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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

杉並区教育委員会あて公開質問状

2007年06月27日 | 平和憲法
     杉並区教育委員会あて公開質問状

杉並区教育委員会
丸田頼一委員長・杉並区教育委員各位

 この度、杉並区の中学校で現在使われている『新しい歴史教科書』は、出版元である扶桑社自身が「右より過ぎ」であることを理由に継続出版をしないと明言し、その発行母体である「新しい歴史教科書をつくる会」(以下、つくる会)と絶縁関係となったことが明らかになりました。このことについて、私たちは以下のような公開質問状を提出いたしますので、速やかなご返答をお願いいたします。

<質問事項>
1.版元さえも撤退を表明するに至った『新しい歴史教科書』を採択した教育委員会の責任をいかがお考えか、お答え下さい。

2.『新しい歴史教科書』は、次年度より他の教科書に替えるべきと考えますが、お考えをお聞かせ下さい。

3.現場教員や区民の声を反映した民主主義的な教科書採択制度を構築すべきだと考えますが、お考えをお聞かせ下さい。


<趣旨>
 5月31日付の新聞各社の報道で明らかにされたように、「つくる会」は扶桑社との関係を絶ち、次回の教科書は別の出版社を公募して発行することを発表しました。これにともなって会長の小林正・元参院議員は解任され、新会長には藤岡信勝・拓殖大教授を選ばれました。

 扶桑社は2月段階ですでに、「次回の教科書は、これまで以上に広範な各層からの支持を得られるものにしなくてはならない」として、新しい執筆陣で作成し、育鵬社という別法人をつくって発行する意向を、「つくる会」側に伝えていました。育鵬社版教科書は、「つくる会」から分立した日本教育再生機構という団体が担うことになります。「つくる会」は事実上分裂したのですが、同会は扶桑社に再考の余地がないことを確認したことで、扶桑社からの出版を正式に断念したわけです。

 「つくる会」新会長の藤岡信勝氏によれば、扶桑社は「現行の『新しい歴史教科書』に対する各地の教育委員会の評価は低く、内容が右寄り過ぎて採択が取れない」(5月31日付「会長声明」)と考えており、また「教科書発行は藤岡を執筆者からはずすことが絶対条件である」(「自由主義史観」研究会会報『歴史と教育』5月号)と言っているとのことです。これは、『新しい歴史教科書』が極度の偏向教科書であり、落第教科書であることを版元から宣告されたことを、新会長自らが認めたことを意味します。

 一度は版元を引き受けた出版社がその教科書に落第点をつけ、しかもその教科書の作成母体がその教科書の内容をめぐって分裂するというのは、異常な事態であると言わざるを得ません。この教科書はまことに教科書として相応しくない内容のものであることが、出版社と作成母体の一部から深刻に提示された事実を重く受けとめる必要があります。

 この教科書の採択をめぐっては、多くの区民の反対運動があったことは記憶に新しいところです。全国的には採択率がわずか0.4%に押さえられたにもかかわらず、杉並区でこの教科書を採択した責任について、教育委員会はどのようにお考えでしょうか。また、私たちはこの教科書の採択取り消しを求めますが、そのつもりがあるかについてお聞かせ下さい。さらに、今後誤った教科書採択をしないための方策を構築する用意があるかどうかについてお聞かせ下さい。
2007年6月 22日
ひらかれた歴史教育の会
代表 中村平治(東京外国語大学名誉教授)
杉並区に居住する歴史学者の会
代表 服藤早苗(埼玉学園大学教授)

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     杉並区教育委員会あて要請書

2007年6月  日
杉並区教育委員会
丸田頼一委員長
杉並区教育委員各位
杉並の教育を考えるみんなの会


 このたび、杉並区で採択している扶桑社版『新しい歴史教科書』について、扶桑社が「新しい歴史教科書をつくる会」(以下「つくる会」)と絶縁し、教科書執筆者を全面的に変えることが明らかになっています。この点に関して、以下の要請をいたします。

<要請>
1.今回の扶桑社版『新しい歴史教科書』の版元の撤退と「つくる会」の分裂について教育委員会の見解を公式に示すようお願いします。

2.扶桑社版『新しい歴史教科書』の使用の中止を要請します。

3.区民や教員の声を反映した教科書採択の制度の確立を早急に行ってください。


<要請趣旨>
 「つくる会」は、5月10日付けの「教科書発行に関する『つくる会』の見解」で、「つくる会の理事が中心的な執筆者となって教科書を執筆し、扶桑社がその発行を引き受けるという経過で進めた事業です。」と述べた上で、「つくる会」の執筆者を今後教科書執筆からはずす回答を扶桑社から受けたことを明らかにしました。これは「つくる会」と扶桑社が絶縁したことを示しています。

 また、5月31日の新聞各社の報道では、「同会(「つくる会」)執筆の検定教科書を発行してきた扶桑社(東京)との関係を絶ち、次回の教科書を発行する別の出版社を公募する」と発表しています。これは、今後扶桑社の発行している教科書に関して「つくる会」は、なんら責任を持たず、他社に乗り換えることを示しています。一方、扶桑社は、新会社を設立し、教科書を作成することを明らかにしています。したがって、現在、杉並区で使用している『新しい歴史教科書』の内容についての責任は、版元も、執筆者も責任を持たないという、きわめて無責任な教科書となりました。

 さらに、「新しい歴史教科書をつくる会」の新会長に就任した藤岡信勝氏は、平成19年5月31日の「会長声明」で、『新しい歴史教科書』の「一昨年の採択では、採択率が1%に満たないという不十分な結果」を述べ、出版元である扶桑社が、「つくる会」との関係を解消した理由として、「現行の『新しい歴史教科書』に対する各地の教育委員会の評価は低く、内容が右より過ぎて採択が取れないから」と述べています。このことは、版元である扶桑社自身が、この教科書はダメ教科書であると言っていることになります。
 2005年の教科書採択の時点で、多くの区民の反対を押し切り、教員の評価もきわめて低かったこの『新しい歴史教科書』を強引に採択した教育委員会の責任は重大です
 このような歴史教科書を使用している杉並区の子どもたちに、安心して教育が受けられる状況を回復するために、今回の事態に対して、『新しい歴史教科書』採択した杉並区教育委員会の見解を明らかにしてくださるようお願いします。また、版元、執筆者から否定された、現行の扶桑社版『新しい歴史教科書』の使用を中止し、区民や教員の声を反映した教科書採択の仕組みを確立することを要請いたします。

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