パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

★ 東京の教育現場からの報告②

2023年01月02日 | 暴走する都教委と闘う仲間たち

  《『いまこそ』から》
 ★ スピーキングテストについて

中山氏(都立高校英語科教員)

 昨年、大学入学共通テストへの英語スピーキングテスト民間試験導入は、直前で中止された。しかし、同様の、東京都の高校入試へのベネッセ製スピーキングテストは、現時点では11月27日実施の予定。同じ欠陥を持ち、本来止めるべきものである。9日現在、市民団体が反対署名26,000筆を都教に提出した。
 その実施計画は、

 ・ベネッセによるタブレットを使ったテスト「ESAT-J」。
 ・会場は中学校でなく外部。
 ・20-30人が一部屋で同時にタブレットに声を録音
 ・問題作成、評価基準、運営、採点は全て業者。
 ・採点はベネッセの「学力評価研究機構」がデータをフィリピンに送り採点する。
 ・開示はしない。
 ・運営監督は派遣社員とアルバイト。

 中学の調査書点の英語は23点満点、このスピーキングテストは20点満点。(中学校の年間の授業に対する得点よりも、十数分のテストの方が高配点)。

 ★ 問題点.主な問題点(大内裕和氏の資料)

 (1) 公平かつ正確な採点はできるのか?
 (2) 評価の点数化の問題
 (3) タブレット等を用いて、解答音声を録音する方式には大きな問題がある。
 (4) 中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)と民問試験GTEC(ベネッセ)は、問題構成と傾向、採点基準が良く似ている。
 (5) 「不受験者の扱い」に問題がある。「逆転」現象が起こる危険性など。
 (6) 大きすぎる配点「20点」、
 (7) 結果の「開示請求」に応じない。
 (8) ベネッセへの個人情報の提供と利益誘導・利益相反の疑い。
 (9) 家庭の経済力による教育格差を拡大。
 (10) 都内公立中学校の進路説明会のテスト説明の不十分さ。
 (11) 1月中旬の「ESAT-J」の結果返却による進路指導の困難。

 《*11月27日このテストが都内で実施された。NHKのニュースで、受験中学生が「英語を話すことは大切だと思うが、テストには不公平があると思う」と感想。(追記・きむら)》

 ★ 公立中学校から:T氏(都公立中学校英語科教員)

 スピーキングテストが中止にならない限り、授業でテストに合わせた授業をしなければと思う。テストの4コマ漫画と今のふだんの授業はかなり違うので点が取れない。
 3年担当の教員がテスト対策してない人もいて、対策した生徒としない生徒では差が付きかわいそうと思う。ただこれが学習の成果になるのか疑問。
 新学習指導要で英語科は時間も内容も増えた。小学校で単語6~700語なので中学で2400語。覚えられない。本文も長文になり仮定法も入った。生徒が大変、英語が嫌いになるのが心配
 現場は、1クラス38人で空き時間もなく英語を身に着けるのは不可能。分かっていてもいなくても10の設定。
 オンライン授業も忙しい。条件整備をぜひやってほしい。3人の講師と担当。反対を訴えても、現場の先生の空気はあまり怒りを感じていないと思う。

『いまこそ(予防訴訟をひきつぐ会通信) no.27』(2022年12月10日)


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