◆ 都教委は生徒の人権を踏みにじる行動に出た
~過去にない事例、メールが「不適切」で解雇 (レイバーネット日本)
都立高校教員Aさん免職撤回裁判の第3回弁論が、4月23日東京地裁で行われ、30名を超える支援者が傍聴した。(民事第36部 吉田徹裁判長)
Aさんは、都立高校に採用5年目のまだ若い教員だ。Aさんは、不適切なメールを自分が担任していた女子高生に多数送ったとして、昨年7月いきなり懲戒解雇処分を蒙った。
メールには、「大好きだよ」「ずっと抱きしめていたい」といった内容のものも含まれていた。確かにそこには思慮が足らなかった点はあった(この点は、Aさん本人も認めている)。
東京都教育委員会(以下「都教委」)のあげるAさん解雇の根拠は、このメール文だけである。実は、携帯電話は親が女子生徒からから一方的に取り上げたものである。都教委は女子生徒への事情聴取は行わず、メール文だけで判断しAさん解雇を実行した。
しかし、そのメールのやりとりは女子生徒の複雑で困難な家庭状況に大きく影響されたものであり、Aさんが何とか女子生徒の悩みにこたえようとした過程で生じたものだ。都教委は、その文脈のごく一部だけを切り取ってAさんの行為を「公務員にあるまじき行為」と断罪した。100歩譲ってAさんの返信が「公務員にあるまじき行為」だったとしても、過去に都教委のメールの生徒とのやりとりを理由とした処分事例で解雇はない。
この女子高生の家庭はきわめて複雑で、高校入学時から幼い兄弟の面倒を見させられ、家では勉強もできず親に高校もやめさせられそうな状況だったのだ。その女子生徒が信頼を寄せたのが担任であったAさんであり、自ずとメールを通じたAさんへの精神的要求の度合いは高まっていった。そのような事態の中でAさんは、誠心誠意女子生徒に関わろうとした。その後女子生徒はAさんの関わりを通じて高校を卒業し、親からの精神的苦痛から逃れるために「シェルター」に避難し、現在は自立している。
*Aさんの受けた人権侵害
今年1月東京地裁は、都教委による解雇処分に対して執行停止命令を発した。この結果Aさんの解雇は、判決が出されるまで執行できなくなったのだ。これは異例のことである。決定をくだした裁判長曰く「裁量の範囲内と認めるべき具体的な事情が明らかになっていない」。つまり、解雇の理由がきわめてあいまいなのだ。
しかし都教委は、執行停止命令が出されてもなおAさんを職場に戻すことを拒んだ。そして行ったのは、強制研修。
Aさんは、1月から3月まで強制研修を強いられた。
さらにそれは4月から5月31日にまで延長された。
その結果Aさんは、半年以上学校で生徒と接することが許されないという状況下に置かれた。
強制研修の内容が、Aさんの口から語れた。
「連日丸一日たったひとりで、分厚い本を読まされ、その内容をまとめることを求められました。」
「休憩はありますが、外からの訪問は許されません。あるとき学校の同僚が心配して訪ねてきたときも、五分後に職員が飛んできて、同僚は帰されました」
「研修室の外から部屋の入り口ドアを監視するカメラがついていて、監視されています」
とても研修場所とは思えない監獄のような場所に閉じ込められ、Aさんの精神状態は病院に通わざるをえないほどのダメージを受け、今回病院の医師から診断書が提出された。
*都教委の人権侵害の極み
都教委は、今回裁判所に女子生徒の所有物である携帯電話の「提出命令」を女子生徒の親に出すように求めた。都教委は、女子生徒に対して一回も接触をしていないのである。
この事件の発端は、都教委による親が取り上げた女子生徒の携帯電話の閲覧(このこと自体が大いに問題視されるべきことだ)であった。都教委は、さらに女子生徒からAさんへの送信メールの内容を知りたいと携帯電話の再度の閲覧を要望してきたのだ。
都教委は、このことがどれだけ女子生徒を傷つけるものかがまったくわかっていない。裁判長は、この「提出命令」の発出について「そこまではできない」と拒否した。
また都教委側の代理人は、裁判所から提案された次回期日(証人調べ)を8月以降まで遅らせようと、すべて「都合が悪い」と断ってきた。Aさんは体を壊しながらも5月31日まで強制研修の命令が出されているのにである。
*次回は山場 いよいよ証人調べ
次回裁判期日は都教委の思惑通りにはいかず、6月11日に設定された。しかも証人調べ(Aさんを解雇に追い込んだ都教委管理主事など4名)を一括で行おうというもので、早期の解決を求める我々の意向が裁判所に通じた形となった。
裁判は、いよいよ最重要局面である。(湯本雅典)
*次回都立高校教員Aさん免職撤回裁判
6月11日(木) 証人調べ
午後1時半~ 東京地裁(法廷番号は未定)
地下鉄丸ノ内線、日比谷線、千代田線 「霞が関」下車 A1出口を出てすぐ
『レイバーネット日本』(2015-04-24)
http://www.labornetjp.org/news/2015/0424yumoto
