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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

ベーシックインカムは無条件給付が福祉(選別的給付)とは違う

2017年05月27日 | 格差社会
 ◆ スイスのベーシックインカム
   意義と国民投票について聞く
(週刊新社会)


 神奈川県の市民団体の呼びかけによる「スイスでのベーシックインカムのとりくみをまなぶ集い」が4月29日、横浜市内で開催されました。講師は、スイスのエノ・シュミットさん。シュミットさんは、2012年にスイス国民すべてに無条件ベーシックィンカムを導入するために国民イニシアチブ(国民発案)を開始し、2016年6月の国民投票を実現させたリーダーです。講師を入れて12人参加のこじんまりとした集いでしたが、有意義なものでした(民進党の真山勇一参議院議員も参加)。国民投票は、有権者の23%の賛成で、ベーシックインカム導入は実現しませんでしたが、世界的に注目されました。シュミットさんの報告の概要を掲載します。(文責:清水英宏)
 ◆ 今の福祉の限界を克服
 日本には10日前に来ましたが、日本での理解力、応用力は高い。とくに、女性の理解力、関心が高いという印象を持ちました。べーシックインカム(以下、BIとする)は今の社会に生まれたアイデアです。
 BIがあると、現在の経済状況の中で収入がないからといって、餓死することはありません。BIがお金が人々を平等に支える時、どのようにきちんと使われるかが課題です。
 お金が支給された場合のチェックが必要です。病気のチェック、求職のチェックなど。自由に使っていいのではなく、ルールに従って使うことが求められます
 社会的には、すぐに仕事についてほしいし、仕事に繋がる訓練(準備)が期待されます。しかし、一般的には仕事、訓練への恐怖感があるので、まずは、その恐怖感を取り除くことが必要です。BIは、一人ひとりが置き去りにされない施策です。生活保護のように、ただ自由に使っていいということではありません
 今までの福祉は、生活保護のように選別的で古く、そこから発展がないし、仕事がない人、貧困である人だけへの施策です。これからは、仕事がない人、できない人は増えていきます。BIは、それへ対応する施策です。
 ビスマルクが100年前に、老後への対応のために年金を作りました。しかし、寿命が長くなり、福祉のシステムは合わなくなりました。1世紀が経つ、新しい施策が必要な時代になり、その一つがBIです。
 ◆ BIによる平等の実現
 貧困層と富裕層の格差は拡大し、両極化しています。富裕層が悪いのではなく、システムが悪いのです。それは、新自由主義が原因です。今の福祉のシステムを変えるためには、政治システムも変わる必要があります。
 今の政治システムは、政治と市民との橋渡しが弱いのです。市民の側からの権利、手だてがなく、新しいアイデアが政治に反映されません。それは、民主主義がないからです。だから、民主主義を作り上げていくことが必要です。
 BIの無条件の給付は、人間に対して平等です。
 今の社会は、周りに支えられる社会です。収入は生きるための権利であり、手段です。自信を持って生きるには民主主義的権利が必要です。生きる権利は自から発するものであり、BIの無条件の給付は収入を分かち合うことで、生きることが大切にされます。
 仕事に就いているか、いないか、貧困かどうか、男か女か、人種も宗教も関係はありません。それぞれの関係条件の把握から始まりますが、無条件とは平等に分け与えるということです。
 福祉とは違って、普遍的で、人間であることが絶対条件です。地球上に生まれた者の権利です。意欲を持てる金額にし、生まれてから死ぬまで、子どもから高齢者まで給付されることが求められます。BI導入で、今までの世界の固定観念が崩れていくでしよう。
 【質疑】
 Q スイスで反対する人たちの理由は?
 A やはり働かない人が増えるのではないかと考える人が多い。次に財源はどうするのかと心配する声が多い。3番目は移民が増えるだろうと危惧する声があります。
 Q 国民投票での一人の金額は28万円(2,500スイスフラン)だったと言われていますが?
 A 国民投票は、憲法にBIの導入を求める内容であつて、具体的な金額は提示していません。スイスは、物価が高いので2,500スイスフランは、日本円では15万円程度です。
『週刊新社会』(2017年5月23日)

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