◆ <請願権裁判>間際になりましたが、
明日29日(水)東京地裁午後3時・530号法廷で第11回口頭弁論です
皆さま 高嶋伸欣です
お知らせが間際になってしまいましたが、<請願権裁判=杉並区教育委員会の請願権侵害責任追及裁判>の第11回口頭弁論が、明日29日(水)午後3時に東京地裁530号法廷で開かれます
1.今回は前回の法廷で教育委員会側が「被告準備書面5」で反論したことの内、
① 原告が「杉並区教育委員会のHPで、請願文書に住所・氏名という請願法が定めている必須事項以外に「電話(番号)」の明記も必要であるとする記載は、請願者に請願をすること自体を思いとどまらせることになりかねないので、基本的人権である請願権の行使を阻害する可能性が高い物として、違法である」と指摘した件、
② 教育委員長あてに提出された「請願書」を事務方が勝手にその内容でランク分けをして、事務方が処理し、事実上、請願が教育委員の会議にかけられていない実態に対し、そもそもランク分けの基準が不明確で成文化もされていないなど公平性、公正性が認められないと指摘した件について、反論する「原告準備書面9」を提出し、更なる弁明を求めるということになります。
2.上記の内、今回特に力点を置いたのは、上記の①についてです。
①のような原告からの指摘に対して、被告側は「請願書に記載上の不備があった際などの連絡のために記載の協力を求めたものに過ぎず、この記載がなければ請願として受理されないことはない」と「被告準備書面5」で平然と自己中の説明をしているのです。
*ちなみにネットで「杉並区教育委員会」HPを開き、「教育委員会の仕組み」をクリックしてみて下さい。現在も平然と「電話(番号)」を請願書に必要な記載事項としています。
3 ところでこの件に私(高嶋)がこだわるもう一つの理由として前回の法廷での裁判長発言があります。
裁判長は「HPのこの件は本題とは直接関係ないですけどね」と口走ったのです。
4.この発言を聞いて原告(高嶋)は、「やはりこの法廷の裁判官たちは国家賠償法で国(官庁)側の過失を厳しく限定している条項を振りかざして、原告の主張を極力排除するという現在の裁判所の気風の中でしかこの訴訟を見ていないなだな」と受け止めました。
5 一方で原告の高嶋は、日本の社会全体が請願権は基本的人権として最大限に尊重され、その行使を保障すべきであるのを忘れていることに気づく機会の一つにする、とこの訴訟を位置づけています。
6 そこで、裁判官たちに原告のような認識、理念が欠けているのであれば、議論は請願法の条項に準拠するのではなく、杉並区教委の言動は憲法16条(請願権)に違反していると指摘する必要があると考え、沖縄でジュンク堂書店の「憲法」コーナーで、専門書数十冊に目を通し、その後に琉球大学図書館の「憲法」の書棚でも同様にして、憲法学者のによる「請願権」論をいろいろと確かめました。
7 すると、「請願を実質的に委縮させるような圧力を加えることは許されないとすべきである」という指摘がみつかりました(松井茂記『日本国憲法 第2版』理想社、2002年)。
8 つまり、請願者が杉並区教委のHPを見て、「電話(番号)」の明記が必要条件であると認識し、請願書の提出を逡巡あるいは断念することになりかねない”委縮させるような圧力”を受けることになるのは憲法上許されない、ということになります。
9 このことは、杉並区教育委員会「会議規則」第33条が「委員長に請願しようとするものは、委員の紹介により文書をもって請願の趣旨、提出年月日、請願者の住所及び氏名を記載し押印のうえ、教育長を通じて委員会に提出しなけらばならない」と規定していたことにも当てはまります。
10 これで裁判長が言った、「HPの件は本件とは直接関係ないですけど」という認識は誤りだと指摘できることになります。
裁判長を名指しはしていませんが「原告準備書面9」では、この点を強調してあります。
11 それだけではありません、上記の「憲法」専門書調べでは、別の成果がありました。
12 杉並区教委「会議規則」が模倣したと思われるのが国会と地方自治体議会への請願について、それぞれ所属議員の紹介を必要としている国会法と地方自治法の規定についても、請願権の行使を制限するものとして「違憲」とする指摘が、憲法学者によってすでにされていたのです。
13 次の二つがそれらです
1)「請願の内容について、紹介議員と請願者との見解が同じであることが事実上の要件となっている」(戸松秀典『憲法』弘文堂、2015年)。
2)「議員との個人的つながりがなければ請願ができないという仕組みは、端的に違憲というべきであろう」(毛利透ほか共著『憲法 人権(第2版)』有斐閣、2017年)。
14 実は長期的展望として、本件の原告(高嶋)は「請願権」についての実情をいろいろ見ていくうちに、この国会法と地方自治法の議員紹介義務の規定が、憲法違反ではないかという認識を深め、やがてはこの規定の改廃が必要という判決を求める裁判も起こそうかと考えていました。
その根底の問題認識の妥当さが上記の1)と2)で、とりあえず確認できたという思いもあって、明日の法廷では被告側だけでなく裁判官たちがどう反応するか確かめることも、楽しみの一つにしています。
15 志を同じくされる多くの方々にも、直接その様子を法廷で見て頂ければ幸いです。
*沖縄の書店と大学図書館で見つけた上記の専門書の指摘部分を原告側書証(甲号証)として「原告準備書面9」を作成して昨日提出してもらいました。
*高嶋は今日(28日)に沖縄から戻りました。このメールは機中で仕上げ、羽田で発信しています。