~過去にない事例、メールが「不適切」で解雇 (レイバーネット日本)
都立高校教員Aさん免職撤回裁判の第3回弁論が、4月23日東京地裁で行われ、30名を超える支援者が傍聴した。(民事第36部 吉田徹裁判長)
Aさんは、都立高校に採用5年目のまだ若い教員だ。Aさんは、不適切なメールを自分が担任していた女子高生に多数送ったとして、昨年7月いきなり懲戒解雇処分を蒙った。
メールには、「大好きだよ」「ずっと抱きしめていたい」といった内容のものも含まれていた。確かにそこには思慮が足らなかった点はあった(この点は、Aさん本人も認めている)。
東京都教育委員会(以下「都教委」)のあげるAさん解雇の根拠は、このメール文だけである。実は、携帯電話は親が女子生徒からから一方的に取り上げたものである。都教委は女子生徒への事情聴取は行わず、メール文だけで判断しAさん解雇を実行した。
しかし、そのメールのやりとりは女子生徒の複雑で困難な家庭状況に大きく影響されたものであり、Aさんが何とか女子生徒の悩みにこたえようとした過程で生じたものだ。都教委は、その文脈のごく一部だけを切り取ってAさんの行為を「公務員にあるまじき行為」と断罪した。100歩譲ってAさんの返信が「公務員にあるまじき行為」だったとしても、過去に都教委のメールの生徒とのやりとりを理由とした処分事例で解雇はない。
この女子高生の家庭はきわめて複雑で、高校入学時から幼い兄弟の面倒を見させられ、家では勉強もできず親に高校もやめさせられそうな状況だったのだ。その女子生徒が信頼を寄せたのが担任であったAさんであり、自ずとメールを通じたAさんへの精神的要求の度合いは高まっていった。そのような事態の中でAさんは、誠心誠意女子生徒に関わろうとした。その後女子生徒はAさんの関わりを通じて高校を卒業し、親からの精神的苦痛から逃れるために「シェルター」に避難し、現在は自立している。
*Aさんの受けた人権侵害
今年1月東京地裁は、都教委による解雇処分に対して執行停止命令を発した。この結果Aさんの解雇は、判決が出されるまで執行できなくなったのだ。これは異例のことである。決定をくだした裁判長曰く「裁量の範囲内と認めるべき具体的な事情が明らかになっていない」。つまり、解雇の理由がきわめてあいまいなのだ。
しかし都教委は、執行停止命令が出されてもなおAさんを職場に戻すことを拒んだ。そして行ったのは、強制研修。
Aさんは、1月から3月まで強制研修を強いられた。
さらにそれは4月から5月31日にまで延長された。
その結果Aさんは、半年以上学校で生徒と接することが許されないという状況下に置かれた。
強制研修の内容が、Aさんの口から語れた。
「連日丸一日たったひとりで、分厚い本を読まされ、その内容をまとめることを求められました。」
「休憩はありますが、外からの訪問は許されません。あるとき学校の同僚が心配して訪ねてきたときも、五分後に職員が飛んできて、同僚は帰されました」
「研修室の外から部屋の入り口ドアを監視するカメラがついていて、監視されています」
とても研修場所とは思えない監獄のような場所に閉じ込められ、Aさんの精神状態は病院に通わざるをえないほどのダメージを受け、今回病院の医師から診断書が提出された。
*都教委の人権侵害の極み
都教委は、今回裁判所に女子生徒の所有物である携帯電話の「提出命令」を女子生徒の親に出すように求めた。都教委は、女子生徒に対して一回も接触をしていないのである。
この事件の発端は、都教委による親が取り上げた女子生徒の携帯電話の閲覧(このこと自体が大いに問題視されるべきことだ)であった。都教委は、さらに女子生徒からAさんへの送信メールの内容を知りたいと携帯電話の再度の閲覧を要望してきたのだ。
都教委は、このことがどれだけ女子生徒を傷つけるものかがまったくわかっていない。裁判長は、この「提出命令」の発出について「そこまではできない」と拒否した。
また都教委側の代理人は、裁判所から提案された次回期日(証人調べ)を8月以降まで遅らせようと、すべて「都合が悪い」と断ってきた。Aさんは体を壊しながらも5月31日まで強制研修の命令が出されているのにである。
*次回は山場 いよいよ証人調べ
次回裁判期日は都教委の思惑通りにはいかず、6月11日に設定された。しかも証人調べ(Aさんを解雇に追い込んだ都教委管理主事など4名)を一括で行おうというもので、早期の解決を求める我々の意向が裁判所に通じた形となった。
裁判は、いよいよ最重要局面である。(湯本雅典)
*次回都立高校教員Aさん免職撤回裁判
6月11日(木) 証人調べ
午後1時半~ 東京地裁(法廷番号は未定)
地下鉄丸ノ内線、日比谷線、千代田線 「霞が関」下車 A1出口を出てすぐ
『レイバーネット日本』(2015-04-24)
http://www.labornetjp.org/news/2015/0424yumoto
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