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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

☆ 「マイナ保険証」導入にはこれだけの問題がある

2023年09月29日 | 暴走する都教委と闘う仲間たち

  《月刊救援から》
 ☆ 制度の根幹が揺らぐマイナンバー制度
  ~「マイナ保険証」でなく、これまでの保険証を

白石 孝(プライバシー・アクション代表)

 五月一九~二一日開催の広島サミット直後、岸田政権の支持率は五〇%を超え、六月解散七月総選挙という流れが強まっていた。
 ところがその直後、コンビニでの住民票誤交付、保険証や年金記録へのマイナンハー紐づけ誤り、マイナポータルなど公金受取口座の誤登録などが次々と発覚、政権支持率は一気に下降し、三〇%を割るまでになった。
 政権支持が失われていった大きな要因が、これらマイナンバー問題であることは明らかだ。第二次安倍内閣になった直後の二〇一三年通常国会で成立し、二〇一五年番号を付け一六年からカードを配布し始め、それ以降七~八年間、ほとんど話題にもならなかったマイナンバー制度が、政権支持率を大きく左右することになった。なぜたろうか。

 ☆ 皆保険制度と任意のマイナンバーカードという矛盾

 健康保険は「国民皆保険制度」として長く運用されている。一方、マイナンバーカードは、「ナンバー(番号)法」に「中請に基づき交付」と明記されているように「任意」の制度だ。「全員」と「有志」という別ものを無理やり一体化することに根本的な矛盾があった。

 「マイナ保険証」の仕組みは、保険診療のための「オンライン資格確認」にマイナンバーカードを使用する。これまでは医療機関の窓口て、協会けんぼや国民健康保険などの健康保険証と診察券を見せ、受診者本人の保険資格を確認する。その紙の保険証の替わりにマイナンハーカードに収録されたマイナ保険証を顔認証機に読み取らせたり、四桁の暗証番号で本人確認するのが、オンライン資格確認だ。
 窓口での本人確認方法は異なるが、実はどちらの方法でも支払基金や国保中央会での資格確認は同じ手順になっている。それなのになぜこういう変更を強行しようとしているのか。
 ひとつはマイナンバーカードの普及をさらに加速させることだ。もうひとつは年間五〇〇万件といわれている本人以外の人が「不正受診」するその抑制が目的と思われる。
 不正防止はもっともらしい理由だが、マイナンハーカードは任意制度だから明らかな矛盾だ。
 例えば保険証発行の精度を高め、顔写真付きカードなどにするなどでも不正防止は可能であって、多目的利用が前提のマイナンバーカードは不要だ。

 ☆ 介護や医療の現場実態を軽視した導入

 介護施設経営者やケアマネーシャー、ホームヘルパーなと介誰福祉事業関係者から話しを聞く機会を持った。そこで出てきた声を紹介する。

・カードや暗証番号管理か困難な人が使えないシステム、
この方法に適応困難な人は、第三者の助けが不可欠で、人材不足が深刻な介護福祉現場や家族の負担を前提にしているのはおかしい
・独り暮らしなど家族に頼れない高齢者の場合、医療介護関係者らのケアが支えている実態を軽視している
・どんな制度的対応をしようとも、医療介護の現場にいる人が一定の役割を担うことになる。にもかかわらず、現場の声をきちんと聞いていない
マイナ保険証の混乱は、ケアの過小評価、ケアの軽視と底流でつながっている
・政府統計では一九八〇年代は、六五歳以上の独居あるいは夫婦のみ世帯か全世帯の二〇%程度だったが、今は六〇%を超えている。こういう世帯構成の大きな変化からすると、考えられない制度の導入だ

 開業医の六三%か加人し、約一〇万人の医師等で構成されている保険医協会の医師はこう指摘している。

・カードの紛失機会が増える。再発行は有料で、日数もかかる
・暗証番号が必要な時に忘れたり、間違えたりする
・システムダウンやランサムウェア(身代金要求型ハノキング)時に大混乱する
・すへての医療情報をすべての医療関係者に知られる必要はない。医療の場での患者のプライバシーが無くなる
・カードがなくても、顔認証データが蓄積されれば、あらゆる監視に繋がる

 ☆ 六月国会で番号法改定

 「マイナンハー」は、個人に付けられた番号で、付番システムに不備が無けれは、個々人に異なる番号が付けられるから、個人を特定できる番号となる。
 付番は住民登録制度と連動した番号制度だから、出生の届出をしたり、海外から転入して届け出た段階で一一桁の住民票コードが付けられ、さらに地方公共団体情報システム機構(J-LIS)で、一二桁のマイナンハーが付けられる。
 このJ-LISを介して、法律で決められた税、社会保障、災害対策など公的部門の業務と特定の個人番号で、連携、寄せ集められる。住民登録している限り番号を拒否することは不可能な仕組みだ。
 六月国会で改訂番号法が成立したが、連携する業務の拡大と拡大の仕方を行政主導で行うことが含まれている。頂貯金口座にマイナンバーを使うことも。
 ということは、この番号が流出した場合、引っぱり出せる個人情報の量はどんとん増えることになる。「利便性」とプライバシー保護との綱引きになる。
 業務同上を番号で繋げていく作業にミスがあったことで、他人の情報に繋がってしまったが、今回の一連のトラブルは、対象業務と入力する個人情報を増やせば増やすほど、ミスの確率が高まることを意味する。対応策は「なんでもかんでも紐づけない」、つまり、分散型システムを基本にすることだ。

 ☆ 力ードは目的別にバラバラで

 前記したとおり、マイナンバーカードは制度発足時から「任意取得」だ。ところが、二〇一五年五月、「マイナンバー利活用ロードマップ」という制度拡張計画を平井卓也衆議院義員らが中心の自民党プロジェクトチームが提唱、直後に政府方針になった。
 ここから「カード全員取得」路線が始まった。しかし、公務員の身分証、住民票などのコンビニ交付程度では拡がらず、二兆円を超える予算を投入したマイナポイント事業を導入、申請率が八○%になった。その総仕上げにマイナ保険証と免許証一体化を企んた。
 しかし、制度としての目的か明確てはないカードには常に危うさが付きまとう。政権か管理・監視的国家へと向かえば、取得義務化が行われ、カードは市民監視の道具にな
る。

 ☆ 作業ミスでなく制度にこそ問題がある

 一連のミスは単に作業現場での人為的ミスというのは誤魔化しだ。膨大な量の「再点検をする」とか、時間をかけて「ソフトランディング」させれば、いずれ落ち着くだろうというのは間違いだ。分散型を基本とした社会的ンステムにするかどうかが問われている。
 当面の取り組みとして、

①保険証を今のまま残し、資格確.認書に変えない、
②情報漏洩対策を法律で定め、個人情報利用業務を拡大させない、
③本人同意なくマイナンバーカードに銀行口座登録はしない、
④カード所持の有無で住民サービスに格差を付けない、
⑤地方交付税等を使って自治体へのマイナンバー強制をしない、

 などだ。

『月刊救援 653号』(2023年9月10日)

 


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