明日29日(水)東京地裁午後3時・530号法廷で第11回口頭弁論です
皆さま 高嶋伸欣です
お知らせが間際になってしまいましたが、<請願権裁判=杉並区教育委員会の請願権侵害責任追及裁判>の第11回口頭弁論が、明日29日(水)午後3時に東京地裁530号法廷で開かれます
1.今回は前回の法廷で教育委員会側が「被告準備書面5」で反論したことの内、
① 原告が「杉並区教育委員会のHPで、請願文書に住所・氏名という請願法が定めている必須事項以外に「電話(番号)」の明記も必要であるとする記載は、請願者に請願をすること自体を思いとどまらせることになりかねないので、基本的人権である請願権の行使を阻害する可能性が高い物として、違法である」と指摘した件、
② 教育委員長あてに提出された「請願書」を事務方が勝手にその内容でランク分けをして、事務方が処理し、事実上、請願が教育委員の会議にかけられていない実態に対し、そもそもランク分けの基準が不明確で成文化もされていないなど公平性、公正性が認められないと指摘した件について、反論する「原告準備書面9」を提出し、更なる弁明を求めるということになります。
2.上記の内、今回特に力点を置いたのは、上記の①についてです。
①のような原告からの指摘に対して、被告側は「請願書に記載上の不備があった際などの連絡のために記載の協力を求めたものに過ぎず、この記載がなければ請願として受理されないことはない」と「被告準備書面5」で平然と自己中の説明をしているのです。
*ちなみにネットで「杉並区教育委員会」HPを開き、「教育委員会の仕組み」をクリックしてみて下さい。現在も平然と「電話(番号)」を請願書に必要な記載事項としています。
3 ところでこの件に私(高嶋)がこだわるもう一つの理由として前回の法廷での裁判長発言があります。
裁判長は「HPのこの件は本題とは直接関係ないですけどね」と口走ったのです。
4.この発言を聞いて原告(高嶋)は、「やはりこの法廷の裁判官たちは国家賠償法で国(官庁)側の過失を厳しく限定している条項を振りかざして、原告の主張を極力排除するという現在の裁判所の気風の中でしかこの訴訟を見ていないなだな」と受け止めました。
5 一方で原告の高嶋は、日本の社会全体が請願権は基本的人権として最大限に尊重され、その行使を保障すべきであるのを忘れていることに気づく機会の一つにする、とこの訴訟を位置づけています。
6 そこで、裁判官たちに原告のような認識、理念が欠けているのであれば、議論は請願法の条項に準拠するのではなく、杉並区教委の言動は憲法16条(請願権)に違反していると指摘する必要があると考え、沖縄でジュンク堂書店の「憲法」コーナーで、専門書数十冊に目を通し、その後に琉球大学図書館の「憲法」の書棚でも同様にして、憲法学者のによる「請願権」論をいろいろと確かめました。
7 すると、「請願を実質的に委縮させるような圧力を加えることは許されないとすべきである」という指摘がみつかりました(松井茂記『日本国憲法 第2版』理想社、2002年)。
8 つまり、請願者が杉並区教委のHPを見て、「電話(番号)」の明記が必要条件であると認識し、請願書の提出を逡巡あるいは断念することになりかねない”委縮させるような圧力”を受けることになるのは憲法上許されない、ということになります。
9 このことは、杉並区教育委員会「会議規則」第33条が「委員長に請願しようとするものは、委員の紹介により文書をもって請願の趣旨、提出年月日、請願者の住所及び氏名を記載し押印のうえ、教育長を通じて委員会に提出しなけらばならない」と規定していたことにも当てはまります。
10 これで裁判長が言った、「HPの件は本件とは直接関係ないですけど」という認識は誤りだと指摘できることになります。
裁判長を名指しはしていませんが「原告準備書面9」では、この点を強調してあります。
11 それだけではありません、上記の「憲法」専門書調べでは、別の成果がありました。
12 杉並区教委「会議規則」が模倣したと思われるのが国会と地方自治体議会への請願について、それぞれ所属議員の紹介を必要としている国会法と地方自治法の規定についても、請願権の行使を制限するものとして「違憲」とする指摘が、憲法学者によってすでにされていたのです。
13 次の二つがそれらです
1)「請願の内容について、紹介議員と請願者との見解が同じであることが事実上の要件となっている」(戸松秀典『憲法』弘文堂、2015年)。
2)「議員との個人的つながりがなければ請願ができないという仕組みは、端的に違憲というべきであろう」(毛利透ほか共著『憲法 人権(第2版)』有斐閣、2017年)。
14 実は長期的展望として、本件の原告(高嶋)は「請願権」についての実情をいろいろ見ていくうちに、この国会法と地方自治法の議員紹介義務の規定が、憲法違反ではないかという認識を深め、やがてはこの規定の改廃が必要という判決を求める裁判も起こそうかと考えていました。
その根底の問題認識の妥当さが上記の1)と2)で、とりあえず確認できたという思いもあって、明日の法廷では被告側だけでなく裁判官たちがどう反応するか確かめることも、楽しみの一つにしています。
15 志を同じくされる多くの方々にも、直接その様子を法廷で見て頂ければ幸いです。
*沖縄の書店と大学図書館で見つけた上記の専門書の指摘部分を原告側書証(甲号証)として「原告準備書面9」を作成して昨日提出してもらいました。
*高嶋は今日(28日)に沖縄から戻りました。このメールは機中で仕上げ、羽田で発信しています。
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