《The Interschool Journal から》
◆ 都教委に黒染め指導中止を求める署名提出
7月30日、民間団体から東京都教育委員会(都教委)に対し、地毛の黒染め指導をやめるよう求める署名と要望書が提出された。都教委高等学校教育指導課の岡村指導主事が認めた。
署名を提出した民間団体のブログによると、署名は約3ヶ月で約1万9千筆集まったという。また、署名とセットで提出された要望書には都立学校で黒染め指導が行われないよう通達するよう求める文言と、各学校のホームページで校則の内容を掲載する求める文言が記載されていたという。
都教委・岡村指導主事によると、都教委としては元々各都立学校に対して生まれ持った地毛を黒く染めさせるような指導は行わないように連絡しているという。しかし一方でこのような署名や要望が民間団体から提出される現状というのは現場の都立高校で都教委の指導を守っていない学校があるということに他ならない。
岡村指導主事は本紙記者の「都教委の指導を守っていない学校があるのではないか」という指摘に対し、「そうですね」と応じている。
このような地毛の黒染めの問題含め、都立学校の理不尽な校則についてはこれまでも都議会で追及されている。
2019年6月12日の都議会本会議では、池川友一都議が中井敬三都教委教育長(当時)を追及している。
池川都議は質問の中で、某都立高校の生徒が生まれつきの髪の色について、進級後に教師から突然黒染めを求められ、学校に入れさせないし、授業も受けさせないという発言をされた事例を紹介。池川都議はこの事例を「重大な人権侵害」と指摘している。
◆ 校則の制定過程に生徒の関与を認めてこなかった都教委
これまで都教委は学校の校則の制定過程に生徒が関与することを認めてこなかった。2018年3月16日の都議会文教委員会では、都教委の増渕指導部長(当時)が「校則は、校長が決定すべきものである」と答弁している。
その後、2019年6月12日の都議会本会議で中井教育長(当時)が「校則の変更に当たっては、学校は生徒等の意見を聞くなど、さまざまな状況を踏まえることや、生徒等に校則への理解を促す指導をすることが大切」と答弁し、生徒の意見を聞くことに初めて言及。
中井教育長(当時)は答弁の中で「生徒の意見や保護者の意識、社会状況等を踏まえ、適宜、校則の見直しを行うことが必要」と話しており、生徒の主体的な運動次第で校則が変更できる可能性が拓かれた。しかし一方で中井教育長(当時)は、「校則への理解を促す指導をすることが大切」とも答弁しており、依然生徒の意見を軽視している傾向は否めない。
◆ 子どもの権利条約を遵守しない学校現場
日本も批准している「子どもの権利条約」では子どもの権利として「意見表明権」が保障されている。
日本政府訳によれば、同条約は締約国に対し「自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する」よう求めている。
条約に従うならば、児童生徒が校則の制定過程において意見を陳述することは当然認められるべきであり、これを学校長の専権事項であると昨年まで答弁してきた都教委指導部の見識違いは甚だしいと言わざるを得ないし、校長の決定を一方的に押し付ける学校現場もおかしい。
学校は生徒あってこそ成立するものだ。学校の主人公は生徒であることを忘れてはならない。
(平松けんじ)
『The Interschool Journal』(2019年08月19日)
http://interschooljournal.officeblog.jp/2019archives/190819%E9%83%BD%E6%95%99%E5%A7%94%E3%81%AB%E5%9C%B0%E6%AF%9B%E3%81%AE%E9%BB%92%E6%9F%93%E3%82%81%E6%8C%87%E5%B0%8E%E4%B8%AD%E6%AD%A2%E3%82%92%E6%B1%82%E3%82%81%E3%82%8B1.9%E4%B8%87%E4%BA%BA%E3%81%AE%E7%BD%B2%E5%90%8D%E6%8F%90%E5%87%BA.html
◆ 都教委に黒染め指導中止を求める署名提出
7月30日、民間団体から東京都教育委員会(都教委)に対し、地毛の黒染め指導をやめるよう求める署名と要望書が提出された。都教委高等学校教育指導課の岡村指導主事が認めた。
署名を提出した民間団体のブログによると、署名は約3ヶ月で約1万9千筆集まったという。また、署名とセットで提出された要望書には都立学校で黒染め指導が行われないよう通達するよう求める文言と、各学校のホームページで校則の内容を掲載する求める文言が記載されていたという。
都教委・岡村指導主事によると、都教委としては元々各都立学校に対して生まれ持った地毛を黒く染めさせるような指導は行わないように連絡しているという。しかし一方でこのような署名や要望が民間団体から提出される現状というのは現場の都立高校で都教委の指導を守っていない学校があるということに他ならない。
岡村指導主事は本紙記者の「都教委の指導を守っていない学校があるのではないか」という指摘に対し、「そうですね」と応じている。
このような地毛の黒染めの問題含め、都立学校の理不尽な校則についてはこれまでも都議会で追及されている。
2019年6月12日の都議会本会議では、池川友一都議が中井敬三都教委教育長(当時)を追及している。
池川都議は質問の中で、某都立高校の生徒が生まれつきの髪の色について、進級後に教師から突然黒染めを求められ、学校に入れさせないし、授業も受けさせないという発言をされた事例を紹介。池川都議はこの事例を「重大な人権侵害」と指摘している。
◆ 校則の制定過程に生徒の関与を認めてこなかった都教委
これまで都教委は学校の校則の制定過程に生徒が関与することを認めてこなかった。2018年3月16日の都議会文教委員会では、都教委の増渕指導部長(当時)が「校則は、校長が決定すべきものである」と答弁している。
その後、2019年6月12日の都議会本会議で中井教育長(当時)が「校則の変更に当たっては、学校は生徒等の意見を聞くなど、さまざまな状況を踏まえることや、生徒等に校則への理解を促す指導をすることが大切」と答弁し、生徒の意見を聞くことに初めて言及。
中井教育長(当時)は答弁の中で「生徒の意見や保護者の意識、社会状況等を踏まえ、適宜、校則の見直しを行うことが必要」と話しており、生徒の主体的な運動次第で校則が変更できる可能性が拓かれた。しかし一方で中井教育長(当時)は、「校則への理解を促す指導をすることが大切」とも答弁しており、依然生徒の意見を軽視している傾向は否めない。
◆ 子どもの権利条約を遵守しない学校現場
日本も批准している「子どもの権利条約」では子どもの権利として「意見表明権」が保障されている。
日本政府訳によれば、同条約は締約国に対し「自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する」よう求めている。
条約に従うならば、児童生徒が校則の制定過程において意見を陳述することは当然認められるべきであり、これを学校長の専権事項であると昨年まで答弁してきた都教委指導部の見識違いは甚だしいと言わざるを得ないし、校長の決定を一方的に押し付ける学校現場もおかしい。
学校は生徒あってこそ成立するものだ。学校の主人公は生徒であることを忘れてはならない。
(平松けんじ)
『The Interschool Journal』(2019年08月19日)
http://interschooljournal.officeblog.jp/2019archives/190819%E9%83%BD%E6%95%99%E5%A7%94%E3%81%AB%E5%9C%B0%E6%AF%9B%E3%81%AE%E9%BB%92%E6%9F%93%E3%82%81%E6%8C%87%E5%B0%8E%E4%B8%AD%E6%AD%A2%E3%82%92%E6%B1%82%E3%82%81%E3%82%8B1.9%E4%B8%87%E4%BA%BA%E3%81%AE%E7%BD%B2%E5%90%8D%E6%8F%90%E5%87%BA.html
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