《『いまこそ』から》
★ スピーキングテストについて
中山氏(都立高校英語科教員)
昨年、大学入学共通テストへの英語スピーキングテスト民間試験導入は、直前で中止された。しかし、同様の、東京都の高校入試へのベネッセ製スピーキングテストは、現時点では11月27日実施の予定。同じ欠陥を持ち、本来止めるべきものである。9日現在、市民団体が反対署名26,000筆を都教に提出した。
その実施計画は、
・ベネッセによるタブレットを使ったテスト「ESAT-J」。
・会場は中学校でなく外部。
・20-30人が一部屋で同時にタブレットに声を録音
・問題作成、評価基準、運営、採点は全て業者。
・採点はベネッセの「学力評価研究機構」がデータをフィリピンに送り採点する。
・開示はしない。
・運営監督は派遣社員とアルバイト。
中学の調査書点の英語は23点満点、このスピーキングテストは20点満点。(中学校の年間の授業に対する得点よりも、十数分のテストの方が高配点)。
★ 問題点.主な問題点(大内裕和氏の資料)
(1) 公平かつ正確な採点はできるのか?
(2) 評価の点数化の問題
(3) タブレット等を用いて、解答音声を録音する方式には大きな問題がある。
(4) 中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)と民問試験GTEC(ベネッセ)は、問題構成と傾向、採点基準が良く似ている。
(5) 「不受験者の扱い」に問題がある。「逆転」現象が起こる危険性など。
(6) 大きすぎる配点「20点」、
(7) 結果の「開示請求」に応じない。
(8) ベネッセへの個人情報の提供と利益誘導・利益相反の疑い。
(9) 家庭の経済力による教育格差を拡大。
(10) 都内公立中学校の進路説明会のテスト説明の不十分さ。
(11) 1月中旬の「ESAT-J」の結果返却による進路指導の困難。
《*11月27日このテストが都内で実施された。NHKのニュースで、受験中学生が「英語を話すことは大切だと思うが、テストには不公平があると思う」と感想。(追記・きむら)》
★ 公立中学校から:T氏(都公立中学校英語科教員)
スピーキングテストが中止にならない限り、授業でテストに合わせた授業をしなければと思う。テストの4コマ漫画と今のふだんの授業はかなり違うので点が取れない。
3年担当の教員がテスト対策してない人もいて、対策した生徒としない生徒では差が付きかわいそうと思う。ただこれが学習の成果になるのか疑問。
新学習指導要で英語科は時間も内容も増えた。小学校で単語6~700語なので中学で2400語。覚えられない。本文も長文になり仮定法も入った。生徒が大変、英語が嫌いになるのが心配。
現場は、1クラス38人で空き時間もなく英語を身に着けるのは不可能。分かっていてもいなくても10の設定。
オンライン授業も忙しい。条件整備をぜひやってほしい。3人の講師と担当。反対を訴えても、現場の先生の空気はあまり怒りを感じていないと思う。
『いまこそ(予防訴訟をひきつぐ会通信) no.27』(2022年12月10日)
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