旗及び国歌の指導に当たっては、中学校の社会科などの指導の趣旨を踏まえて、国旗国歌に対する正しい認識を持たせ、それらを指導する態度を育てことが大切としている。
② 文科省の考える国際儀礼とは、どのようなものか。その根拠となる文書も併せてお示しいただきたい。
回答(磯谷) ②国際儀礼がどこまで範囲するかについては承知しかねるが、例えば、『学習指導要領』では、国旗及び国歌を相互に尊重することが国際的な儀礼であることを理解させ、それらを尊重する態度を育てるよう配慮することとと記載しているところである。
(根拠となる文書は『学習指導要領』しかないんですね。)
ご指摘の国際儀礼の範囲を想定しかねるので、例えば『学習指導要領』のようなものがあると申し上げた。
(結局、国際的な文書はないんだ。)
【質疑】
Q(東京Y): 相互に尊重というなら、かつての都立国際高校のように、各国の旗をあげるべきだと思うが。
A(磯谷): どのような形で国旗を掲揚するかは一般的な社会通念に従った形でやっていただくことで、世界の国旗を飾ることが教育的にどういう効果があるかについては現場で判断していただく話で、こちらから申し上げる立場にはない。他国の国旗を尊重するから、一緒に掲揚するという結論にならないのではないか、と思う。
(7)教諭の「責務」とは何か。また、教諭にはどのような「職務権限」があるのか。根拠法令と共にお示し願いたい。
回答(山口) 『学校教育法』第37条11項に規定されているとおり、「教諭は児童の教育を司る」、とされており、いわゆる教諭の職務は、学校教育活動に従事すること、例えば高等学校であれば第50,51条の目的であるとか目標に基づいて、学校教育活動を行うことが求められている。(※)
また、学校における教育内容については、『学校教育法』同法の『施行規則』等の規定の委任に基づいて、文部科学大臣が告示する『学習指導要領』によって定めることとしている。各学校においては、これらに基づき教育課程を編成し、これに基づいて教員は教育活動を実施するものである。例えば、国旗国歌のについて教員は、『学習指導要領』に基づき、児童生徒を指導すべき責務を負っているという形になっている。
※参考 学校教育法
第50条 高等学校は、中学校における教育の基礎の上に、心身の発達及び進路に応じて、高度な普通教育及び専門教育を施すことを目的とする。
第51条 高等学校における教育は、前条に規定する目的を実現するため、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
一 義務教育として行われる普通教育の成果を更に発展拡充させて、豊かな人間性、創造性及び健やかな身体を養い、国家及び社会の形成者として必要な資質を養うこと。
二 社会において果たさなければならない使命の自覚に基づき、個性に応じて将来の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な知識、技術及び技能を習得させること。
三 個性の確立に努めるとともに、社会について、広く深い理解と健全な批判力を養い、社会の発展に寄与する態度を養うこと。
(続)
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