「授業してたのに処分！」事件報告

　『ほっととーく １０３』より
　◇ 「授業してたのに処分！」事件報告
　　　－裁判に移行します－

元都立福生高校教諭　福嶋常光

　教育って何だろう。教師って何だろう。１９７６年に教諭になって以来，処分を受けるまで改めて考えることなどないままに教員をしていました。「生徒と共にいること，生徒の側に立つ努力をすること」を最初の勤務校での先輩教師の姿勢から学んだように思います。私が生徒と共にいる教師だったか，については自信はありません。ただそのような実践をしている人に近づきたいとの思いは常にありました。
　２００５年９月１３日（火）に服務事故再発防止研修（専門研修）が指定されました。５時間の授業があるので日程変更を求めましたが認められず，授業をしていたために１２月に処分（減給１／１０、６月）を受けました。
　この処分取り消しを求めた人事委員会は２０１０年の２回の公開口頭審理を経て２０１１年８月に裁決が出ました。請求棄却です。全面的に都教委の言い分を認める内容です。
　裁決書には「・・研修命令が発せられた以上，授業を行うことではなく，研修への参加自体が職務となるから・・」と教員の職務は教育ではなく職務命令に従うことである，との内容です。
　教員の職務について学校教育法では「教諭は児童の教育を司る」（高校では児童を生徒と読み替える）とあります。生徒・保護者・一般市民の感覚からも異論はないと思います。
　ところが都教委は地方公務員法の「職員はその職務を遂行するに当たって，法令，条例，地方公共団体の規則および地方公共団体の機関の定める規定に従い，且つ，上司の命令に忠実に従わなければならない。」の条文を前面に出し，職務命令に従う義務を強調します。
　しかしこの条文も，まず法律に従うことを規定しています。「且つ」以下の部分をきわめて過大に重要視しています。私の意識としては公務員ではなく教員です（公務員試験を受けて，ではなく，教員試験を受けています）。
　教員の最も重要なことは「元気に生徒の前に立つこと」だろうと思います。そのために専門教科については十分に研修すること，事前準備をすることなどが必要になります。また目の前の生徒に責任を持つ（直接責任）という気概も必要になります。
　ところが「職務命令だから従え」で，教育が成り立つのでしょうか。

　多くの方の支援で人事委員会の審理をすることができました。その準備をする中でほとんど忘れていた当時の事も思いだしながら改めて教育を考えることができました。
　裁決は全く残念な，という以上に腹の立つ，結果でしたが予想はされていたこと。処分取消を求める裁判を起こす方向で多くの方の協力の下，準備中です。（提訴は来年早々くらいになるかな）今後ともご支援をお願いします。
　＊福嶋さんは０５年不起立で減給１ヶ月処分を受け，そのため再発防止研修をさせられ，上記の経過で減給６ヶ月，０６年不起立で停職１ヶ月を受けました。ご支援を（渡辺）

『ほっととーく』（１０３号 2011/9/17）
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