澤藤統一郎の憲法日記(11/11)で紹介していた「大会宣言」を引用します。
日弁連大会の本会議。3時間の議論を経て、憲法問題についての宣言を採択した。日弁連が改憲問題に踏み込んだのは、初めてのこと。
…自民党の50周年記念大会を目前のこの時期に、この日弁連宣言が採択された意義は小さくない。
…幸い、宣言は賛成多数で採択された。ハイライトは、以下の部分である。(とは、宣言中の3点である)。
日弁連・人権擁護大会宣言・決議集2005.11.11
立憲主義の堅持と日本国憲法の基本原理の尊重を求める宣言
日本国憲法制定からまもなく60年を迎える。
基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする当連合会は、1997年の人権擁護大会では「国民主権の確立と平和のうちに安全に生きる権利の実現を求める宣言」を行うなど、全国の弁護士会、弁護士とともに、日本国憲法と国際人権規約などを踏まえて人々の基本的人権の擁護に力を尽くしてきた。
ここ数年、政党・新聞社・財界などから憲法改正に向けた意見や草案が発表され、本年に入り衆参両院の憲法調査会から最終報告書が提出され、自由民主党が新憲法草案を公表するなど、憲法改正をめぐる議論がなされている。
そこで、当連合会は、自らの責務として、また進んで国民の負託に応えるべく、本人権擁護大会において、日本国憲法のよって立つ理念と基本原理について研究し、改憲論議を検討した。
日本国憲法の理念および基本原理に関して確認されたのは、以下の3点である。
1,憲法は、すべての人々が個人として尊重されるために、最高法規として国家権力を制限し、人権保障をはかるという立憲主義の理念を基盤として成立すべきこと。
2,憲法は、主権が国民に存することを宣言し、人権が保障されることを中心的な原理とすべきこと。
3,憲法は、戦争が最大の人権侵害であることに照らし、恒久平和主義に立脚すべきこと。
日本国憲法第9条の戦争を放棄し、戦力を保持しないというより徹底した恒久平和主義は、平和への指針として世界に誇りうる先駆的意義を有するものである。
改憲論議の中には、憲法を権力制限規範にとどめず国民の行動規範としようとするもの、憲法改正の発議要件緩和や国民投票を不要とするもの、国民の責任や義務の自覚あるいは公益や公の秩序への協力を憲法に明記し強調しようとするもの、集団的自衛権の行使を認めた上でその範囲を拡大しようとするもの、軍事裁判所の設置を求めるものなどがあり、これらは、日本国憲法の理念や基本原理を後退させることにつながると危惧せざるを得ない。
当連合会は、憲法改正をめぐる議論において、立憲主義の理念が堅持され、国民主権・基本的人権の尊重・恒久平和主義など日本国憲法の基本原理が尊重されることを求めるものであり、21世紀を、日本国憲法前文が謳う「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利」が保障される輝かしい人権の世紀とするため、世界の人々と協調して人権擁護の諸活動に取り組む決意である。
以上のとおり、宣言する。
2005年(平成17年)11月11日
日本弁護士連合会
※以下、詳細にわたる◆提案理由◆は、こちらのアドレスから、ご覧下さい。
日弁連大会の本会議。3時間の議論を経て、憲法問題についての宣言を採択した。日弁連が改憲問題に踏み込んだのは、初めてのこと。
…自民党の50周年記念大会を目前のこの時期に、この日弁連宣言が採択された意義は小さくない。
…幸い、宣言は賛成多数で採択された。ハイライトは、以下の部分である。(とは、宣言中の3点である)。
日弁連・人権擁護大会宣言・決議集2005.11.11
立憲主義の堅持と日本国憲法の基本原理の尊重を求める宣言
日本国憲法制定からまもなく60年を迎える。
基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする当連合会は、1997年の人権擁護大会では「国民主権の確立と平和のうちに安全に生きる権利の実現を求める宣言」を行うなど、全国の弁護士会、弁護士とともに、日本国憲法と国際人権規約などを踏まえて人々の基本的人権の擁護に力を尽くしてきた。
ここ数年、政党・新聞社・財界などから憲法改正に向けた意見や草案が発表され、本年に入り衆参両院の憲法調査会から最終報告書が提出され、自由民主党が新憲法草案を公表するなど、憲法改正をめぐる議論がなされている。
そこで、当連合会は、自らの責務として、また進んで国民の負託に応えるべく、本人権擁護大会において、日本国憲法のよって立つ理念と基本原理について研究し、改憲論議を検討した。
日本国憲法の理念および基本原理に関して確認されたのは、以下の3点である。
1,憲法は、すべての人々が個人として尊重されるために、最高法規として国家権力を制限し、人権保障をはかるという立憲主義の理念を基盤として成立すべきこと。
2,憲法は、主権が国民に存することを宣言し、人権が保障されることを中心的な原理とすべきこと。
3,憲法は、戦争が最大の人権侵害であることに照らし、恒久平和主義に立脚すべきこと。
日本国憲法第9条の戦争を放棄し、戦力を保持しないというより徹底した恒久平和主義は、平和への指針として世界に誇りうる先駆的意義を有するものである。
改憲論議の中には、憲法を権力制限規範にとどめず国民の行動規範としようとするもの、憲法改正の発議要件緩和や国民投票を不要とするもの、国民の責任や義務の自覚あるいは公益や公の秩序への協力を憲法に明記し強調しようとするもの、集団的自衛権の行使を認めた上でその範囲を拡大しようとするもの、軍事裁判所の設置を求めるものなどがあり、これらは、日本国憲法の理念や基本原理を後退させることにつながると危惧せざるを得ない。
当連合会は、憲法改正をめぐる議論において、立憲主義の理念が堅持され、国民主権・基本的人権の尊重・恒久平和主義など日本国憲法の基本原理が尊重されることを求めるものであり、21世紀を、日本国憲法前文が謳う「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利」が保障される輝かしい人権の世紀とするため、世界の人々と協調して人権擁護の諸活動に取り組む決意である。
以上のとおり、宣言する。
2005年(平成17年)11月11日
日本弁護士連合会
※以下、詳細にわたる◆提案理由◆は、こちらのアドレスから、ご覧下さい。
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