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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

松山市では秘密裏に答申制のない『松山市教科用図書採択要綱』に変更して育鵬社を採択していた

2020年11月15日 | こども危機
  《教科書ネット21ニュースから》
 ◆ 育鵬社の教科書が採択されなかった
山口ひとみ(やまぐち・ひとみ・愛媛・教科書採択を考える会)

 ◆ 採択の異常さを訴えて

 松山市教育委員会は、2015年8月11日の定例会で、調査部会報告・学校報告書等で評価の高かった東京書籍を採択しないで、教育長・教育委員5人の独断で育鵬社の教科書を採択しました。
 後日、情報公開して学校報告書を調べましたが、松山市内の中学校29校で、育鵬社を希望した学校は1校もありませんでした
 なぜこんなことが起こったのでしょう。
 松山市教委は2014年3月に秘密裡に『松山市教科用図書採択規則』を答申制のない『松山市教科用図書採択要綱』に変更していました。
 愛媛県は、県立中等学校、県立特別支援学校、松山市、新居浜市、四国中央市、上島町が育鵬社を採択し、人口比における採択率が日本一になりました。
 次の採択で育鵬社版を採択させないために、どうしたらいいか退職教職員連絡協議会(退教協)の会員を中心に話し合い、2015年11月10日に公正な教科書採択の実現を求めて「教科書採択を考える会」が発足しました。
 「教科書採択を考える会」では、月1回東京書籍・育鵬社・学び舎の教科書の比較学習会を開催しました。参加者は退教協の会員、元中学校・高校の社会科の教員、保護者、市民など、毎回20名前後が参加しており、現在53回を終了しています。
 時には、大学の先生を講師に招いたり、現場の教員に育鵬社の教科書の問題点などを指摘してもらったりしました。
 運動を進めていく中で、松山市の教科書採択の異常さが理解されにくいことがわかりました。
 多くの方に理解してもらうために、採択方法を図式で分かりやすく説明したチラシを作成し、国際女性デー、5・3憲法集会、母親大会などの行事等で配布しました。2016年17年の中学校の入学式では校門前で保護者に配布しました。
 新婦人や年金者組合などの各団体に出向き、教科書採択の問題点について訴えました。
 各種の集会では教科書採択の問題点について積極的に発言したり、教科書採択について考える集会を開いたりしました。
 答申制のない『松山市教科用図書採択要綱』を答申制のあるものにしてほしいという署名を毎年集め、市教委に提出しました。
 ◆ 地元新聞が取材して記事を掲載

 集会などの行事や署名提出の時は、地元の新聞社に連絡し、取材して記事にしてもらいました。少しずつ教科書採択の問題点が市民に理解されるようになりました。
 市教委に請願書を何度も提出しましたが、趣旨説明の機会すらなく、いつも不採択になりました。
 しかし、市議会の対応は違いました。
 松山市議会の2020年6月議会には『現在の教科書採択制度上の懇話会を答申制のある条例の制定を求める請願』を提出し、市議会の文教消防委員会で趣旨説明をしました。
 残念ながら、市議会だよりに「不採択」と掲載されましたが、宣伝効果は抜群でした。
 今回の教科書採択では、教育長・教育委員5人全員が歴史は東京書籍に、公民は日本文教出版に投票し決定しました。
 決定の瞬間、正直、拍子抜けした気持ちでした。

 採択理由として、教育長が「育鵬社版にはQRコードがないから、デジタルコンテンツを活用した学習ができない」と発言しました。
 委員の中には育鵬社がいいと断言した人もいました。
 全国の主要都市での育鵬社不採択、愛媛県立中等学校・愛媛県立特別支援学校、新居浜市などの県内の市町での不採択という流れの中で、今回、松山市は育鵬社を採択したくてもできなかったというのが真相だと思います。
 答申制が失われた現在の「松山市教科用図書採択要綱」では、教育長・教育委員5人が独断で教科書の採択を決めることに変わりはありません。引き続き、答申制の復活を目指して運動を続けたいと思います
『子どもと教科書全国ネット21NEWS 134号』(2020年10月15日)

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